種明かししないでほしいこと

行ってまいりました、東京03の第22回単独公演「ヤな塩梅」

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本来は春から行われる予定だった今ツアーだが、コロナ禍で全公演中止に。そして今秋、入場人数を規制した上で満を持しての開催となった。

どのネタも絶妙な切り口から描かれた素晴らしいもので、ようやく生で東京03のコントを見れたことに感動している。各ネタの感想をここに少しでも書けるほど冷静にコントを見れてはいないので、それはBlu-rayの発売を待つことにする。

「前向きな言葉」

というタイトルのネタについて。
ネタの概要は下記のとおり。

旅行先にて、手違いにより旅館の予約が取れておらず、ロビーで待たされて嫌な雰囲気が流れる。そんな中、角田が不自然なくらい前向きな言葉を発し続け、場の雰囲気をポジティブな方向に持っていこうとする。

角田は「嫌なことがあったとき、あえて前向きな言葉を発することで自分の機嫌をとっている」(記憶が定かではないので文言は違うかも)と述べ、異常なほどポジティブに振る舞い続ける。

飯塚と豊本は、そんな角田に対し最初は「立派な考え方だな」と思うも、その考え方を聞いたばかりに「前向きな言葉を発している」=「機嫌が悪い・嫌なことが起こっている」ということに気づき...

このあと、わざと前向きな言葉を発する角田に不快感を示す飯塚・豊本と、イライラが重なってだんだん余裕がなくなりブチギレを隠せなくなってくる角田の様子がめちゃくちゃ面白く、ずっと見ていられそうなネタだった。

種明かししてほしくないこと

公演パンフレットによると、このネタは飯塚さんの考案らしい。ANZEN漫才のみやぞんがテレビで「自分の機嫌は自分で取る。嫌なことが起きたときは『いい日だー!』と言って気持ちを前向きにする」と言っていたのを見て、「あ、みやぞんが『いい日だ』って言ってるときは何か嫌なことがあったんだ」と気づいてしまったという。それ種明かししたらダメなんじゃない?と思ったことから考案された設定なのだとか。

このネタの状況と同じように、種明かしして欲しくないことは結構ある。

見るからに圧迫面接する気満々の面接官にキツく問い詰められても、「あ、このひと圧迫面接がんばってるんだな。志望者の対応能力を見極めるために意地悪な面接官を演じてるんだな。」となり、ちょっと笑えてくるし、可哀想になる。

「部下は褒めて伸ばすスタイル」みたいなことを言いがちな上司がいたとすれば、その上司がどれだけ褒めてくれても「あ、いま部下の成長を促すために、大した功績でもないんだろうけどとりあえず褒められてるな」となり、褒め言葉をありがたく受け入れられないし、まったく響かないし、不快になる。

「わざと率先して的外れなことを言って議論を活性化させてます」という高等テクニックがバレてしまうと、その人が的外れな発言をしたときに「あ、いま『コイツら発言が少ないな』と思われてる」となり、「発言しないと...」と思う前に不快になる。

どれもご立派で有効な考え方や手法ではあるものの、相手にバレないようにするのは当然のこと、心の底からやってます!と思わせるような演技力も身につけていて欲しいと思う。

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