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ブルグミュラー「25の練習曲」の演奏上の注意点と実演の完結に寄せて

このたび、ブルグミュラーの「25の練習曲」全曲の演奏上の注意点を、演奏を交えつつ紐解いて解説し、最後に通して演奏するという音声記事を完結しました。ブルグミュラーの「25の練習曲」は現代においてもピアノ学習者にとって定番の曲集と言えると思います。超絶的な物理的技巧を獲得する以前に、基本として持ち合わせていなければならない様々な細やかな技術、またその技術によって可能となる豊かで多彩な表情について、できる限り理解しやすい言葉で伝えようと努めました。音声だけによる解説ですが、今回私は映像がないことで説明し難いと感じた部分は特にありませんでした。寧ろ多くの言葉を使うことで、取っ掛かりとなるヒントやイメージが得やすくなったかもしれないと感じています。そういった部分が皆様に伝われば幸いです。

音色自体への美意識、またその微妙で繊細な変化の素敵さを感じ取り、確信的な意図を持って表現に乗せていく力を培うことは、音楽の根本的な要素として最も重要です。感性をベースにした表現技術の方法論が脆弱であるほど、音量的なコントラストに偏ったり、超絶的な機械的運動を過度に求め依存したりと、「表現」からは程遠い世界に目が向いていきます。しかしそういった領域ではどう足掻いてももはやAIには絶対勝てはしませんし、血の通う表現も存在しないと私は感じており、そこに人の奏でる意味や音楽的な魅力はないと考えています。

今回のブルグミュラー作品の音声記事が、ピアノ学習や指導における様々なシーンにおいて、安易な表面的刺激を醸し出す表現に頼らない、何らかの「内面的」な感覚の覚醒に繋がってくれたなら、これほど嬉しいことはありません。

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