夢十夜

(過去のFBの記事をこっちに転載してます)

第六夜

こんな夢を見た。
電力自給自足法ならびに電波電磁波規制法のために、電気は自家発電でなんとか確保できるものの、通信は郵便、つまり手紙、情報は役場に張り出される壁新聞か街頭の瓦版にてのみ入手できる。発電もタービンを回すと電磁波を発生させるため風力発電はNGで太陽光か化学反応、つまり燃料電池に限られる。スマホで何でもできた生活からのギャップは大きく、アンダーグラウンドな脱法電波パブに癒しを求める者も多い。
私の職場はテレパス研究所で、もちろん、在宅で勤務させられている。次世代通信技術革命という名のもと、電波電磁波を使わない通信、つまり赤外音楽によるテレパス通信を普及させる技術の開発が仕事だ。皮肉な事に、脱法電波パブの常連はテレパス研究所の職員ばかりだ。

「すみません、遅くなりまして…。近頃、受注が多くって」突然、ロバート・デニーロが家に入ってきた。「随分広いお家ですね。ちょっと延長が長くなるので、経費が多少かさみますよ」"電波は世界を救う"というキャッチフレーズの書かれたダクト屋の偽造IDを見せられる。「ダクトの工事を頼んだ覚えは無いんだけど」「まあまあ、腕は確かなので。ご安心を」と言いながら、家中に手早くアンビリカルケーブルを張り巡らせた。電波がシールドされ、電波取締局の巡回ファイアーマンに発見されずに電波の使用が可能になると言う。地下の電波パブと同じ方式だと説明された。「おいおい、俺はテレパス研究所勤務だぞ」「毎度ありがとうございます。研究所のみなさんからご好評を頂いてます」まあ、世の中、そんなもんだよな…。「あ、追手が来たので、あっしはこの辺で」デニーロが去っていく。

「あきらめたまえ、電波的生活を。受け入れたまえ、新しい生活様式を」「アンビリカルケーブルの設置は違法です」行政の広報カーが大声を張り上げながら巡回している。広報カーといっても二人乗りの自転車だ。一人は自転車をこぐプロパーで、後ろの席の者が大声を張り上げる。雇用確保のため十世帯に一組の広報要員が確保され、ローテーションで巡回している。壁新聞も連日トップは「受け入れたまえ、新しい生活様式を」で、「新しい生活様式」の定義が詳細に書かれている。憲法前文に「新しい生活様式」を書き加えることを閣議決定したらしい。

「新しい生活様式を…」テレビから幾度となくこのフレーズが繰り返し流れている。
ん?テレビ?とうの昔に没収されたはずだが…。あ、夢から覚めたんだな。現実のニュースだった。「総理の緊急記者会見です」「このたび、新しい生活様式を憲法前文に書き加えることを閣議決定いたしました」テロップには「尾見茂 新総理大臣」と書かれている。ああ、この人が新しい総理大臣なのか…。ん?
まだ、夢の続きであった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?