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志村ふくみ生誕100周年記念展

志村ふくみは、草木染による紬織を芸術の域までに高めた染織作家であり、重要無形文化財保持者です。
裏山文庫では、志村ふくみ生誕100周年を記念して、志村ふくみと娘の洋子の作品を展示いたします。
特別展示として、『別冊 太陽 日本のこころ 316 100歳記念 志村ふくみ(2024年4月23日発行)』にも掲載された帯地「あやとり(2023年 紬織 蘇芳・藍・金糸)」を展示いたします。後日この貴重な作品「あやとり」を少しでも多くの方に楽しんで頂くために分割し、出帛紗(だしふくさ)として仕立て、広く皆様の手元に届けたいと思います。

なぜ作品として完成した帯を切ってしまうのか? 日本には、古来、巻物や冊子を切り離し、軸や帖(じょう)などに仕立て、身近に置いて鑑賞する文化がありました。現代では、文化財保護の観点から極力手を入れず、もとあった状態で保存しようという考え方が主流となっています。
しかし、古の時代のように身近に置き、日々愛用されてこそ本来の魅力を感じることができると裏山文庫は考えます。

今回出帛紗に加工する「あやとり」は、横糸としてさまざまな裂(きれ)を織り込む“裂き織り”という技法で織られた帯です。織り込まれた裂は、志村ふくみがこれまで大切に保管してきたご自身の作品の端切れです。著書『小裂帳(筑摩書房)』の中で、志村ふくみは「裂とは心の断片、どんな小さな裂にも心が宿っています。物語をもっています」と語っています。創作に当たり、志村ふくみが心打たれた生命の輝き、その時々の思いが込められ、織り上げられた一枚です。

しっとりとした赤が美しい帯は、横糸として異なる裂を利用しているため、部分により全く異なる表情を見せています。
まずは、切断する前の帯を皆さんにご披露し、記憶にとどめていただきたいと思います。分割した時にその部位によりどんな表情を見せてくれるのか、楽しみにご覧ください。

また、ご令孫・志村昌司氏のトークライブも開催いたします。
ぜひご来場ください。

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【会期】2024年5月10日(金)~13日(月)
10:00~18:00(最終日は17:00まで)
※11日(土)はトークライブの為、通常展示は13時からオープンとなります。

【イベント】5月11日(土)志村昌司氏トークライブ
・11:00より
 志村ふくみ、そしてアトリエシムラの思想や手仕事について
 代表の志村昌司氏がお話しいたします。
・先着20名様(参加費無料)
※WEB予約制
https://airrsv.net/yamashoyamazaki/calendar

【会場】裏山文庫
    豊橋市南栄町字空池8-100
    (呉服の山正山﨑 店舗裏)

【最寄駅】豊橋鉄道渥美線「南栄駅」より徒歩3分
     (東海道新幹線「JR豊橋駅」下車、豊橋鉄道渥美線に乗換)

【入場料】無料

【その他】
・お車でお越しの際は、「呉服の山正山﨑」の駐車場をご利用ください。
・大変小さな会場ですので、混雑状況によっては、外でお待ちいただく場合がございます。予めご了承ください。
・展示品は、壊れやすく、大変貴重な品物です。小さなお子さま連れのお客さまはお子さまから目を離さないようお願いいたします。

お問い合わせなどは裏山文庫管理人の山﨑までお気軽にどうぞ。
https://www.facebook.com/yoshihiro.yamazaki.501

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志村 昌司(しむら しょうじ) 
京都市生まれ。紬織の人間国宝・志村ふくみの芸術精神を継承する、染織ブランド・アトリエシムラ代表。芸術学校アルスシムラ特別講師。 京都大学法学研究科博士課程修了。 2018年、2021年の二度にわたって新作能「沖宮」(石牟礼道子原作)プロデュース。 2022年、オリジナル手織機hatariでグッドデザイン賞受賞。 著書に『草木の聲』(京都新聞出版センター)、『夢もまた青し』(河出書房新社)など。

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