後世への最大遺物

後世への最大遺物

本の紹介者:あい

こんな人に読んで欲しい
・自分の人生に一体どんな意味があるのか、と悩んだことがある人
・残りの人生で何をしようか、何を残せば良いだろうか、と考え中の人
・今現在苦境にある、もしくは大きな決断に迫らせており、未来が見えにくい人

1.後世への大遺物とは?

 「私の人生に、一体どんな意味があるのだろう?なぜ私は、今の時代のこの日本に生まれてきたのだろう?」

 そう考えたことは、ありませんか?

 私自身は、思春期以降時々考えることがあります。直近で人生の意味をじっくり考えたのは、ちょうど1年前です。その時に手に取ったのがこの本でした。

 内村鑑三氏は、後世に残すべきものをいくつか述べています。意外にもユーモアたっぷりに。

 鑑三氏はキリスト教の思想家なのですが、欲を見せる人間らしい一面もあり、それが言葉の説得力を増す一因になっています。

内村鑑三氏が考える、後世に残すべき大きな遺物
1. まず、お金!「君よ、金を溜めたまえ!」
※但し、死ぬときはお金を社会に残していって。自分の子どもにだけ残すのは違う。

2.それが無理だったら、事業。
お金がなくても、(投資をしてもらって)人のお金で事業を残し、人々の暮らしを豊かにすることができる。ただ、誰にでもできるものではないと思う。

3.それも無理だったら、思想(教育)・文学。
自分が事業をできなくても、思想を文学にして残すことで、誰かが大事業を起こしてくれるかもしれない。何より文学を書くことは1人でもできる。
 

 ただ、これらは大いなる遺物ではありますが、最大遺物ではない、と内村鑑三氏は言います。

 では一体、最大遺物って何なのでしょうか??

2.誰にでも残すことができる、「最大遺物」

 お金も、事業も、思想・文学も、結局誰にでも残せるものではない。それなりのハードルがあります。だから「最大遺物」ではない。そう内村鑑三氏は言います。

 では、誰にでも残すことができる、「最大遺物」とは何か??

 それは、「人の生涯」「生き様」です。 

 例えであげられているのは、トーマス・カーライルという作家です。

 何十年もかけて書きあげた原稿を、友人が「一晩だけ貸して」というので貸したところ、その友人が誤って原稿を燃やしてしまったのです。一生をかけて書き上げたものが一夜にして灰になってしまったら・・・みなさんなら、どうしますか??

 トーマス・カーライルはどうしたかというと、もう1度書き直したそうです。

 「不運に遭っても、めげることなくもう1度立ちあがり、書き直した」という「生き様」。これは、人に勇気を与えますよね。

 私たちも、いつどんな苦境があるかもしれません。それでも自暴自棄にならず、もう1度立ち上がり行動しよう。彼の生き様を見ると、そう思わせられます。

3.あなたの人生の1日1日が、「後世への最大遺物」になり得る

 私たちは、ついきらびやかなものに目が行きがちです。

 もし自分にお金があったら、こんな事業ができたのに。もし都会に生まれていたら、もっと早くからチャンスがあったのに。もし今の時代に生まれていたら、女性であっても、もっと社会で平等に活躍できたのに・・・。

 そういう思いが頭をかすめたことがある人は、意外といるかもしれません。

 でも、様々な困難に打ち勝ってみた、弱いものを助けた、人にやさしくした・・・そういった生き方や姿勢を示す。それによって後世の人が励まされ、結果的に幸せな気持ちになることができるのです。

 これって、結局1日1日の積み重ねですね。

 実は1年前にこの読んだ後、私自身が「何を残すか」は、ぼんやりとしか考えられませんでした。

 「自分の生き様を子どもたちに、そして事業を次の世代に残そう。事業の大小はさておき、次の世代の誰かが『あってよかった』と思えるようにしよう。」そう決めた程度でした。

 そして1年経って、今回もう1度読むと「うわっ!何かが降りてきた!!」そんな感覚になりました。

「希望の世の中であることを信ずる」

 この1文に釘付けになりました。

 私の残すべき「生き様」とはーーー未来は希望に溢れているということを私自身が心から信じて、それ次の世代に言葉と行動で毎日示していく。そうすることで次の世代に少しでも多くの希望を残していくことなんだ、と改めて気が付いたからです。

 1度読んだときは頭で理解して、2度目でやっと自分事として引き寄せることができた気がします。

 あなたは、どんな「生き様」を後世に残しますか?


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