【バーチャル蠱毒の覇者】初見のための九条林檎まとめ

九条林檎をご存知だろうか。

2018年11月に行われ、『バーチャル蠱毒』という別名で一部で話題となった、「最強バーチャルタレントオーディション極」を勝ち残り、12月にバーチャルタレントとしてデビューしたのがこの九条林檎である。

この記事では、九条林檎に興味を持った人に向けて、彼女の魅力を紹介し、「なぜ今、彼女を追うべきなのか?」をできる限りの言葉で説明しようと思う。

九条林檎の動画・配信

彼女の現在の配信プラットフォームはShowroomだが、YouTubeにも動画が上がっている。初めて九条林檎に触れる人は、まずは動画を見てみるのが良いだろう。ここで紹介する動画は全て見ても10分はかからない。

YouTubeだけでなく、Twitterにもいくつか動画が投稿されている。(2020/03/03 動画差し替え)

九条林檎は魔界における領主の娘、すなわち貴族である。そのため、高貴な振る舞いと落ち着いた言葉が基調ではあるものの、動画や配信では茶目っ気のある姿もみることができる。普段の姿を知るものほどそのギャップに親近感を持たずにはいられないだろう。

また、普段は通常21時〜22時に、Showroomで配信を行なっている。登録不要でそのまま見れるが、スマートフォンではアプリをインストールするのがおすすめだ。また、コメントやギフティングによる支援には会員登録が必要になる。

上記の動画を見て興味を持ったり、普段の配信の様子をもっと見てみたい場合には、YouTubeチャンネルにアーカイブの再生リストがある。配信側での録画を後でアップロードする方針をとっているため(2019/10/12現在、同年2月末時点まで)、アップロードが遅れたり、アーカイブが残らなかったりすることがあるが、基本的には配信はアップロードされる。配信を生で見れない場合でも、気が向いた時にアーカイブをチェックして気になったものを見るだけでも十分楽しめるだろう。

なお、最初に見るアーカイブとしては短編のフル尺である1/10夜配信(1時間)や1/14朝配信(30分)あたりが良いだろう。ちなみに、配信には今挙げたVR空間を活かしたバーチャルキャスト配信の他、バストアップのみの雑談配信(12/29や1/17など、サムネイルが紫の背景のもの)、静止画+音声のみ配信(アーカイブが残らないことも多い)のパターンがあり、初めはVR技術の楽しさに触れられるバーチャルキャスト配信がおすすめである。

(2/5 追記 2/2アーカイブのショートバージョン(2分)とフルバージョン(1時間15分)がアップロードされた。最初のアーカイブとしてこの回もぜひおすすめしたい。)

アーカイブで配信に興味を持った読者には、時間が合えばShowroomでのリアルタイム視聴をおすすめする。Showroom配信はYouTubeと異なりコメントのログが残らない。コメントを拾う場合は基本的に読み上げてから反応するため、アーカイブでも話がわからなくなることはないが、拾われなかった秀逸コメントや、不意に見せる可愛らしさに昇天するリスナーの反応など、コメント込みで見ると体感1.5倍配信を楽しめるだろう。

(10/12 追記)コラボ動画として、東雲めぐらとコラボした動画やAVATAR 2.0 1期生とのコラボ動画(50分)もお勧めだ。
また、「平成ペイン」歌ってみた「真生活」踊ってみたLIFEパロディネタ動画など(いずれも5分以内)、バラエティに富み趣向を凝らしたショート動画も勧めたい。九条林檎の提供するコンテンツは日々進化しており、時間が経つにつれてお勧め動画の数が増えていくのは致し方ないことであろう。

('20/03/03 追記)九条林檎が3/1に完全ワンオペでバーチャルライブを開催した。すべて一人でやっているとは思えないクオリティと作り込みは、九条林檎の企画力・技術力・パフォーマンス力の高さを十分に堪能できる。本編1時間程度だが今一番見てほしい動画だ。(開始27分ころから)
Feslusic. prototype produced by KujoRingo


