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【誰も言わない】企業型確定拠出年金で実は損するケースを解説します(企業型DC・選択制DC)

勤務先に企業型確定拠出年金が導入されている場合に育児休業給付金や失業保険、傷病手当金等が減るケースがあります。要注意!


YouTube動画は以下からご覧頂けます

今回の退職金コンサルティング・企業年金コンサルティングの動画について

勤務先に企業型確定拠出年金が導入されている場合、知識がないと老後のために確定拠出年金の掛金を払っているのに、結果的に結構な金額を損するケースがあります。

具体的には、”選択制確定拠出年金”、“選択制DC”という企業型確定拠出年金の場合に個人の方(社員の方)が損をするケースが起こります。

*企業型確定拠出年金はiDeCo(個人型確定拠出年金)と違い、退職金が毎月の掛金の原資になりますので、会社ごとに仕組みが微妙に違います。また、各社、企業型確定拠出年金といっても仕組みがそれぞれ違いますのでご自身の会社の企業型確定拠出年金がこの“選択制”、“選択制確定拠出年金”でなければ影響はありません。気になる方は“選択制”という言葉を探してみてください。

この選択制DCはどういう仕組みかと簡単に解説すると、退職金のために毎月、月給から一定の金額を企業型確定拠出年金の掛金にできるというものです。ちょっとわかりづらいのですが、退職金の前払いとしてもらえる金額をお給料として給与に加えて先にもらうか、確定拠出年金の掛金にするか選べると考えてください。

この選択制DCは企業の視点では社会保険料を減らせるため、金融機関の営業トークでは未だによく使われます。

どういうことかというと、退職金の前払いとして給与に上乗せするか、確定拠出年金の掛金にするか選択できる際に確定拠出年金の掛金にするとその金額は社会保険料の計算をするうえでみなさんの毎月のお給料がいくらという計算には含まれません。

代わりに給与に上乗せして退職金の前払いとしてもらった場合は毎月のお給料がその分、膨れますので社会保険料を計算する上での「お給料」の総額に含まれます。

結果、社会保険料の対象となる(社会保険料が取られる)という仕組みになり、個人の視点では厚生年金保険料や健康保険料、雇用保険料といった社会保険料が取られる、企業の視点ではこの社会保険料は労使折半(社員と企業が半分ずつ負担する)仕組みなので社会保険料を払うコストというように扱われます。

そのため、話を確定拠出年金に戻しますと社員が前払いの退職金を給与に上乗せではなく確定拠出年金の掛金にすることを選択すると企業が半分支払う社会保険料の計算をする上でのお給料の総額が下がりますから、結果、社会保険料が下がる(企業目線での営業トークでは社会保険料を削減できるなんて言われたりもします)という仕組みなのです。

*文章を読んで???の方はぜひ、動画解説を併せてご覧ください。

しかし、社員にとっては社会保険料が減るというメリットとは比べものにならないくらいのデメリットがあります。

育児休業、産前産後休業、失業中にもらえるお金が減る

選択制DCで掛金を拠出することを選択すると、育児休業給付金、出産手当金、雇用保険の失業等給付の基本手当(みなさんがよく頭に浮かべる失業保険)でもらえる支給額が減ります。

これはどういう仕組みかというと、一発で腹落ちする説明をしましょう。

保険料が減るから、もらえる給付も減るのです。

みなさん、生命保険に加入していますか?社会人になって加入している方も多いと思います(保険会社に入社した友人に勧められたりということもあるかもしれませんが 苦笑)。

そのみなさんが加入している生命保険、保険料が高いともらえる保険金も多く、保険料が少ないともらえる保険金も少ないという仕組みだと思います。

これは保険ならなんでもそうです。

社会保険料が減れば(企業の視点ではコストカットできれば)、社会保障からもらえる給付金は減ります。

あまり難しく考えずに、この説明で結構わかって頂いた方が多いです。

確定拠出年金の掛金を増やすと将来もらえる厚生年金が減るという謎の仕組み

また、厚生年金保険料も社会保険料ですから、減ります。給与明細を見てもらうと厚生年金保険料というのは給与天引きされている金額としては結構な存在感だと思います。

それであの厚生年金保険料、意外と知らない人が多いのですが保険料の計算の際には年齢は一切関係なく、お給料(税引き前の額面収入)をもとに決めます。

つまり、選択制確定拠出年金で掛金として拠出することを選択すると厚生年金保険料も減るのですが、保険料が減りますので将来、受給する厚生年金の支給額も減ります。

「国の年金は信用できない、年金もらえないらしいし」という感じで考えている方はもしかしたら厚生年金なんて国の年金当てにせず、確定拠出年金の額を増やすわという方もいるかもしれませんが、厚生年金は確定拠出年金と違って終身年金になります。ちょっと話が広がりますが、確定拠出年金は10年、15年といった決まった期間の間、支給する確定年金です(運用している商品により終身年金ということもありますが、稀です)。

なにが言いたいかというと、厚生年金保険料も払えば将来受け取れる年金の額がその分増えますから、悪い話ではありません。金額の大きさに嫌悪感抱く場合もあるかもしれませんが、老後の所得保障の給付が減るという点は理解した上で判断する(選択する)ことが大事です。

こういった話を今回の動画では解説しております。

*おかげさまで最近、この動画の人気が出てきました。

できるだけわかりやすく解説したつもりですので、ぜひ最後までご覧ください!

あわせて見たい、退職金コンサルティング・企業年金コンサルティングの動画


↑私はもう企業型確定拠出年金という仕組みは古いと考えています。私の提言といった色も強いコラムですが、企業型確定拠出年金を導入しない方が良い理由をおそらくネット記事で1番書いていると思いますので良かったらご覧ください。

*個人の方でも裏側が見えて面白いと思います。

↑2024年の12月から法改正によりiDeCoでご自身が拠出している掛金額が変わるかもしれません。場合によっては勤務先の確定給付企業年金の給付水準(手厚さ)によりiDeCoの掛金が払えない(自分で加入しているのに払えなくなる)というケースが発生します。気になる方はこちらも併せてどうぞ。

*リクエスト、視聴回数多ければ改めてもう少し詳しく解説しようと思ってます。

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