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KPIで必ず成果を出す目標達成の技術 大工舎 宏氏、井田 智絵氏 |まとめ

KPIとは、Key Performance Indicatorの略である。日本語では、「重要業績評価指標」となる。

本書では、重要な考えを引用すると、「成果KPI(KGI、目標指標)ー重要成功要因ープロセスKPI」を上げている。

そして、目標達成ができない人、企業の傾向として、この重要成功要因をしっかりとらえられていない傾向があると述べられている。

具体的にどのような手順を踏むかというのが以下。

plan
ビジョン、ミッションを立てる。
目標の指標化
水準の設定(KGIの設定)
CSFの特定
CSFをKPIに置き換え
do/check
情報の収集→視覚化→評価→報告
action
達成できていない要因を分析し明確にする
改善への策を立てて行動する

具体的にどのようにしたらいいのか、KPIを立てるメリットから順にまとめていく。

KPIを立てるメリット

何か目標を立てるときに、抽象的な表現を行うと、具体的にどのような行動を取ったらいいのかあいまいになってしまう。例えば、テストでいい点数を取るという目標を立てても、いい点数を取るという目標がアバウトすぎて、その目標を達成するためには、どうするかと考えたときに、ざっくりと勉強を頑張るというあってないような目標しか立てられなくなる。そこで、KPIを設定することで具体的に○○点を取る(KGI)。現状の実力から考えると、XX点アップしなければならない。XX点アップしなければならないということは、▲▲を□□割正答率を上げなければならない。なので、それを達成するため~~時間学習する(プロセスKPI、そしてそれを管理する)。という具合に具体的な目標達成に必要なプロセスを立てることができる。そして、その目標を立てた計画と照らし合わせて、プロセスを管理することで、PDCAを回していくことで、目標達成を目指す。

目標が達成できないものの特徴として、あげられているのが以下の3つ

数字で表すことができていないこと。
プロセスを軽んじていること。
責任者がPDCAを回せていないこと。

数字で表すことができていない

どれくらい向上させたいという指標を持っていても、その構成される要素まで、分解して、それぞれに対して目標が立てられておらず、具体的に何をしたらよいのかということが明確になっていない。数学のテストで例えると、問題が時間内に解き終わらない。計算速度が遅いので、計算の速度を速くする。というような具合。どのレベルまで、到達すれば計算が速くなったといえるのか。数字で表せるようにすること。

プロセスを軽んじている

成果KPIを設定したら、その達成する目標に対して、何が重要成功要因か考えて、それを踏まえてどのようなアクションを取っていくのか、管理指標(プロセスKPI)を設定して管理していかなくてはいけない。そのKPIに取り組んでいると言いながらも、実際は、その成果KPIを設定して、目標を見える化にとどまっていることも多いそうだ。
そうでなく、しっかり重要成功要因を定義して、その改善に取り組んでいかなければならない。ここでの定義とは、計算が速くなったとは、どのレベルに到達したら速くなったといえるのかというところまで、数字でしっかり管理することが重要である。

責任者がPDCAを回せていない。

計画だけして、(Pの実行)残りのDCAがおざなりになってしまう。
立てた目標に対して、責任者(また個人ならその人自身が)フォローしなければ、立てた目標に到達する可能性はガクッと下がってしまう。
立てた目標がしっかり達することができているかを確認しなければ、目標を達成しようという意識も生まれない。目標が達成されなくてもよいと思うような、緩い組織、または、習慣ができてしまう。そうすれば、目標も達成されない。
目標達成にこだわる意思を示すことが重要で、その空気を作らなければいけない。そのためにしっかり、管理をする。

自分事を言えば、目標を立てても守らず、目的意識が緩くなってしまう。組織では、監督者がいるので、強制力などが働くが、個人での目標に取り組む時、どうしても自分に甘くなってしまう人は、そのような環境を作る意味で、コーチのサービスを受けることも有用ではないかと考えた。

KPIマネジメントの実践

基本的に、PDCAに沿って行く。
P:Plan
D : Do
C : Check
A : Action

このPの部分でKPIを設定していく。

PDCA : Plan

ビジョン(ストーリー)の策定
目標値を設定するのは重要であるが、ここでその目標は何のために設定されるべきなのかということも明確にしなくてはならない。
なぜ、このような数字にこだわっているのか、その共有ができずに行動がそろわない、また、なぜこんなことしなければならないんだ疑念を持ち、行動に信念をもってコミットできない。
実行するのは、人でそこには気持ちが入ってくるので、なぜこれをするのかというストーリーが重要になる。
例:地球上の人々にインターネットのサービスで娯楽を提供し、世界共通の娯楽文化を作って、国境を越えた文化を作りたい。

目標を指標に変換する
目標を指標に変換していく(何を指標にするかということ)。
そこには、2つの視点がある。財務の視点と、提供価値の視点。
財務は、売上、営業利益など。
提供価値は、顧客の満足度などいったことになる。
提供価値は定量化するのが難しいので、財務の指標をKPIとして持っている会社は多い。
しかしながらサービスを提供した結果として、顧客への提供価値が、財務のKPI達成につながるので、この顧客への提供価値を意識することは、とても重要。KGIが財務の指標で置かれていたとしても、提供価値がその土台になっているので、それを見える化することは重要である。
財務だけでなく、提供価値の数値化も忘れずに行う。

