かわいい風景。かわいい土木。

岩瀬涼子さんによるパブリック・スペースの提案が2つ公開されています。

ひとつはすでに岩瀬さんが設計し、2017年に竣工した護岸工事。もうひとつは道路の提案です。

興味深いのは、護岸工事や道路工事というどちらかというと力強いというか暴力的なゴリゴリしたイメージのものを、いや、そこまで言わなくとも、通常であればまったくかわいげのないものを、とても親しみのある、ある意味かわいいデザインとして実現しているところ。

しかも、レンガやウッドデッキやひらひらした三角のバナーなどの、かわいいイメージの物体をまったく使用せずに、アスファルトや標識柱や堤防などの、それこそ通常はかわいいと思われていなかったものこそを岩瀬さんはかわいいと名指し、さらにそれらに少しだけ手を加えて、みなに、ほら実はこんなにかわいかったんですよ、とプレゼンテーションして見せている。

そもそも、現在使われている「かわいい」という言葉は、「わたしはこれをかわいいと思う」というメタ認識を含んだかたちで使用されているとぼくは思っています。その意味でも、岩瀬さんのデザインするものは、小さなカフェやギャラリー以上に本質的にかわいいと言える。

護岸工事であるトコトコダンダンの方は、実際に岩瀬さんの案内付きで見せてもらったのですが、ここは本当にいい場所でした。道路の方も大変楽しみです。


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