九条林檎のTwitter

九条林檎の配信の情報や最新情報は本人のTwitterがもっとも確実な情報源である。そのため、情報を得るためにTwitterをフォローしておくことをおすすめする。

また、彼女のTwitterは配信・動画と並ぶ主要コンテンツであり、コミュニケーションツールでもある。これは私見だが、デビューを決めたオーディション(詳細はのちに解説する)での勝利にもっとも貢献したのはTwitterにおける活動であり、九条林檎というコンテンツの魅力の少なくない部分はTwitterに記す言葉にあると思う。本人によると、声・配信は好きではないがTwitterは好き、という者もいるらしい。筆者自身は当然配信も好きだが、Twitterを追うだけでも面白いというのも十分理解できる。前章で紹介した動画や配信が合わないな、と思っても、Twitterをのぞいてみることはぜひ検討して欲しい。

オーディション中のTwitterでの活動は特筆すべきものがあるが、オーディションが終わった現在でも、時折ハッとする言葉が飛び出してくることもあれば、生活が垣間見えるつぶやきもある。そしてその全てが(Twitterとは得てしてそういうものだが)九条林檎その人の実在を感じさせてくれるのである。

何かの引用だろうか?と思ってしまうくらい素敵な返し。

彼女は魔界から来た吸血鬼と人間のハーフである。

表現としての良さもあるが、オーディションのことを思うと「我が我でなかったら」に特別な重みを感じてしまう。


バーチャル蠱毒、あるいはオーディション極

ここからは余談というか、九条林檎のこれまでの話だ。九条林檎というコンテンツを楽しむにあたって、さしあたってこれ以降の文章を読む必要はない。ここからは、九条林檎をより深く楽しみたい者や、九条林檎という新人バーチャルタレントが紡いで来た(そして紡いでいくであろう)物語に興味があるという物好きに向けての文章だ。

バーチャル蠱毒について概要を説明すると、正式名称「最強バーチャルタレントオーディション~極~」という、Pixiv、Showroom、TwinPlanetの3社による公開バーチャルタレントオーディションの俗称である。

なぜ蠱毒などという物騒な名前で呼ばれることになったか?それは、バーチャルタレントの外見(立ち絵・3Dモデル)に対して、12〜13人の候補者がその「中の人」の立場を争うオーディションを公開形式で行なったことによる。結果として、12人の九条林檎が同時に配信を行い、人気のない者から脱落していくというバーチャル史上類を見ない事態になった。

バーチャル界隈においては、外見と「中の人」は不可分な一人の個人として見られるのが通例である(そのため厳密には中の人という表現は適切ではない)。同じ外見を持ったキャラクターたちの中でもっとも優れた個体が「本物」として残るという構図が、毒虫を共食いさせもっとも毒の強い個体を残す蠱毒という儀式に例えられたことで、その残酷さが耳目を引き、Twitterで一時期トレンド入りするという盛り上がりを見せた。

その中で、もっとも上手く立ち回ったのが今の九条林檎、当時の九条林檎No.5 だった。(ちなみに、候補者は皆九条林檎であるため、No.1〜No.12までの番号で識別されていた。) 彼女はバーチャル蠱毒としてオーディションが話題になったタイミングを逃さず、「バーチャル蠱毒」をキーワードにエゴサをかけ、遠巻きに見ていた野次馬に直接声をかけることでこの催しに引き込んでいった。結果的に彼女は多くのファンを獲得し、オーディションを勝ち抜くことになったのである。

当時の彼女の様子は以下のTogetterにて見ることができる。

また、オーディション時の彼女の振る舞いについては下記のブログがよくまとまっている。

このオーディションについては九条林檎No.5だけでなく、他の九条林檎や他のキャラクターについても様々なドラマがあり、ここでは到底語り尽くせない。良し悪しはともかく、バーチャル史上に残るイベントであるので、興味を持った方は「オーディション極」「バーチャル蠱毒」でぜひ検索してほしい。九条林檎No.5については、当時の放送のアーカイブも有志によってYouTubeに上げられているので、九条林檎の過去を知りたいという方はこちらも見てみると良い。