指標が定まれば、水準を決める
具体的に売り上げは、○○円など。
その時には、自社のみならず、市場、顧客をしっかり分析したうえで策定する。数値の根拠が必要になる。例えば、市場が15%伸びてきたので、売り上げも15%伸ばすなどの具合に。
色々な視点から、高いかつ達成可能な目標を掲げることが重要である。
全体の成果指標(KGI)が決まれば、細かく分解して目標を立てていく。
例:売上が1000億円ならば、事業1:500億円、事業2、3:250億円。

CSFを特定する

大きい視点から小さい視点をたどってCSFを特定していく。
重要なことは、XXをすれば、目標を達成できるということを納得感できる形で、特定していくこと。


経営の粒度での考え方

CSF( Critical Success Factor )は、重要成功要因のこと。
これは、KGIを達成するためのプロセスKPIを設定するための工程。
そのためには業界の傾向、戦略、構成要素を基に考える。
構成要素に関しては、売り上げをKGIに置いた場合、
売上 = 客単価 X 顧客数
客単価 = 購入数 X 商品単価。。。
のように分解して考えて、重要成功要因を特定していく。
それは、周りの環境や、競合などによって変わっていく。
近くに同業の価格帯の安い競合ができれば、顧客数を減らさないことが重要になってくるといった具合である。
セクション、部門、機能粒度での考え方
1.ネガティブ要因で見る。
工程が5工程あるとして、3工程目の生産性が他に比べて、半分だったとすれば、1,2工程がいくら生産性が高くても3工程目で足を引っ張てしまうので、この3工程目が重要な成功要因となる。
2.クリティカルパル
プロジェクトの全工程を線で結んだ時に最長となる経路のこと。
いかにこの経路の時間を短くできるかで生産性が変わる。

もちろん上記以外にも様々な視点があるので、それは自分に合ったキーを見つけることが重要になっていく。

CSFをKPIに置き換える

SMARTを目指す。
Specific:具体的:誰が見ても一つのとらえ方しかできないという明確さ
Measurable:測定可能:量、質、コスト、スピードが基本事項
Achievable:達成可能:できる目標ではなく、勝てる目標を!
Relevant :関連性:会社にはビジョンがある。その整合性が取れているか。
Timely : 時間軸 :期限を明確化

前提条件の明確化
質の高い成果を出すといっても、時間を2倍かけていたら意味がない。そこには、前提となることが存在する。
それを目標のKPIとして一緒に管理することによって、誰がみても明らかになり、誤解を生まない。

相対する事項
コストカットをされながら、スピードの向上をもとめられることもある。その場合は、ロードマップの作成がおすすめ。順を追って達成していくことが大切。両方同時に取り組むと、未達になる可能性が高い。

個人タスクの設定
企業でのKGI、KPIが設定されれば、部門、事業レベルまで落として、最終的には、個人のKPI、KGIにまで分解される。このKPIに沿って、個人のタスク
who, when, what , howというアクションを設定していく。
各組織の担当に抜け、漏れがないことを確認して関係性も整理することが重要。
これで、会社の経営レベルから、事業、部門、個人と構成要素が分解されていくことで、個人の役割が見えるようになり、会社にどのような貢献をしているかが視覚でりかいできるようになる。 

PDCA : Do / Check

重要なことは、データの収集、視覚化、評価、報告のサイクルを作ること。

データの収集
データの収集方法をルティーンに組み込む。
何のデータを、いつ、どこで、誰が、どこにあるのか、ない場合はどうするのか、どの範囲から収集するのか、ということを明確に決めて業務として落とし込む。
その時に、なぜそのデータが必要かということをストーリで従業員を納得させる。無駄な業務が増えるとなり、歓迎されるとは限らない。

データの視覚化
集めたデータは、チャート化する。見えることで、把握できるようなる。
お勧めの方法は、信号形式で、青、黄色、赤で表すこと。
そうすると、一目で何をどれだけ取り組まなければいけないのかがわかるようになる。認識のずれも避けることができる(何に注力して取り組まなければいけないのかわかるようになる)
青:中間目標 達成中   :KGIの達成可能~確実
黄:中間目標 達成中/ 未達 :微妙~達成可能
赤:中間目標 未達    :不可能~未病
KGIを四半期目標として設定した場合、、月ごとのKPIを立ててそれを基準に達成度を見える化することも有効。
3段階評価なのは、見る人が見やすいから。これは共通認識を作るのが目的であるから、5段階評価などにすると細かすぎて、理解しずらくなる。どうしても5段階が必要になったら変えるというのは可能。
重要なことは、見やすく、理解しやすいこと。それを通して齟齬が起きないようにすることである。
注意点は、永遠に黄色になること。来月は、頑張りますといってずっと黄色であることがある。そのような場合では、ルールを設けて、3か月連続黄色ならば、4か月目からは赤になるのようなルールを作っているところももある。

PDCA : Action

達成できなかった要因を明確化する。
改善の方向性を決めて実際に行動する。
KGIの達成にかかわらず、期末には振り返りをして、組織的に改善すべき点を洗い出すのが重要事項である。

今回は、本書の前半部分を自分なりにまとめた。
本書では、さらに実践するに行い、有用なツールなどを紹介している。興味のある方はぜひ一読を。

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