『愛の不時着』ーーもし、現代の女性が「空から降ってきた少女」になれるとしたら

空から降ってくる奇跡の少女。
普通の人間なら空からは落ちてくるはずなのに、安全に降ってくることができるのだからそれだけでもう奇跡だ。
そして、その少女を受け止めるピュアな青年。空から人が降ってきたら普通は逃げません?どう考えても怪しくってしょうがない。でもピュアな青年は受け止める。

なぜならそれが「 運 命 の 出 会 い 」なのだから。


唐突に始まりましたが、複数の友人から激推しされてNETFLIXの『愛の不時着』を見ました。本当によくできていますよね。特に中盤までは凄かった。
あまりによくできていたので、忘れないうちに文章にしてみようと思います。ただ人によっては批判的ともとれる内容のため、有料にするので嫌な人は読まないでください。そしてネタバレを一切考慮していないだけでなく、まだ見ていない人への配慮もほぼしていないので、読んだ人はドラマぜひ!

内容としては、タイトルにもあるように、愛の不時着の製作者たちは、もし現代の女性が「空から降ってきた少女」になれるとしたらそれはどのようなドラマになるだろうか?という問いを真摯に答えようとして、あのようなドラマが生まれたのではないかという、いわばドラマを設計するという視点で見た考察になります。


という訳で、6200字です。

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言い尽くされた話だけれど、インターネットとスマートフォンを手に入れ、SNSでこれほどまでに普段の生活や個人の内面がダダ漏れになっている現在のわたしたちの世界では、そう簡単に運命の出会いは起こりません。

そもそも「運命の出会い」とはなにか。出会うべきはずなのに、なんらかの不可抗力によってどうしても会うことのできない女性と男性。そんな二人が数々の困難を超えて奇跡的に出会う。
そんな奇跡的な出会いこそをわたしたちは通常「運命の出会い」と呼んでいるのではないでしょうか。結ばれるはずの男女だったとしても、なんの困難もなくストレートに恋愛して結婚してしまえば、それを普通、運命の出会いとは呼ばないでしょう。ただ、この運命の出会いというやつが、現在ではなかなか起こりません。以前ならたとえば、、、

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