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謙虚を知り、感謝を知った1カ月

2002年春。
サッカーW杯が自国開催されて周囲はもとより僕も浮かれていた。
チュニジア戦。森島選手がホーム長居でゴールを決めた実況を、入社したばかりの社内に流れるラジオで聴いたことを今でも鮮明に覚えている。
この大会で準優勝をしたドイツに日本代表が勝つほどの時間が流れた。


先日、21年勤めた会社を退社した。


建築士になり、妻と出会い、結婚して家庭を持ち、娘が産まれ家族になり、家を建て、独立して会社を持つ。

ここだけ切り取ると順風満帆のようだがそんな訳はない。いかにもTHE凡人で、失敗も多く、遠回りをして生きてきた。

『いってらっしゃい。』
妻と娘に優しく見送られていつもより早く家を出た。

人生の約半分を過ごした街を歩くのは、いろんな事を思い出して泣いちゃうかなと思っていたけど、気持ちが前を向いているからなのか涙はまったく出ず、淡々と時間が過ぎ最終日をサクッと終えた。

今月に入りお世話になった方々に退社の報告をした。若い頃はバカだったので(今もだけど)自分勝手な発言が多く、いろんな方に迷惑をかけてきたと思っている。だから最後は直接お礼を伝えたくてたくさんの方とお話をした。

適当に相手されて終わるかと思っていたのに、皆さんとても優しく丁寧に言葉をくれた。

不安しかない僕にはどの言葉も有難く、たくさんの人に助けられてきたことを改めて教えてもらった。

『ありがとうございます。』 
『嬉しいです。』

感謝と喜びの言葉をこんなにも伝えた1カ月は無かった。

皆さんのおかげで、助けられていることを知り、
支えられていることを知り、謙虚を知り、感謝を知った。

この経験ができただけでも、独立する意味があったと感じている。

今持っている不安な気持ちと、感謝の気持ちを忘れずにこれからの人生を歩んでいこうと思う。

家に帰ると『サプライズでプレゼントがあるの』と娘から絵と言葉をもらった。いつの間にか絵を描けるようになり、字が書けるようになって、
おつかれさまと言ってくれ、応援してるよと伝えてくれるようになった。
親バカだけど、優しい子に育ってくれている。
こんなのもらったら泣けるし頑張れる。

この21年があっという間だったように、
娘と過ごせる時間もあっという間なんだろう。

よく遊び、よく働いて
5年、10年、20年と、
応援してくれる娘と妻と過ごす日々を楽しんでいきたい。

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