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2022年 Global Geek Audition優勝までの道のり(卒業制作〜GGA本番)

2023年3月追記
以前公開されていたnote記事が非公開になっていたため、その部分を編集し直しました。


2022年2月22日に行われた、G's ACADEMY主催のGlobal Geek Audition(GGA)に登壇しました長友好江です。結果は、優勝とオーディエンス賞の2つの賞を同時にいただきました!ご声援並びに投票いただいた方々本当にありがとうございました。(光栄なことに、歴代出場された東京のGGA400組の中でも上位5番目のスコアにあたるらしいです。単なる参考値ですけど)
そんな私もピッチ本番までは決して平坦な道ではなく、GGA直前の週末も「エモさが足りない」など指摘され続け、本番手前までピッチを見直して、四苦八苦しておりました。
卒業制作期間からGGAに至るまでの準備を私がどう行ってきたかについてご紹介し、私よりも良い準備をしてGGAまで走り抜けて欲しい!という願いを込めて書きました。6000字以上あるので、必要なところだけかいつまんでどうぞ。

オーディエンス賞の発表の際に、YouTube中継を見る娘に手を振らせてもらいました

このnoteの想定読者

このnoteは、G's ACADEMYの現役生で「GGAという舞台に向けて走り抜きたい!」という方々向けです。
(入学を検討される方には、G's ACADEMYのHPに寄稿しました記事を別途ご参照いただけたら嬉しいです)


卒業制作期間

まずは素晴らしき先輩卒業生の高橋さん(東京LAB11期)のQiitaを是非読んでください。私は何度もこの記事を読んで参考にしました。ピッチの準備や開発で何をやっていくのか、用意していくのかについてイメージをつかめると思います。

開発において考慮した方が良いと思うポイントを3点あげます。

①実質開発に充てられる期間の把握

開発期間の締切とGGAの校内セレクションの予定日はどのぐらいあるでしょうか?在籍する期によってスケジュールが変わりますが、あまり日が空いてない場合(例:提出後の翌日がセレクション)は、開発期間の中でピッチの用意もしていく必要があります。DEV21期は提出後約2週間空いてたので、ほぼ私は締切まで開発ひたすらやってました。

②ピッチで見せる主要なユーザー体験
「ピッチで見せる主要なユーザー体験」を念頭に開発計画を練りましょう。要するにログイン画面のデザインとかは後回し。短い期間なので、優先度をつけて計画を立ててみましょう。
ピッチ前半で「いかに今ペインがあるか」という現状のユーザー体験について話していく場合、後半のデモで「いかにそのペインがこのサービスで解消されるのか」を見せていくイメージで優先度を考えてみるといいかも。
(上記の流れは、製品デモ動画を何度も作ったことのある元同僚に教えてもらった構成です。他の構成もあります。あくまで一例です)

ユーザーヒアリングと壁打ちの継続
開発中であっても、できる限り想定顧客へのヒアリング数を重ねましょう。
というのも、上記②で書いたユーザーのペインの理解も解消されるだろう自分の仮説も、「自分の視点では考慮できてなかった点」が必ずあるはずです。この考慮できてなかった点が発見できたら、開発の優先度に見直しが入ると思います。計画も見直しましょう。
私は同期以外で30-40人ぐらいの方々にご協力いただきヒアリングや実際の開発中の画面を見せて意見を聞きました。同僚、友達、G'sの先生方やスタッフの方々、卒業生・・・G'sのコミュニティの力も活用して是非トライすることをお勧めします。(卒業生のヒアリングはチューターさんにまずお願いしたり、Twitterで繋がっておくと聞きやすい!)

なお、スタートアップを念頭にしている人は是非STARTUPーアイデアから利益を生み出す組織マネジメントー」を読んでほしいです。この本の中に「偏頭痛級の課題であったら、すぐに分かる」という話があります。本当に困っている人というのは、いかに困っているかを熱く語ってくれるものなので、ヒアリング自体は楽しく発見があるはずです。(語ってくれないとしたら偏頭痛級の課題ではないのか、サービスの対象者ではないのかもしれません。それも素晴らしい発見になります。)

GGAセレクション

さあ、いよいよピッチを本格的に準備するタイミングです。デモ動画とピッチの資料の準備の2つのポイントを説明します。

①デモ動画
セレクションを通過したい人は必ずデモ動画を用意しましょう。リアルタイムでデモをするのはエラーなどが起きる可能性があります。デモ動画の長さは1分から1分30秒が目安といわれます。(ピッチとの兼ね合いで決まってきます)
準備には、動画編集ソフトが必要ですが、私はセレクション時はMac標準のiMovieを使いました。
ですが、超出来が悪く、「製品の良さが全然出てない!誰か長友さん手伝ってあげて!」とセレクションを見た児玉先生にご指摘いただくほどでした・・・(大いなるしくじり・・・)

反省点としては、以下となります。
・そもそも動画編集スキルがない(YouTubeで勉強もしなかった)
動画でどこを注目してほしいのか、などを考えきれずに
 なんとなく説明動画を作ってしまった
・iMovieの機能制約で、編集のできる幅が狭かった