ここで抑えておきたいのは、今の九条林檎は蠱毒と称されたオーディションを勝ち抜いて来たということ、九条林檎を語るにあたってこのオーディションは不可分であるということだ。それはひとえに、このオーディションは九条林檎という物語の序章であり、彼女のスタンスと振る舞いの魅力がもっとも発揮された舞台であったからだ。

しかしながら、オーディションについて知ることは今や必須ではない。序章はあくまで序章であり、彼女の魅力を感じられる機会は今後ますます増えていくだろうからだ(そう信じている)。彼女自身が言うように、九条林檎というコンテンツを楽しむ方法は自由である。まずは頭を空っぽにして、動画や配信、Twitterでのやりとりを楽しむといい。

それに、どうせここまで読んだ文章好きの読者は、九条林檎にはまったら彼女の過去の足跡を追わずにはいられなくなるのだから。


物語としての九条林檎

ここまで、コンテンツとしての彼女の各側面についてかいつまんで解説してきた。無論各コンテンツがそれぞれ面白いものであることは否定しない。しかしながら、筆者が九条林檎について真に魅力的だと思うのは――このような長文を書くほどまで私を惹きつけるものは――これらのコンテンツの総体として織りなされる物語である、ということを補記しておく。

私は九条林檎をひとつの物語として捉えている。彼女は、私が見たどのVtuberよりもネガティブであり、悲壮感がある、と思う。それは、彼女の現状認識の厳しさからくるものだ。バーチャルの世界は流行り廃りが激しく、YouTubeチャンネルの登録者2000人という数字は企業勢としてあまりに少ない。タレント事務所は慈善事業ではなく、このままでは事務所が撤退を決めるのが先か、九条林檎の人間界での生活が立ちいかなくなるのが先か、という状況でもある。そしてその認識は、悲観的かもしれないが同時におそらく正しいのだ。

それでも彼女はその持てる力を尽くして、この世界でコンテンツを産み出し続けている。彼女は人々に「エモーショナル」を届けるためにここにいる。かつて彼女はオーディションの場でこう言った。自分が負けて散ることは構わない、その時はその美しい散り様を貴様らの心に刻みつけよう、と。これから先、彼女が一世を風靡するタレントになるとすれば、それは輝かしき成功の物語だ。あるいは流行に消えゆく定めなら、それは美しき幕引きとともに終わる別れの物語になることだろう。

当然ながら、これから先我らが見ることができるのは九条林檎の成功譚であると信じている。この物語を間近でみることができるのはまたとない体験だろう。万が一そうならないとしても、物語の美しさは保証されている。彼女の産み出すコンテンツを楽しみながら、この物語の先をともに見ることを、私は是非ともお勧めしたい。


九条林檎を応援するには

最後に、九条林檎という物語を見届けると決め、願わくばそれが成功の軌跡であることを望む者たちに、最初の指針を与えよう。

好きなように九条林檎というコンテンツを楽しめ。

これは彼女自身の言葉である。別にアーカイブを全て追う必要はないし、配信に行ってギフトを投げる必要もない。もちろん全力で追ってもいいし、ファンアートや2次創作を作ってもいいし、ポエムがかった九条林檎まとめ記事を書いたっていい。飽きたら別のことをして、たまにTwitterを覗くといい。活躍に向けたビッグニュースがあるかもしれないし、散る間際の彼女を見れるかもしれない。コンテンツは、楽しんでこそコンテンツだ。

この記事を読んでくれた奇特なあなたが、この物語の目撃者になることを祈っている。


九条林檎
Twitter:https://twitter.com/ringo_0_0_5
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCf57-IJn5mUJDyqd9uNEmrg
SHOWROOM:https://www.showroom-live.com/ringo-005


ちなみに、「九条林檎を応援する方法」「物語としての九条林檎考察」は書き足りないので別記事で詳しく書く予定。

(2/3追記)

(4/30 九条林檎考察 バーチャル蠱毒と呼ばれたオーディションが九条林檎という物語の中でいかに位置づけられるかについての論考)




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