呑みの席で スマホ検索・・・？

酒好きのボクは、外で呑む機会も必然的に多くなる。
ひとりで呑むこともあれば、友人・知人たちとワイワイ呑むのも好きである。 後者の場合は「酒を呑む」と言う行為そのものももちろん楽しいのだけれど、その酒の席で色々な話題について意見を言ったり聞いたりするのが楽しい。

ここで大切なの「過程」であって「結論」ではない。
「話の内容が面白いか？」が問題なのであって「話の内容が正しいか？」ではない。
「一つのテーマからいかに他のテーマに広がるか？」が楽しいのであって、「特定のテーマに対する答え」が欲しい訳ではない。

先日、とある中華料理屋で会社の面々と食事しながら酒を呑んでいた時の話である。

円卓に通されたボクたちは早々に料理を発注し、料理を待ちながらビールを飲んでいた。 そこに最初の料理が運ばれてきた。 ボクたちが座っていた円卓は、元来７〜８人用のテーブルなので比較的広く、テーブルの真ん中には料理を載せてみんなでシェアするための回転台が置かれていたので、店員さんは運んできた料理を迷わずその「回転台」に載せ、回転台を回転させてその料理をサーブしてくれた。

それを見ていたスタッフのひとりが・・・
「いやぁ〜、この回転台、すっごい便利ですよねぇ〜、さすが中国？千年の歴史が生んだアイデアなんですねぇ〜」 なんて言い出した。

そこへ、他のスタッフが・・・・
「でも、この回転台って中華料理屋でよく見ますが、中国発祥ではなくて日本の中華料理屋が始めたって聞いたことがありますよ」

確かに、ボクも同じ話を聞いたことがあるので、まぁそうなんだろうと思っていたところへ別のスタッフが・・・
「でもこの店の回転台、中心がずれていて回すと変な動きしますねぇ。　それに動きがスムーズじゃないし、これってきっと中国人が日本製のものを真似して作ったんですよ。だから作りが雑なんですよ。」と・・・

確かにここの中華料理屋の店員さんはみんな中国人であった。

「やっぱりこういう道具は日本製のクオリティ高いっすよねぇ～、見た目に似たものは作れても日本製のクオリティの高さまでは真似できないんですよ」

「そういえば、××さんが自宅にで使っているフランス製食器洗い機が故障したので、同じものに買い替えたら、その後すぐ壊れちゃったらしいっすよ」

「そもそもフランス製ってのがクオリティ低そうだしねぇ・・・」

「でもさぁ、『食器洗い機』って油汚れが汚れ落ちずらくないかい？　特にガラス製のグラスを他の食器と一緒に『食器洗い機』に入れると油が付いちゃいそうで嫌なんすよねぇ～」

「いやいや、ちゃんとした『食器洗い機』は水の温度が結構高いので、油汚れは綺麗におちま・・・」

と、話題の中心がすでに「回転台」から「食器洗い機」に移っている間、ずっとスマホをいじっていた「回転台」の話題をふってきたスタッフが突然・・・

「中華料理屋の『回転台』の正式名称は『？？？？』で、19xx年に、日本の東京・？？の中華料理屋の？？？で最初に使われたのが初めで・・・」
と、ご満悦でしゃべり始め、食器洗い機の話をしていた他の４名はぽかんとしてしまった。

いやいや、あなたの言っていることは本当なんだとは思うけれど、今はもう誰もその話してないし・・・、
そもそもスマホで調べられる情報なんて暇なときに自分で調べるし・・・
と全員がドン引きして、その場はしばし沈黙に支配されてしまった。

そもそも、みんなで色々と談笑している最中に一人でスマホをいじっていて、その間の会話には興味も示さないと言うのもどうかとは思う。
百歩譲って呑みの席でスマホを使って色々検索するのは良しとしたとしても、その結果を話題にする時には、その話題を蒸し返しても大丈夫な話題の流れなのかの確認と、検索結果だけをつらつらしゃべるのではなく何らかの枝葉・オチを付けるというのが礼儀だと思っているが、呑みの席でスマホを持ち出す奴はだいたいそのような会話を膨らませるスキルがないのである。

無論そうではない人もいるにはいる。
つまり、その時に話題になっている内容を瞬時にスマホで調べ、適格な答えとそれなりのエッセンスを加えて、場合によっては話題が広がり話がおもしろい方向に転がして行けるスキルを有している人である。
ただし、それは相当高度なテクニックなので素人が真似をすると間違いなくタイミングを逸することになる。

繰り返しになるが、呑みの席での会話で重要なのことは、その会話の内容が「おもしろいか」どうかであって、「正しいか」どうかなんて二の次である。そもそも「正解」を求めて議論している訳ではないのだ。

決して「呑みの席でのスマホで検索」と言う行為を100%否定する気はない。ただし、スキルもないのに「呑みの席でスマホ検索を多用する奴」のことは、ボクはあまり好きになれないなぁ～と思う今日この頃なのである。