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誰も教えてくれない建設現場の安全対策 |事故の本当の原因を究明する魔法の質問 ~そのとき、どんな気持ちだったの?~

~事故の本当の原因を究明する魔法の質問
そのとき、どんな気持ちだったの?~

前回は、マンネリ化し始めたとき事故を防ぐ魔法の質問をご紹介しました。
「今日、もし事故が起きるとすれば、どんな事故が起きるだろうか?」
つねに危険に関心を持てる質問を投げかければ、事故は無くなります。

今回は、万が一事故が起こってしまったとき、再発防止のために原因を追究していく魔法の質問をご紹介します。

多くの現場では、事故が起こると、設備の面、行動の面、管理の面で不備はなかったかと原因を探っていきます。

そうすると、「あそこが悪かった!」「誰かがこうすればよかった!」と誰かのせいにしたり、設備のせいにしたりします。

しかし、重要なことは「なぜ、本人がその行動をとったか?」を知ることです。
事故を起こした行動の理由に、事故の原因が隠されているのです。

行動は、感情から生まれます。
だとすると、事故を起こしたとき、本人がどんな感情だったか分かれば、事故の原因が見えてきます。
事故を起こした本人に、こんな質問をしてみましょう。

「そのとき、どんな気持ちだったの?」

すると、「焦っていました!」
「イライラしていました!」
「ぼっとしていました!」という感情を教えてくれます。

この「焦り」「イライラ」「ぼっと」という感情がなくなれば、事故になる確率が限りなくゼロに近づきます。
だから、事故を無くすためには、この「焦り」「イライラ」「ぼっと」という感情にならないようしてあげれば良いわけです。

例えば、事故が起きてしまったとき、
「そのとき、どんな気持ちだったの?」と質問して、
部下や働く人が「焦っていました!」と答えれば、

「そうか、焦っていたのかー。」
と焦っていたことを受け止めて、
「どうして、焦っていたのかな?」
と焦っていた理由を質問します。

すると、「残業になると思って、ルールを無視してしまいました。
彼女とデートの約束をしていたもので!」と答えが返ってきます。

「残業したら、デートに遅れる!」という捉われが、焦りの感情をつくり、その感情がルール無視や危険な行動をさせてしまったのです。

ところが、多くの場合、事故の原因を本人の不注意と決めつけ、対策は本人が注意すればいい!という対策で終わらせてしまいます。これでは、事故は無くなりません。

もしかすると、現場の雰囲気が、「残業できません」と言える状態ではないのかもしれません。
だとすると、その現場の雰囲気が事故を起こす本当の原因になります。
事故を無くすためには、現場の雰囲気を変えれば良いわけです。

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例えば、上司が「今日は残業になりそうなことはありそうかな?」と声掛けすれば、部下も「〇〇があります」と答えられます。

「それは、残業しなくてもいいから、明日にしよう!」と上司が判断すれば、部下の焦りがなくなり、事故は起きません。
もし、どうしてもやらなくてはならない場合でも、残業の内容がわかれば、誰かが代わりをやることも可能です。

このように、部下や働く人たちが、自分の思っていることを口に出せる現場の雰囲気を作れば、事故は無くなっていきます。

一方、イライラするのは、職人さん同士のトラブルかもしれません。だとすれば、職人さん同士のトラブルがないように調整することが事故防止の根本的な対策になります。

また、ぼっとしてしまうのは、疲れていたり不安だったりします。だとすると、疲れや不安を取り除いてあげることが根本的な対策になります。

いくら素晴らしいルールをつくっても、いくら良い設備を用意しても、ルールを守るのも人であり、設備を使うのも人です。

部下や働く人たちの感情が危険に向き合える感情になっていなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。

事故が起きたとき、「そのとき、どんな気持ちだった?」と質問して、本人の感情がどうなっていたのか、何がその感情にさせたのか究明していけば、事故の再発を防ぐことができるのです。

それでは質問です!

「事故が起きたとき、本人は、どんな気持ちだったでしょうか?」

次回に続きます。お楽しみに!!

拙著「部下が変わる本当の𠮟り方」明日香出版社を参考すると、現場の雰囲気がさらに明るくなります。



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