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数検1級 ★4 整数・剰余

問題

$${6}$$で割ると$${1}$$余る素数$${p}$$に対して、$${t^3≡1(mod\,p)}$$を満たす$${t}$$は$${t=1}$$のほかに$${1<t<p}$$の範囲にさらに$${2}$$個ある。これについて、以下の問いに答えよ。

$${(1)}$$
$${p=67}$$に対して、$${t^3≡1(mod\,p)}$$を満たす$${1}$$以外の値$${m,n}$$を求めなさい。ただし、$${1<m<n<p}$$とする。

$${(2)}$$
任意の整数$${k}$$を$${p}$$で割った余りを$${\bar{k}(0\leqq\bar{k}<p)}$$と表す。$${p}$$の倍数でない$${k}$$と、$${(1)}$$で求めた$${3}$$乗根に相当する$${m,n}$$から定まる$${x=\overline{k},\,y=\overline{km},\,z=\overline{kn}}$$を

$$
f(x,y,z)=x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx
$$

に代入した値は常に$${p}$$の倍数である(証明不要)。$${k}$$を上手くとると$${f(x,y,z)=p}$$が成り立つようにできる。$${p=67}$$の場合に、そのような$${k}$$を$${1<k<p}$$の範囲で求めなさい。

解答

 (1)では$${mod}$$を使った方程式で次数を下げるのがポイント。(2)は最初の式変形を頭にいれつつ、それが平方数の和につながり、さらにそこから絞り込むことが求められる。

(1)

$${t\equiv 1(mod\,p)}$$であるので$${t^3-1=(t-1)(t^2+t+1)\equiv0}$$となる。ここで$${p}$$は素数であるので$${t-1\equiv0}$$または$${t^2+t+1\equiv0}$$である。

(i)$${t-1\equiv0}$$のとき
$${t\equiv1(mod\,p)}$$であり$${t=1,68,\cdots}$$になるため不適。

(ii)$${t^2+t+1\equiv0(mod\,p)}$$のとき

$$
\begin{array}{l}
t^2+t+1\equiv0\\
4t^2+4t+4\equiv0\\
4t^2+4t+1\equiv-3\equiv64\\
(2t+1)^2\equiv8^2\\
\begin{cases}
2t+1\equiv8\equiv-59\Leftrightarrow t\equiv37\\
2t+1\equiv-8\equiv59\Leftrightarrow t\equiv29
\end{cases}
\end{array}
$$

よって、$${1<m<n<p}$$より$${\underline{m=29,n=37}}$$

(2)

$${f(x,y,z)=\dfrac{1}{2}\{(x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2\}}$$であり、$${2p}$$を$${3}$$つの平方数の和で表すと

$$
2^2+3^2+11^2,\,2^2+7^2+9^2,\,3^2+5^2+10^2,\,6^2+7^2+7^2
$$

であるので、これに基づいて場合分けをしていく。しかし、$${z-x=(x-y)+(y-x)}$$と表せることから、上記の組み合わせのうち$${2^2+7^2+9^2}$$だけが可能になる。ここからは$${z-y=\overline{kn}-\overline{km}\equiv\overline{k(n-m)}=\overline{8k}}$$であることや、$${1<k<67}$$に留意して場合分けを進める。

(i)$${(y-z)^2=2^2}$$のとき、$${\overline{8k}=2,65}$$
$${\overline{8k}=2}$$のとき、$${4k\equiv1\equiv68}$$なので$${k=17}$$
$${\overline{8k}=65\equiv132}$$のとき、$${2k\equiv33\equiv100}$$なので$${k=50}$$

(ii)$${(y-x)^2=7^2}$$のとき、$${\overline{8k}=7,60}$$
$${\overline{8k}=7\equiv74}$$のとき、$${4k\equiv37\equiv104}$$なので$${k=26}$$
$${\overline{8k}=60}$$のとき、$${2k\equiv15\equiv82}$$なので$${k=41}$$

(iii)$${(y-x)^2=9^2}$$のとき、$${\overline{8k}=9,58}$$
$${\overline{8k}=9\equiv76}$$のとき、$${2k\equiv19\equiv86}$$なので$${k=43}$$
$${\overline{8k}=58}$$のとき、$${4k\equiv29\equiv96}$$なので$${k=24}$$

(i),(ii),(iii)より、$${k=\underline{17,\,24,\,26,\,41,\,43,\,50}}$$

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