夢十夜

(過去のFBの記事をこっちに転載してます)

第九夜

こんな夢を見た。
テレパス研究所の同僚がとんでもない発見をした。肉体と精神の分離に成功した、というのだ。全ての病気は肉体と精神のシンクロ率の低下によって引き起こされることが証明され、特に精神系の病気を引き起こすとされていたセロトニン仮説が否定された。肉体と精神のシンクロ率が全てをコントロールする。

精神は瞬時にクラウドなポジションにある惑星に移動して、その惑星内のポッド(枝豆のさやと思っていただいて結構)で眠る。文字通り元の鞘におさまる、わけだ。惑星"クラウド"は地球-月系のラグランジュポイントにあるとされるが、視覚にて確認することはできない。精神は惑星クラウドから肉体が存在する地球に"通勤する"。精神がポッドで眠っている間の残された肉体はBasic Input/Output System(BIOS)のみが動いている。その間に、ノイズ(学術的には検出限界以下のシンクロ率を持つ精神、と定義される)が入り込むことがあり、それが夢を見せる原因とされている。

テレパス研究所でのミッションは表向きは赤外音楽通信システムの開発であったが、実は精神を分離させ、精神同志で通信させることが究極の目的であったのだ。
「へぇ」と思うと同時に、通告が来た。
「解雇通知。本研究所の研究目的が達成されたので研究所は閉鎖します。明日からは政府の給付金にて生活してください。以上」

ポッドから精神が帰ってくるとノイズ(夢見の精神)はそそくさと出て行く。
精神が留守の時の肉体のセキュリティを厳しくすれば、ノイズが入れないので、夢を見なくなる。

私は当局からの指導により、セキュリティの強化(うがい、手洗い、マスク)を指示されている。セキュリティが甘いために、反政府思想の強い夢を見るのだそうだ。日々、うがい、手洗い、マスクを日課として余計な夢を見るな、ということのようだ。

ああ、これで、もう夢は見れなくなるのだな、と思ったら目が覚めた。

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