もう一度、鞍上武豊を。


 僕は忘れられない。札幌競馬場で見た、あのユタカスマイルが。ガイアメンテで新馬戦を制したレース後に見せたユタカスマイル。来て良かった。ダービー馬だ。そう思わせてくれた。あの心震えた衝撃は、嘘ではない。そう信じている。

 札幌2歳で気性の悪さを見せ、6着。続く東スポ杯2歳では、展開に恵まれず、またも6着。そして、迎えたあすなろ賞。結果は、2着。皐月賞への出走は、黄色信号が、灯った。視線はハナからダービー。出られるに越したことはないが、中山2000が向くとは、正直思えない。だから、この際、皐月はいい。そんなことはいいから、ダービーに向かえる様に、そして、ダービーに勝てる可能性のより高いローテを組んで欲しい。
 ダービー。1勝クラスのあすなろ賞を負けても、まだ尚、ダービーと言い続けられるのには、理由がある。それは、あすなろ賞の競馬の内容が、希望を持てるものだったから。過去二走、折り合いに苦労していたが、今回はゲートから出していかなかったこともあり、終始折り合っていた。最後の脚は、上がり最速でアタマ差2着。最後の直線で一瞬挟まれて、ワンテンポ加速が遅れた様に見えた。佐々木大輔の騎乗は、掛からせないという最低限の仕事はしてくれたと思うが、最高の騎乗ではなかったと思う。でも、馬自身に自力があることは、証明してくれた。自力はある。だが、賞金を加算しなければ、ダービーには、出られない。競馬は騎手の一瞬の判断で、結果が変わる。ここからは、一戦一戦の重みが、今までとは違う。ダービーに辿り着くには、確実に賞金を積んでいく必要がある。その為には、より良い騎手であることに越したことはない。ダービーを誰よりも知り尽くし、新馬戦でも鞍上にいた、生ける伝説、武豊。気性が改善してきた今だからこそ、もう一度、見たい。鞍上武豊を。この馬には、力がある。前哨戦の乗り方を、そして、ダービーの乗り方を、誰よりも知っている騎手、武豊。だから、見たい。ガイアメンテに跨る武豊を。このコンビなら、必ずダービーに辿り着ける。そう、僕は思う。夢を抱かせてくれた人馬が、府中で輝く姿を、僕は見たい。ダービーへの出走、そして、ダービー制覇。その難しさは、理解しているつもり。だからこそ、最高のパフォーマンスを発揮できるコンビで臨んで欲しい。ガイアメンテの能力を最も引き出せるのは、武豊だと僕は思う。だから、もう一度見たい。ガイアメンテ鞍上武豊を。

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