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めくってタップまって (MTM)

めくってタップとは?

 指伝話メモリで、1ページ1枚の写真に合成音声をつけて作った自己紹介や旅日記などの絵カードを ① (ページを)めくって、② タップ(して読み上げ)ながら、周りの人に見てもらったり、自分で楽しんだりする方法を「めくってタップ」と呼んでいます。

 画面のタップがしづらい場合、スイッチで操作してiPadを使いますが、あれこれ設定をしたり調整したりするのは大変だから、スイッチを1回押すだけで、めくって・タップの動作をしてくれるようになっていたらいいな、というのが、めくってタップです。詳しくは、以前のnoteをご参照ください。

スイッチ連打への対応 「めくってタップまって」

 めくってタップをスイッチで使う場合、読み上げている間にスイッチを押してしまうと、ページをめくってタップして次のページを読み上げ始めてしまいます。

 その問題を解消するために作ったのが「めくってタップまって」です。スイッチを押すと、①ページをめくる、②タップして読み上げる、③少し待つ、という動作になります。待つ時間はとりあえず5秒にしてますが変更可能です。

 この5秒の間にもう一度スイッチを押しても無視されるので、間違って押しちゃっても、連打しても勝手に進むことはありません。動画をご覧ください。

仕組みの解説

 ここは、設定に興味のある人への説明ですので読み飛ばしてもいいです。

 変わる君の設定(マクロ)は次のようになっています。

スクリーンショット 2021-01-07 22.46.41

 前半は「→キーを押して、1キーを押す」めくってタップの動作ですが、MTMでは最後に 5000ms(5秒)のインターバル(待ち時間)を加えています。この秒数は変更していただいて結構です。

 ポイントは変わる君の「ボタン設定」の画面(3ページ目)です。

スクリーンショット 2021-01-07 22.52.09

 ここでは、ボタン1(ジャック1)にめくってタップのマクロ、ボタン2(ジャック2)にMTMのマクロを割り当てています。ボタン2の「マクロ実行中の入力後の動作」が「マクロ非実行」となっているのがポイントです。

 マクロ実行中に再びマクロの実行の指示がされた場合、(1) 実行中のマクロをキャンセル後にマクロ実行、(2) 実行マクロ終了後にマクロ実行、(3) マクロ非実行、の3つの対応を指定できます。今回のMTMは、(3)を選ぶことで、マクロの最後のインターバルの5秒間に再度ボタンが押されても無視する、ということになります。

チームで議論となったこと

 MTMを紹介するにあたって、指伝話チームではいつものごとく大議論でした。

 子どもが絵本を見る時、まず全部ページめくりをして楽しむ(試す?)子もいるし、それは毎回ページが同じかを確認している行動かもしれない。ペラペラとめくっているからちゃんと読めてないということではないだろう。好きなページを探しているのかもしれない、嫌いなページを飛ばしているのかもしれない。小さい子の絵本の読み聞かせ経験のあるスタッフは、絵本にはいろんな楽しみ方があるんだといいます。

 また、先月 NPO法人あいけあ さんに伺って、みんなでめくってタップで自己紹介カードを作って発表した勉強会のことを思い出しました。一人の子が、読んでいる途中でスイッチを押してしまうんですが、実はそのページで言っていることは、自分の本意ではない内容だったそうです。スタッフが入れたことばで、自分は別のことを言いたかったみたい。それで飛ばしたくてスイッチを操作していたのでした。

 どんどんめくるのって何か理由があるのかもしれません。だからただ単にMTMを使えばいい!と言ってはいけない、という意見にまとまりました。

 本当は自分だって待ちたいのに、手が動いてしまったり、震えて触っちゃったりするんだよぅ、ということもあるかもしれません。間違って触っちゃうと周りの人が「あぁー」って言うのを聞いて、ぐすん😢と思っているかもしれません。

 これは、自転車の練習で言えば補助輪のようなものだ。そう考えると納得です。頑張れーっていうのではなく、まずはうまくいく方法で成功を体験してもらったら、その成功が目標となって、補助輪なしでも使えるようになっていくことでしょう。晴れの舞台で自己紹介をする時、お客さんの前で発表する緊張の瞬間で失敗したくないのに手が震えてしまう、そういう時に、このMTMは役立つかもしれません。




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