実務補修は2日目が大変(午後編)

前回の続きです。
実務補修の2日目の午前中に、SWOT分析までを終了し、前日にヒアリングした内容のまとめ&メンバー間での共有を行いました。今回は、お昼を食べた後の午後のワークのお話です。

報告書の提案コンセプト(経営ビジョンみたいなもの)を決定するために、事業ドメインの決定を行います。中小企業診断士試験の1次試験の企業経営理論では、経営理念→経営ビジョン→事業ドメインと上から降りてくる形で学習しますが、この2日目の作業は要素を積み上げていって、最後に経営ビジョンを決定する流れとなります。

ただ、このやり方は私たちを指導してくれた先生の教え方なので、指導員の先生によっては、ヒアリングの内容を整理した後に、最初に経営ビジョンを決めるやり方もあります。

クロスSWOT分析

事業ドメインを決めるための1つ目のフレームワークが、クロスSWOTです。診断士の1次試験や2次試験では馴染みのないフレームワークです。指導員の先生に紹介いただいた”ボクが企業参謀に変わるまで”という小説の中で、クロスSWOTの説明があるのですが、そちらが大変分かりやすかったです。

強みと機会を掛け合わせるSO戦略、強みと脅威を掛け合わせるST戦略、弱みと機会を掛け合わせるWO戦略、弱みと脅威を掛け合わせるWT戦略をそれぞれ1個づつ作り、どの戦略にするかを決めます。

SO戦略:機会を利用して、強みを生かす
ST戦略:強みを生かして、脅威を回避する
WO戦略:機会を取りこぼさないために、弱みを改善する
WT戦略:弱みを改善して、脅威を回避する

例えば、ST戦略なら「提案力を生かして高付加価値商品の売り上げを拡大し、原料高による収益性の悪化を回避する」とか、WO戦略なら「インバウンド需要の回復を取りこぼさないために、メニューの外国語対応を行う」などです。WT戦略を採用することは無いかと思います。

この中から、どれが一番適しているかを決定します。

アンゾフの成長マトリクス

続いて、2次試験でおなじみのアンゾフの成長マトリクスです。製品と市場の2つの軸に分けて、それぞれ新規と既存に分類して、4つの戦略のどれを取るかになります。こちらは、皆さん理解していると思うのでさらっと説明します。

市場浸透戦略は「既存顧客の顧客管理を徹底して、DMなどで接点を増やして購入頻度や期間を向上しよう」、新商品開発戦略なら「健康志向の高まりを捉えた新商品を開発し、既存顧客の若い女性の売り上げを拡大しよう」とかです。

ヒアリングを行う会社様は従業員が20名以下の小さい会社であることが多いので、多角化戦略はあまり現実的ではないかと思います。多角化戦略を実行するほどの経営資源が無いです。

提案コンセプトの決定

クロスSWOT分析と、アンゾフの成長戦略でとりあげた計2つの戦略を見比べながら、「この戦略を行うことで、〇〇社様はこういった会社になるよね」といった将来の姿をチームメンバーで議論していきます。

ここまで来ると、朝から脳みそをフル回転しているので、あまり良いアイデアが出てこなくなってきます。そこで役に立つのが、”Chat GPT様”です!!

「〇〇な機会の高まりの中、△△な強みを持つクリーニング屋の経営ビジョンはどのようなものが良い?」と聞くと、ヒントとなるキーワードを教えてくれます。そのキーワードをもとに、実際の企業の経営ビジョンの事例をググると、作業が早まります。

実際は”経営ビジョン”ではなく、報告書の提案コンセプトであるので、なるべくキャッチーで分かりやすいものが良いかと思います。

各部門の課題の決定

目指すべき姿や、それを実現するための戦略が確定したら、最後に営業、生産、情報、人事などの各部門の問題点を決めます。だいたい、各部門1~3個ピックアップします。

提案コンセプトの会社の状態になるために、改善していかないといけない現状の問題点をメンバーみんなで考えていきます。この時点では、問題点のピックアップだけで良いです。解決策は担当の各自で考えていきます。

2日目(土曜日)から3日目(次の土曜日)まで各自が家で報告書の作成を行うのですが、2日目の時点で、提案コンセプト、それを実現するための全体戦略、各部門の現状の問題点をチームメンバーみんなで共有をしていると、報告書全体としての方向性がぶれなくなります。

逆に、この部分がふわっとしてしまうと、3日目以降で修正が多く入ってしまいます。2日目は「20時ぐらいまでかかる」と事前に腹をくくって、脳が疲れた時用のお菓子をいっぱい持ってきて、気合で乗り切りましょう!

ちなみに、私たちの班は、それぞれシェアできるお菓子を持ってきて、もぐもぐタイムを頻繁に入れました。

今日を以上となります。最後までお読みいただきありがとうございました。



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