指伝話プラス: ユーザさんの声
癌の手術をし、声を失った方を訪問した時の話しです。
その方は、癌の手術をされました。家族との会話を筆談でするためにiPadを購入したそうです。最初はよかったのですが、だんだんじれったくなって殴り書きになり、そうすると家族は読みづらいからイライラし、伝わらないからイライラ...。2年経って、iPadを使う頻度はぐっと減ったそうです。
そんな時、他の科の先生に教えてもらったからと指伝話プラス(ことばタイプ)を知り、使うようになったそうです。お話しを伺いたいと訪問したことがあります。
お目にかかると早速、指伝話で挨拶してくださいました。お使いのiPadの写真を撮らせていただいたのがこちらです。
このあいだ、一番下の、娘の家族が、見舞いに来てくれて、一番下の孫と、指伝話をつかって、やったらうまく、コミュニケーションがとれました。いままでは、字を書いてもよめないし、うまくコミュニケーションがとれなかったのが、孫が、じいちゃんこんどははなせるね、えがおで、言ってくれました。
この話しを、とても嬉しそうにしてくださいました。お孫さんとの会話は、おじぃちゃんにとっては大きなパワーの源ですね。
次に、普段使っていることばを見せてくださったのがこの画面。
拡大したのがこちらです。
ショコラ散歩にいくよ。
これは飼い犬に話しかけることばでした。犬がどう理解したかはわかりませんが。術前の生活に近い状態でことばがけができることをとても喜んでらっしゃいました。
筆談でできなかったことが、指伝話でできたこと
いつも奥さまが運転をされ、彼は助手席に乗っているそうです。当時、筆談のための紙とペンは必須アイテムで、信号待ちのたびに書いたものを見せて伝えていたそうです。
ドライブ中に街路樹が美しいのに気がつき、「緑がきれいだね」と紙に書き信号で止まった時に奥さんに見せても、もう街路樹の場所は離れてしまっているし、「信号は赤です」ってツッコミが入ってしまう。指伝話を使うことで、タイミングよく伝えることができたことが嬉しかったとおっしゃっていました。
筆談には筆談の良さがあります。指伝話を使うなら筆談がいらないということではありません。いろいろな手段があり、複数手段を持っていると表現方法が増えるということが大事です。
2年間、iPadを使っていながら指伝話は知らなかった。たまたま出会った他の科の先生に教わらなければ知らないままだったと、その先生にとても感謝されていました。
実はその病院の言語聴覚士さんには、それ以前に指伝話をデモしたことがありました。でも、大きな病院だったので、癌の治療と言語聴覚士のリハビリとがうまくリンクしてなかったそうです。情報の伝達が大事だと痛感しました。
最初にご連絡いただいた時に送ってくださった手書きのメモには、「すごくいいです。もっとはやくにしっていれば」と書かれていました。
でも、今日がこれからの人生で一番早い日。だから大丈夫。
「奥さんに、『愛している』って言ったりしますか?」と尋ねたら、否定せずにとても照れてらしたのが印象的でした。
コミュニケーションは笑顔のきっかけ。大事なのは機械ではなく機会ですね。
いただいたサポートは、結ライフコミュニケーション研究所のFellowshipプログラムに寄付し、子どもたちのコミュニケーションサポートに使わせていただきます。