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【2021年年末提言】2022年以降、企業年金は衰退し、iDeCoに集約される(前編)。

退職金・企業年金コンサルティングチャンネルの講師をしております大森祥弘です。

このWebコラムはYouTubeチャンネルを開設して1年経った2021年の12月頃に、年末企画として6日連続動画投稿を行ったのですが、その際「2022年以降、企業型の企業年金は衰退していき、個人型の企業年金であるiDeCoに老後の資産形成はシフトしていくだろう」という私見を語りました。

YouTubeをご覧頂いている個人の方はもちろん、保険営業、証券営業といった方、FPの先生等にもご覧頂きたい動画です。よかったら眺めてみてください。

*このWebコラムを更新しているのが2023年の3月なのですが、今振り返れば結構当たっている部分があると思っています。今後、2025年をターゲットにどう変わっていくのか?といったことも”新しい資本主義”の潮流から見えてきておりますので、別の機会に最新の見解は述べさせて頂きます。
お楽しみに。

YouTube動画は以下からご覧頂けます

動画要約コラム

2022年以降、企業年金は不要?iDeCo(個人型確定拠出年金)が主流に

企業年金とiDeCoについて

・企業年金は2000年代初頭から導入されている
・iDeCo(個人型確定拠出年金)は2017年1月に全国民が加入できるようになった。それまでは自営業者(国民年金第1号被保険者)が対象
・iDeCoは変額保険の逆ざや等、金融機関各社にとって”売る”メリットがない時期にいわば”発売”が重なり、普及が進まなかった

2022年以降、企業から個人を主体とした変化

・2022年5月以降、企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入が可能になる
・企業型確定拠出年金が勤務先に導入されていると、自分の好きな金融機関と契約して好きな運用商品を選択するということができなかったが、この”縛り”が緩和される

企業型DCのデメリットがiDeCoだと発生しない

・iDeCoであれば、個人が自由に運用商品を選べる(企業型DCでは勤務先が契約している金融機関ありきで運用商品が決まっている)
・iDeCoであれば、転職しても手続き不要。運用商品も強制的に現金化されない(企業型DCだと転職時に自分で慣れない手続きが必要。運用商品も転職先に同じ商品があったとしても強制的に一度、現金化されてしまう)

企業年金の魅力がなくなる(オワコン化する)理由

・iDeCoの同時加入により、金融機関各社(特に商品提供会社、運用会社)はビジネスチャンスが生じる。企業型DCに加入している社員のうち、金融リテラシーの高い社員は自分が購入したい運用商品のある金融機関(運営管理機関)にiDeCo加入を申し込むだろうし、商品提供会社もそういった金融リテラシーの高い層をターゲットに運営管理機関を通さずにプロモーションを強化するだろう(運営運営機関任せにせず、いわば、DC運用商品の”産地直送化”が進むだろう)。
・ iDeCoに同時加入ができるようになることで、社員にとっての企業型DCの価値を維持するのは困難である。また、企業型DCは所管省庁(厚生労働省)主導でガバナンス強化が叫ばれており、企業型DCを10年前に導入した企業からすると”後出しジャンケン”のような義務、努力義務が増えており車に例えるとルールが増えて、良いドライブができなくなっている。結果、 企業型DCを終了し、iDeCoへの移行の風潮が少しずつ増えていくだろう。
・企業型DCは1名から制度導入できるが、中小企業からすれば事務負担や事業主としてのリスクが大きい。 金融機関の商売スキームを抜きにして、真の加入者ファーストを考えれば、私見だが加入者500人未満の企業では企業型DCよりiDeCo+の導入を検討することが望ましいだろう(逆に言えば、加入者500人以上の企業は企業型DCの運用商品のメンテナンスを図るなどして、魅力ある仕組みにすることが良いだろう)。

配信動画に関しての補足

今回の動画では【転向】と題し、You Tubeで企業年金コンサルタントの看板を掲げている私が確定給付企業年金や企業型確定拠出年金の価値はなくなり、iDeCo手当の新設による資産形成の後押しと退職一時金制度の併用が私のコンサルティングポリシーの根幹になった(つまり、確定給付企業年金や企業型確定拠出年金といった企業手動で導入されている企業型の企業年金の役割は不要と捉えた)理由を解説しております。

*前編、後編の2部作で解説します。前半ではiDeCoとの同時加入制限が緩和される(企業型DCを勤務先が導入していても、自分でiDeCoに特に縛りなく加入できる)法改正により顕在化する企業型確定拠出年金の3つの問題点について解説しております。

誤解されないように補足すると50代の方など、定年退職が見えている方からするとドラスティックに受け止めてしまう方もおられるかもしれません。どちらかというと20代~40代を想定して語っています。

また、この動画の内容は私の個人的な解釈によります。私以外の法人、個人の解釈とは異なる点を申し添えます。様々なお考えがあって良いと思いますのでぜひ、疑問、質問、ご意見などコメントお寄せください。