ということで、filmora, DaVinci Resolve, Final Cut Proなど一定度複雑な編集ができるソフトウェアを利用し、作成することをお勧めします。操作方法はYouTubeで学びましょう。
(なお、私はセレクション後、Final Cut Proに切り替えました。2022年3月時点では90日試用できます)

先生方は実際の卒業制作も確認されているので、セレクションはデモ動画が駄作でも総合的に評価はしていただけるのですが、皆さんは危ない橋を渡らないように・・・。ちなみに1分の動画を作るのに、初心者なら6時間はかかると想定しておくといいかも。セレクション準備には動画編集の時間も確保しましょう。(もしくは手伝ってくれる人を見つけましょう)

②ピッチ
まずいきなり資料作らない!!!!
スクリプトを書いてから、プレゼン資料作るがお勧めです。スクリプトは2000字以内目標にして、「中学生でもわかる」言葉づかいを目指すとわかりやすくなるとされています。ある程度スクリプトを作った上でのスライド作りです。
スライド及びスクリプトの内容ですが、さまざまなレビューを経て個人的に大切だと思ったポイントをあげます。

  • Why Me(なぜ私が作るのか)は超大切。常に大切。Why Me?は自分がGGAまで走り抜けるエンジンにもなりますが、できる限り(本当は企画の段階で)「なぜ私はこれが課題だと思っているのか」「私が大切にしている価値観、目指している世界観は何か」まで言語化する作業をすることをおこなうと、より何を目指しているのかをピッチの内容に盛り込みやすくなると思いますし、削る時にも方針が定まりやすくなります。


  • 「ドリルの説明をしない。穴の説明をする」個人的に大苦戦したポイントです。(いつもレビューしてくれた夫に100回は言われた。。。)「ドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではなく”穴”である」という名言を聞かれたことがある人も多いと思います。自分が開発した機能は思い入れも人一倍なので、ついつい「イケてる機能(ドリル)です!」みたいな説明をしがちでした。そうではなくて、「これであなたに必要な穴が開けられますね!」という聞いている人にとってのメリットを伝えることが大事。(今もまだ実践に難あり・・・)


  • 「直感的に理解できる」を目指す
    とにかくピッチ全体は聞いている方に「直感的に伝わる」ことを目標にします。スライドは「1スライド1メッセージ」「図解や絵の利用」「言葉は少なめ」という方針で作ると良いかと思います。ピッチを終えた後に絶対覚えていてほしいことだけに絞りましょう。(例えば単なる事実の列挙だけでなく、ストーリー上必要な数字だけに絞る)

そしてとにかく完成してなくてもいいので、壁打ちです!話す練習超大事!そしてフィードバックをもらうことが超大事。
我々の期のメンターさんからのアドバイスは、「とにかく壁打ち、壁打ち、壁打ち。最低10回は同期でやりましょう!」でした。その声に押されて、DEV21期全体では、このプロセスを徹底的に同期でやり、お互いを向上させるべくやってました。

セレクション終わってやりきったぞー、の瞬間のDEV21期と大好きな担任のゆっきーさん

GGA本番準備

幸運にもGGA本番に出られることになりました。
(結果発表当日は超ソワソワして落ち着きませんでした・・・・。)

結果発表から約3週間本番までありましたが、私は以下のようなスケジュールで過ごしました。

1週目:追加機能開発
2週目:Final Cut Proの勉強&デモ動画編集&デモ動画のレビューを受ける
3週目:ピッチ資料の見直し・練習・壁打ち

これがいいスケジュールだと全然思いません・・・・!!!!反省だらけです。が、ありのままの過程を書いておきます。

①追加機能開発
セレクション直前のユーザーヒアリングで思いついた機能の実装こそがGGAの本番の目玉になるはずだ、ということに気づいて急遽作りました。セレクション時はHTMLとCSSでハードコードしたハリボテを見せてたので、どうしても動くものの開発してデモするんだ!と決意。この追加機能は自分の実力的にはだいぶ背伸び感ありましたけど、なんとか1週間で仕上げました。
ちなみにセレクションからGGA本番まで追加開発自体は可能ですが、デモ動画の編集との兼ね合いがありますので、デモ動画の編集スケジュールを考慮して追加開発しましょう。

②デモ動画
先述しましたが、Final Cut Proをこのタイミングで投入し、YouTube見ながら勉強。そして有償のプラグインなども買ってゼロから作り直しました。 だんだん凝り出して、「プレゼンもアニメーションにしたらいいんじゃないか?」と考えて作り出したのですが、結局ほぼ使いませんでした。。。
というのも、児玉先生に作り直したデモ動画を見ていただいた時に、
大切なことを教わりました。

「GGAのピッチはその後のピッチ大会などに出場する時の、秘伝のタレのような存在になるんだよ。アニメだと時間がかかり過ぎちゃうよ」

・・・ごもっともすぎて、ぐうの音も出ないw
作り直しのロスと編集方針のブレのロスで無駄の多いデモ動画編集期間になってしまいました。みなさんはしくじらないでください!!

