だんだん釣れたらいいんだ


 釣りはきっと、かなり歳とってもできる趣味だと思う。お爺さんになってもできる。管理釣り場ならなおさらだ。イカやマグロを釣ってみたくないかと言われたら、そりゃ釣ってみたいけど、住んでいる場所や身の丈に合った釣りをコツコツ楽しんでいく。人生は短いかもしれないけど、まだまだ何回も釣りに行ける。…はずだ。

 現在、釣りがうまくない。正直言って下手だと思う。いや、まだ未発達、未熟なだけでずっと下手な訳じゃないと信じている。とりあえず、管理釣り場で一応家族で食べる分の鱒は釣れる。小さなやつはリリースもしている。敗北感を味わうこともあるが、飽きる気はしない。

 これから1年の目標は「数釣りできるようになる」だ。実際そんなに数が釣りたいわけではない。数を釣れたら満足するかというと、自分の場合は当てはまらないと思う。ただ、スプーンでちゃんとカウントして狙って釣りたい。その練習をしたい。ただ、これはなかなか難しい。何故ならまず、スプーンを製作してから釣るからだ。スプーンの性能が安定せねばスタートラインに立てない。そして釣りがうまくならないと、ルアー作りの結果が正解だったかどうかもわからない難しい、というか無茶な話である。
 正直、買ったルアーで教科書通りに釣ったらそれなりに釣れると思う。ただ、一回ハンドメイドで釣ってしまうと後戻りできない。だんだんとスプーン作りも安定してきてはいると思う。もっとよいものを作りたい。売っているスプーンみたいなものを作りたい。

 だんだん釣れたらいいと思う。魚を釣りたくてたまらないけど、自分なりの方法で釣りたいのだ。もう一度言うが、一度自分でルアーを作り始めると、釣れた時の喜びは格別だ。遠回りでも自分しかできない釣りがしたい。自分のものさしで釣りたい。

 多分自分も歳をとったり病気になったりして、最後は釣りが出来なくなる。その時に自分のルアーを誰かが使ってくれれば、きっと自分が釣れたのよりも嬉しいのではないだろうか。自分が釣らなくても、自分が良いルアーを作ることができて、そのルアーで誰かが釣りをしてくれたら嬉しいだろうなと思う。それだって釣りをしている事になると思う。
 今はめちゃくちゃ釣れなくてもいいんだ。だんだん釣れたらいい。


 …ただ、赤いセニョールトルネードだけは買っておこうと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?