「働きがいのある会社ランキング」に思う
「働きがいのある会社」をランキングする仕組みがあります。
我らがサイボウズは「従業員100~999人」部門で今年も3位になりました。非常に高い順位です。このランキングは、従業員に対するアンケートを基にしており、従業員が好意的な回答をしていることは経営者としてありがたい限りです。
しかしながら、毎年感じる違和感があります。
1. 「働く」とは会社の業務だけではない
私の祖父母は農業をしていて、毎朝二人で畑仕事に出かけていました。昼時や夕方になると、祖母が一足先に帰宅して食事の用意をし、そこに祖父が帰ってきて一緒に食事をする生活をしていました。
このときは「畑仕事」も「食事の用意」もどちらも「働く」でした。
ところが、「会社」という仕組みが一気に普及し、「働く」とは「会社で業務をすること」になってしまいました。かつて「働く」であった家事や育児は、むしろ休業や休暇などと呼ばれるようになりました。
社会の状態の良し悪しをGDPで測るようになり、お金の流動を生まない家事や育児が軽んじられて少子化を引き起こし、それが会社の経済活動の大きな足かせになっているという皮肉な現実があります。
「働く」とは、会社の業務をやることだけではない。お金のやり取りがなくても、たくさんの「働く」がある。
これから私たちがよりよく「働く」ためには、一度「働く」の本質に立ち戻り、「働きがいのある家庭」「働きがいのある地域」など、会社以外の働く場所にも目を向けるべきだと思うのです。
2. 「働く」より大切なことがある
「働く」という行動は、もちろん重要です。しかし、「生きる」「暮らす」「育てる」といった、「働く」より基本的な人間の行動を軽視していないでしょうか。
働き過ぎて体を壊したら本末転倒です。働き過ぎて家庭を失ったら。働き過ぎて幸福でいられなくなったら...。
人間が幸福に生きることを目的とするならば、「働く」ことの優先度を上げ過ぎてはいけない。あくまでも人間が幸福に生きる手段として「働く」を位置付けるべき。
だから、「働きがいのある会社」よりも「生きがいのある会社」の方が素晴らしい。
どうすれば生きがいのある会社を作れるのか。生きがいのある家庭を作れるのか。生きがいのある地域を作れるのか。それを考えた方が、人類にとって生産的だと思うのです。
もちろん「働く」は大事。「共に働く」ことは「チームワーク」。優れたチームワークは、大きな生きがいを与えてくれます。
私なりのチームワーク論を、「チームのことだけ、考えた。」に書きましたので、機会があればぜひお読みくださいませ。
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