スキルヴィングが、好きだった人へ

 何度でも見返したいレースがある一方で、当然、見返したくないレースもあるけれど、今年のダービーは、後者。それは、レースがどうだったとかではなくて、馬が亡くなったレースは見るのが辛いから。それは死と向き合っていないとかではなく、死を受け入れるのは、時間がかかるし、辛いことだから。一番好きだった馬が、突然亡くなった僕だから、その辛さは痛い程解っているつもり。スキルヴィングが好きだった人は、これから何年かは、ダービーが来ること自体、辛いことになるかもしれない。好きな馬がいなくなっても続いていく競馬を、純粋には楽しめないかもしれない。でも、それは別に無理にダービーは楽しまないといけないと思ったり、競馬を見続けないといけない訳じゃない。だから、好きだった馬の死について、思い出さない様にしたり、競馬と距離を置いたりするのは、別に全然悪いことじゃない。好きだった馬の死について、いつかは自分の中で向き合うことが必要かもしれないけど、今することでは、ない。確実に。
 でも、いつか、好きだった馬について、話せるように、語れるようになった時で良いから、話したり、語ったりして欲しい。あなたが、その馬について、話したり、語っている限り、その馬は、あなたの心の中で、まだ、生きているから。だから、あなたが好きだった馬を、あなたが死ぬまで、話したり、語ったり、綴ったりして、生き続けさせて欲しい。僕の中でファンタジストが、生き続けている様に。

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