DAY 27. the Final flight
想像もしてないエンディングを迎えようとしている。
神は簡単には世界一周を許してくれていなかった。
昨日までは、特に大きなイレギュラーな事態や、障壁はほとんどなく、ただただ平穏にこの旅を終えようとしていた。
昨日メールでこんな情報が届いた。
今回は航空会社からだ。
ドイツでは頻繁に公共機関のストライキが行われるのは知っていた。
ドイツ人はきっちりしているようで、その実は、時間管理もいい加減で、列車などまともな時間に来るのは稀で、大概遅れたり途中で運休したりするのは常らしい。
几帳面な日本人には考えも及ばないことが、ドイツでは普通に起きることに、ある程度想像は出来ていた。
届いたこのメールがどのくらいの信憑性があるのかまだ半信半疑であった。
ロンドンのホテルを10時過ぎにチェックアウトして、ヒースロー空港に向かった。
行きの距離感とは違い、帰りは半分くらいの距離に感じながら、全てが順調で、あっという間に空港に到着した。
ロンドンから、フランクフルトまでのフライトは1時間弱ほどで難なく着陸した。
フランクフルトは今回の世界一周の最終寄港地である。
ドイツの入国手続きが終わり、予約してあるホテルへ向かおうとしたが、虫の知らせで、さほど急ぐ旅でもないし、一旦航空会社に電話で尋ねみることにした。
到着ロビーの椅子に座り、メールに記されていた電話番号に電話をかけるも、電話が集中しているので、このまま待つか、改めてかけ直せと自動メッセージが延々と流れてくる。
本来は2月1日20時45分発羽田行きの航空券を手配済みである。
メールによると2月1日は終日空港の入出国手続きがストップするらしい。
航空機は日本から到着しても乗客を乗せられないということらしい。
スマホのアプリには明日のフライトの欠航の知らせが入っていた。
このままホテルへ行ってしまえば、電話で延々と繋がらないコールをし続けて、便の振替もできないまま当日を迎えそうな気配がしてきた。
電話が無理なら、直接航空会社の係員に振替を依頼するしかない。
1月31日の20時45分発の便は定刻出発と、空港に表示されている。
出発時刻3時間前からしか係員は来ない。
17時半過ぎ当該航空会社の係員が現れ、チェックインのカウンターをオープンさせた。
当日のチェックインの乗客の列が長く伸びている。
事情を話すも、チェックイン手続きのピークを過ぎたら対応するから待てと言われた。
やっと長い行列を捌いた係員は、改めて事情を聞いてくれた。
第一希望は、スト翌日の2月2日の便。それが難しければ、今日1月31日の便に空きがあればそれでもいいと伝えた。
パスポートを預けしばらくして、本日の便に最後の1席空きがあり用意できるらしい。
そもそもフランクフルトには目的があったわけではないので、ホテルへは向かわず、1月31日の便に乗ることに決めた。
ロンドンから飛んできて、ドイツに入国して、すぐまた出国する羽目になった。
逆に疲れも出ていたので好都合だった。
ホテルへはキャンセルの連絡もできず、引き落としのメールが入っていた。
満席のフランクフルト発、羽田行きの12時間超えのフライトを終え、先ほど羽田から自宅に戻ってきた。
思い返せば、これほどの長期間の旅は初めてであり、不安もあったが、健康で危険な目にも合わず、無事帰って来れた。
できることなら、もっと若い時に、同じ刺激を受けてみたかったと思う。
帰国の機内の中で、スマホの写真フォルダの思い出を一枚一枚たどりつつ日本に向かった。
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