使いこなさない3

使いこなさなくていい!

 講演会で、最近のICTを使った便利な生活の様子をご紹介すると、「私もこういうのを使いこなさないと!」「うちの子はYouTubeだけではなく使いこなせるようにさせないといけませんね」とおっしゃる方が少なくありません。
 でも、「使いこなす」っていう高いハードルを自分に課すから大変になるんです。ICTは使いこなさなくていいんです。ただ「使うだけ」でいいです。iPhoneやスマホを持っている方はたくさんいると思いますが、使いこなしていますか?全部の機能をバリバリ使っていますか?私はiPhone/iPadを持っていますが、機能を知り尽くしているわけではないし、使えるところだけ使っているだけです。

使いこなさない2

 家にある洗濯機や炊飯器だってそうです。私は、洗濯機は「全自動/スタート」ボタンだけ、炊飯器は「炊飯開始」ボタンだけしか使いません。使いこなすというのは、洗濯機でウールを洗うこと、炊飯器で蒸しケーキを作ることです。そんなことはできないけれど、私にとっては十分です。
 ICTとは、不便を解消するものです。ICTのおかげで、私たちはいま、山に芝刈りに・川に洗濯にいかなくても済んでいます。そして楽しくて格好いいものなんです。

使いこなさない

 iPadのコミュニケーションアプリ「指伝話メモリ」を使って、OK Googleに話しかけるデモをご覧ください。

 最初は画面をタップして合成音声で話しますが、次にスイッチを使ってiPadを操作しています。画面をタップしなくても、手元のスイッチを使ってiPadは操作できます。スイッチにはいろいろな種類があり、ほんの僅かに指先を動かす、ウインクをする、口元をぎゅっとする、奥歯を噛む、目を動かすなど、いろんな身体の動きをスイッチにすることができます。
 以前は新聞を読むには、パソコンでブラウザを起動し、ニュースサイトを検索し、記事を選んで、スクロールしながら、読む、という作業が必要でした。しかし、映像で見ていただいたような方法なら、「OK Google, 今日のニュースは?」と話しかけるだけです。声が出せない時は、画面をタップして合成音声で伝えればいいし、画面がタップできなければスイッチをつけばいいです。

使いこなさない5

 以前は緊張しながらの操作の連続で何かをするというものでしたが、ICTの利用で緊張は緩和に変わり、時間と力に余裕ができるようになりました。この余った時間と力を他のことに使えるというのがICT利用のメリットです。頑張って・頑張って・頑張って何かをする。それも良いかもしれません。でも頑張ることが目的ではなく、今日のニュースを知ることが目的なのであれば、頑張らずに「OK Google」と呼びかけるのも一つの方法です。
 「頑張る操作はリハビリ訓練も兼ねているから必要なんです。」とおっしゃる方もいると思います。それはそれで良いと思います。ただ、目的がリハビリ訓練にならないようにだけ気をつけることと、その先にある楽しい生活を考えながらやらないと、人生が楽しいものだということを忘れてしまいます。いろんな依存先を見つける上でも、ICTに触れてみて欲しいと思います。

 大切なのは、機械ではなく機会です。

参考資料:
指伝話メモリ1-2-3! iPadで便利な生活を楽しもう編
最近流行りの家電操作やスマートスピーカーの関係などについての説明も掲載しています。
https://yubidenwa.jp/products/memory/ym123-ipadlife/



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