③ピッチ練習
デモ動画はなんとかめどが立ち、ピッチの資料の見直しをし始めたのが1週間前(今考えても遅い・・・)セレクションの資料もデモ動画の変更に伴って、テコ入れを開始して、結局ほとんどのスライドを入れ替えすることになりました。
本番は5分で鐘がなるので、できる限り4分40秒ぐらいで終わらせる想定で見直しをかけると良いとされています。
そのため、できる限り言葉を削る、デモ動画の時間を秒単位で削れるところは見直して削る、スライドも無駄な言葉を削る、とシンプルさと時間短縮を追求しました。

そして、GGA直前の週末を迎えました。
GGAセレクションではZoomで発表だったのですが、GGA本番では、
「立って話す」スタイルです。「立って話す」練習が不可欠となります。
腕がブラブラするとか姿勢が悪いとか誰でも癖があるものなので、
校舎などで立って話す練習して、動画でチェックできるようにしましょう。

また直前の週末から、「初めてピッチを聞く人がどう思うのか」という観点で、信頼する友人及び卒業生の方々にレビューをお願いしました。すなわち、実際ほぼ初見の人に見てもらったらどう聞こえるのか?という本番の予行練習をしました。
ピッチの前半は”いかに共感してもらえるストーリーをテンポよく話せるか”、後半のデモでは”最後に実現したい世界観を伝えた方がいいですよ”
など大事なフィードバックをもらい、あとはひたすら練習と微調整。

今思えば、もっと動画を早く終わらせてこのプロセスをもっと早くやるべきだったと思います。とはいえ、セレクション時にはダメダメだったデモ動画も、誰にも突っ込まれなくなって「動画いいね!」と言ってもらえたのが救いでした。

そして私の課題はいかに前半のストーリーを共感してもらえるのか?に絞られてきていたので、最後までこの部分のスライドの見直し、ストーリーの見直しが続きました。同期同士、最後までお互いをフィードバックしあってたのですが、「今の話の流れだとなんだか長友さんが優秀じゃなかっただけだよ、みたいに聞こえます!」とか熱くフィードバックを同期がしてくれたりして、救われました。
ピッチはフィードバックをたくさんもらい、伝えたい言葉を削ぎ落としていく過程で、どこまで魂を込めて仕上げられるかなのかな、と振り返って思います。 

そして前日はできればゆっくり寝て当日に備えましょう。

    (GGA前日のツイートにいいねの応援たくさんいただく)

GGA当日

当日は、校舎で最後に同期と練習→会場移動→テクニカルリハーサル→本番という流れでした。資料は固まったのに、エモさに欠ける単調な話し方に課題がありました。

たしか練習にきた同期達で昼食の宅配ピザを食べる時に、とある同期がスティーブ・ジョブズばりに、ウロウロフロアを歩き回ってジョブズぽくピッチ練習したんですね。(本番は舞台をウロウロとかできないのですが)
でも、これが、すごく良くて驚きました。より情感がこもったんですよね。本人どこまで冗談で、どこから本気だったのかよくわからないんですが。。。
それに続いて、私もオーバーぐらいにエモーショナルに話してみることをやってみたら、実際に熱が込められた気がしました。皆様も一度「ジョブズになったつもりで話す」など憑依させてみるのを試してみるといいかもしれません。(ピッチ自体の雰囲気によって、憑依させる人は違っていいと思います)

そして、自分の出番が来たら、素晴らしい舞台を全力で楽しんでください!

自分でコントロールできるものに集中する

ここまで書いてお気づきの方もいると思うのですが、私自身は「GGAで
優勝する」こと自体は目標にしませんでした。もちろんできればいいと思って臨んでいますが、優勝は審査される方々が決めることで、自分でコントロールできません。勝負は時の運、というものです。

最近のオリンピック選手のインタビューなどを見ていても、「最高のパフォーマンスを本番で発揮したい」といった自分でコントロールできることに焦点を当ててる選手が多いのではと感じます。

最大限の試行錯誤をおこなって、「やりきった!」と思える、そんな準備をすることだけがコントロールできます。是非やりきることに焦点を当ててみることをお勧めします。

GGAという瞬間では出場者はライバルに思えるかもですが、実際起業する、事業を起こすタイミングでは競合になりうるサービスではないことが多いはずです。お互いで高め合う精神で臨むといいのではないかと思います。そうすることで、GGAのイベント自体の質を上げ、観覧いただいた方々が見てよかったな!次も見たい!と思えるイベントになるのだと思います。

最後に

一番最後に載せる写真は、GGAの後に撮影した出場者たちです。
それぞれがやりきった、本当にいい笑顔してるなー、と思うんですよね。
G's ACADEMYのクレドの1つ「全力で走り抜く感動が至上」を実感した人たちの顔だな、と思ってます。

これからG's ACADEMY入学する方々、または現役生で卒業制作の提出及びGGAを目指す方々に、最大限のエールを送ります!
是非走り抜いてください!少しでも参考になれば幸いです!

やりきった笑顔のGGA登壇者たち


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