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ヴェトナムの壇蜜似の彼女 5

お昼前に彼女は出かけて行った。

日本語学校に通うためだ。

彼女を見送り、俺はまた寝る。

夕方の5時過ぎにホテルの部屋に来て、
一緒に食事に行く。


その後彼女のお店でラストまでいて、
ホテルで愛し合う。

こんな毎日を過ごしていた。


ある日、トィが電話で怒っている。

相手は弟。

内容はお金を貸してくれ。

いつもの事だと言う。

彼女の弟はホンダガールの運転手。


ホンダガールとは、バイクの後部座席に乗ってお客さんのところまで行くデリバリーヘルスみたいな物だ。

さすが世界のホンダ。

ヴェトナムではバイク=ホンダという認識だ。

ホンダガールの運転手などやめなさい。

もっと汗水流して稼いで欲しい。

彼女は常に説教していた。

もちろん弟を愛しているからの行動だ。

俺に一度会って説教して欲しいと言う。

男同士の方が話しを聞くかも知れないと言う事だ。

わかったよ。


俺たちはマクドナルドで待ち合わせして
ポテトとコーラをつまみながら弟と話しをする。


「ホンダガールの運転手って儲かるの?」

トィが通訳する。

「悪くは無いがそんなに良くも無い。
だけど同じくらい稼げる仕事が他に思いつかない。」

「ふむ。
やりたい事とか将来の目標とかあるの?」

「金持ちになりたい。」

「ふむ。例えば月にいくら稼ぎたいの?」

「いっぱいです。1000万ドン。」

ん、ああ、日本円で5万円位か。

「ふむ。
体力に自信があるとか、数字に自信があるとか、
何か人より優れている事ある?」

「体力はあるよ!数字にも昔から強いよ。
計算高いって良く言われるし。」


そう言えば日本人街で和食のお店が賑わっていたな。

日本人相手だから値段多少高くても食べるから
儲かるんじゃないの?

駐在員が日本を懐かしむ食べ物。


たこ焼きや!

ついでにお好み焼きやら唐揚げもだしちゃえば良い。

実は大志君、たこ焼きにはかなりうるさい。

自分でも良く作るし、
大阪中のたこ焼きを食べ歩いた男だ。

難波にある有名なたこ焼き屋の親父と意気投合して
一緒に飲みに行ったくらいだ。


俺は弟にたこ焼き屋を始める様に提案した。

「初期費用は俺が出す。
儲かる様になったら少しづつ返してくれれば良い。」

「本当ですか!たこ焼きなら1度食べた事があります。
頑張ります!」

思い立ったが吉日。

そのまま日本人街に行き、10坪位の店舗を借りた。

家賃なんかはビックリする位安い。

1年分の家賃先渡しと礼金で約20万円で借りた。

大志君を呼び出し協力してもらう。

トィのお店のママさんに
日本人街で和食のお店を経営している人を
紹介してもらった。

何とたこ焼きプレートがデパートに売っているとの事。

さっそく買い出しに出かける。

俺と大志君と弟の3人で開店準備を頑張る。

大志君はノリノリだ!

大好きなたこ焼きで人に貢献出来る。

大志君は良いやつなのだ。


トィが学校から帰って来ると、みんなで試食会だ。

「めちゃくちゃ美味い!」

大志君のたこ焼きはべらぼうに美味かった。

ヴェトナムで手に入る食材を駆使して
何とか理想の味に近いたこ焼きを作る事に成功した。

お店の名前は

「たこ焼き愛ちゃん」

に決まった。

何とか俺達の帰国の2日前に無事開店。

当面の軍資金として20万円をトィに渡した。

好きな女の可愛い弟のためだ。


周りにはまだ競合がいないし、味は大志君スペシャル。

間違いないでしょう。

弟も張り切っている。

初日で何と日本円換算で1万円も売り上げた。

8個入りで約100円。

周りのお店の人達が開店祝いのご祝儀で
食べてくれたのが大きいが。

これで俺も安心して帰国出来る。





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