コラム 「旅行の楽しみは食べること!」

【むかしむかし発行していたメルマガの記事から】
旅行会社に勤めていて、時々は海外添乗にもでかけた柴犬の忘れられない思い出、のお話。(=^・^=)

コラム その2「旅行の楽しみは食べること!」 by 吉田柴犬

 いつか、柴犬が前に旅行会社に勤めていた時のことを書きましたが、今回はその続き、、、。
  
 柴犬は昔から食べるのが好きなので、海外に行った時は食べるのが楽しみでした。初めての添乗では、インドに行き、いわゆるカレーばかり食べて辟易してしまったこと。2回目の海外出張では、独りで添乗に行き、食事代だけで 20万円以上遣ってしまったことなど食べることについての思い出はつきません。柴犬でなくとも、参加者にも旅行で美味しいものを食べることは興味のある方が多いですから、添乗前にはレストラン情報の収集に情熱を傾けたものでした。
  
 ベニスの有名なレストラン「ハリーズ・バー」(ここは運河に面していて二階の窓際の席で、夕暮れのディナーがおすすめ)では、映画に出てきそうな白髪のウエイターにオーダーをしなければならなくなり、イタリア語なんてもちろん話せないので、どうしようと思っていると、ウエイターは英語でメニューを説明してくれ、料理や食材の名前はほとんど分かることに自分でも感動し、レストランでオーダーするのが楽しみになりました。
 
 柴犬の大好きな小説家、レイモンド・チャンドラーの描く、ハードボイルドでセンチメンタルな私立探偵、フィリップ・マーロウが活躍する街、ロスアンゼルスはハイウェイとスモッグ以外はなにもないところでしたが、名作「長いお別れ」に出てきた(と思う、、)プライム・リブの美味しいレストラン「ローリーズ・プライム・リブ」に行った時は、本当にあるお店なんだと一人でひそかに感動していました。

 ある時、20数人の企業の研修旅行で米国に行きました。こんなに多い人数だと、どうしても団体で入れるレストランでの食事となってしまいます。この時は、ホテルから歩いてあるイタリアンレストランに行きました。団体専用なのでしょう、2Fに通され、食事が始まりました。するとテーブルには、アコーディオン弾きや手品師が来てパフォーマンスを見せてくれました。参加者もけっこう喜んで、チップをはずんでいました。そこへ、太ったいかにもイタリア人という感じのおじさんが現れ、大きな声でカンツォーネを歌いはじめました。

 柴犬でも知っている「オー!ソレーミオ」が佳境にさしかかった時でした。参加者のひとり、Sさんがすっくと立ち上がり、おじさんを上回る声量で歌いはじめたのでした。Sさんは40歳ぐらいの方で、やせていて、そう、貧乏神のような雰囲気を漂わせた方で、ツアーでも一番といっていいほど目立たない方でした。次に、彼らは一緒に「サンタ・ルチア」を歌いました。柴犬は驚いて聴きながら、鳥肌が立つぐらいぐらい感動しました。歌い終わると、みんな拍手を送り、彼等はがっちりと抱き合い、互いを称え合いました。

 あとでうかがうと、Sさんは音大のカンツォーネ学科を卒業したとのことで、添乗員の経験の中でも忘れられない出来事でした。【柴】

WEEKLY E-MAIL MAGAZINE "HAMAMATSU SHOPPING &DINING GUIDE" HAMASUDORI"
 週刊メールマガジン 浜松ショッピング&ダイニングガイド「浜州鳥」
 発行日: 99.2.21 発行 第37号

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?