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障がいのある方をどれだけ生きづらくさせてしまっている地域社会なのか?(GRゼミ10期 第17回 2022年9月6日)

こんにちは。第17回GRゼミレポート担当をしますキムタクです。
今回は乙武洋匡(おとたけひろただ)さんの講演でした。
テーマは「障がいのある方をどれだけ生きづらくさせてしまっている地域社会なのか?」。
「障がいとは?」…日頃の思考を根底から揺すぶられる貴重で濃密な2時間となりました。
 
最初の話題は今夏トライされた参議院選挙についてでした。
東京都選挙区で無所属で立候補されて6人定員の中で残念ながら結果9位でした。毎日3〜4時間睡眠、しかし精神的に満ち足りた、人生で一番楽しい18日間だったと笑顔でおっしゃっていました。
 
乙武さんは早稲田大学政治経済学部政治学科に在籍し、主に地方自治をゼミで学ばれたとのことでした。社会福祉協議会から車椅子を借りてきて、参加者の子供たちに、1時間かけて車椅子で巡ってもらうイベントが好評で子供たちや親御さん達から感謝の声をたくさんもらったそうです。
そんな活動がベストセラー「五体不満足」出版につながっていったとのことでした。
 
乙武さんが選挙に出馬されたことはニュースで知っていましたが、学生時代から地方自治への深いコミットメントの延長線上として「満を持して」の立候補表明であったことがわかりました。
 
「五体不満足」…私ももちろん読みました。ハードカバーで20年位前。
不思議と印象に残っていたのが「マーガレットハウエルの服を買いに行ったシーン」。『マーガレットハウエル』というブランド自体を知らなかったので、当時調べたら池袋東武で売っていると聞いて、お店まで見に行きました。想像していたよりもずっと繊細な服で、「乙武さんはとてもおしゃれな人なんだな」と思ったことを思い出しました。
 
2017年から1年間、37カ国の旅に出て、特にロンドンでの3か月間の体験談もお話くださいました。当時のロンドンの地下鉄でエレベーターが設置されているのは大体6割ぐらい、しかしロンドンの駅にはエレベーターというインフラはないけれども、「人の手助け」というインフラが社会に組み込まれているのだという言葉が印象に残りました。
 
どうして日本人は車椅子の手助けをできないのか?ということについての一番大きな理由は、「慣れの問題」と分析されていました。ここでインクルーシブ教育についても熱く言及されました。

この乙武さんの言葉を打ち込んでいる最中に以下のネットニュースが配信されました。

 『国連、障害児の分離教育中止要請 精神科強制入院、廃止も』2022/9/9スイス・ジュネーブ(共同)
国連の障害者権利委員会は9日、8月に実施した日本政府への審査を踏まえ、政策の改善点について勧告を発表した。障害児を分離した特別支援教育の中止を要請したほか、精神科の強制入院を可能にしている法律の廃止を求めた。勧告に拘束力はないが、尊重することが求められる。
勧告は障害者権利条約に基づいており、日本への勧告は2014年の条約締結後、初めて。
特別支援教育を巡っては、通常教育に加われない障害児がおり、分けられた状態が長く続いていることに懸念を表明。分離教育の中止に向け、障害の有無にかかわらず共に学ぶ「インクルーシブ教育」に関する国の行動計画を作るよう求めた。』

ネットニュースより

続いて、「そもそも障がいって何だろう」ということを今一度捉え直す必要がありますね、と実例を引きながら8つの質問がありました。その人が目の前に現れた時に、その人を障がい者だと思うか?思わないか?を考えてください…という内容で、受講者の答えも見事にバラバラでした。自分自身の「障がい」という言葉で想起する意味やイメージが、いかに根拠がなく、アバウトなものかを痛感しました。

乙武さんとのパソコン画面越しの2時間、遠隔講義であることを忘れるほど、お話に集中していました。
どうしてあんなに集中できたのだろう?と不思議に思っていましたが、この振り返りnoteを書きながら思い浮かんだことがあります。

「障がいってなんだろう」…この問いかけに私たちの固定観念は大きく揺すぶられました。いまも揺れています。そして乙武さんもその振れの深さ大きさは違っても、同じようにずっと揺れ続けているのでは。

「障がい」と向き合うと妙に力が入ったり、目をそらそうとしたり…そんな私たちに、乙武さんはやさしく
「揺れ続けていいんだよ」とユーモアを交えながら自然体で語りかけてくださったのだと。
乙武さん、素晴らしい時間をありがとうございました。

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