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じっと耐え忍ぶ日々

一般的に、「フリーランスは仕事が忙しいときとヒマなときの波がある」という。けれど私はここ数年ずっと忙しかったので、あまりその波を感じていなかった。

ところが、だ。6月7月は目が回るほど忙しかったのに、8月になるとパタリと仕事がなくなった。編集部がお盆休みに入ることも関係しているのだろう、例年8月は仕事が減りがちではある。とはいえ、ここまで仕事がなくなるのははじめてだ。「私、干されるようなことしたっけ?」と不安になる。

不安なまま、札幌帰省を終えて東京に帰ってきた。8月13日のことだ。

8月13日といえば、一般的にはお盆初日で、先祖の霊が家に帰ってくる日だ。なぜその日を実家で迎えずに東京に帰ってきたのかというと、16日に有明アリーナでAぇ! groupのライブがあるから。きっとご先祖様の霊も、「それなら仕方ないな」と私のスケジュールに合わせて帰省を早めてくれたことだろう。

しかし、結論から言うと、16日のライブは台風7号の襲来により公演中止になった。振替公演もない。

私がどれだけ嘆き悲しんだか、想像できるだろうか。目が回るほど忙しいときも、仕事がなくて不安なときも、Aぇ! groupのライブを楽しみにこの夏を乗り切ってきた。私のこの夏の最大の楽しみで、心の拠り所だった。その予定が、消えてなくなってしまったのだ。

歯車が狂いだしたのはこの日からだ。詳しくは書かないが、仕事に関して不運なことが立て続いた。ちょっと辛いことが2つと、けっこう辛いことが1つ。自分の行いとは関係のない、誰が悪いわけでもない不可抗力の事態だ。

ただでさえ仕事がなくて不安なときに、楽しみにしていたライブが中止になり、よくないことが立て続けに起こる。踏んだり蹴ったりの事態に、私の気分は落ち込んだ。

毎日、自分の意志とは無関係にため息が出て、動作がのろくなった。食欲がない。なかなか寝付けないし、やっと眠っても夜中に目が覚めてしまって眠れなくなる。ひどいときは動悸と呼吸困難に襲われる。つまりは、メンタルの調子を崩したのだ。

調子が悪いため、「仕事を得るために営業活動をしなければ」と思うのに動き出せない。まぁ、過去の経験から調子が悪いときに焦って行動してもうまくいかないことを知っているので、今はじっとしているのがいいのだろう。調子が悪いときは、溺れているときと同じだ。ジタバタ足掻くよりも、じっとしているほうが浮上できる。幸い、しばらく仕事しなくても生活に困らないくらいの貯金はある。

そう思い、この2週間弱をじっと耐え忍んでいる。おかげさまで9月の仕事がぼちぼち入ってきて一安心だ。

亡くなった祖母はよく「人生、いいときもあれば悪いときもある」と言っていた。

しごく当たり前のことで、特に深みのある言葉ではないのだが、うまくいかないときはこの言葉をお守りのように繰り返している。

大丈夫、大丈夫。人生、悪いときばかりではないから。必ずいいときも来るから。

自分にそう言い聞かせて、なんとか一日一日をやり過ごす。この日々も、後から振り返れば思い出になるのだろう。

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