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アクアマリンのピアス

これまでの永い不在を詫びるように、そのひとはわたしに小さな箱を渡した。

今っぽくないアクセサリーブランドのロゴが銀色に煌めいていた。
リボンを解いて中を覗くと、入っていたのはアクアマリンを留めたプラチナ製のピアス。

15の秋。
それが最初で最後の、父からの施しだった。

だから――といった表現が適切なのかはわからないけれど――何年もジュエリーボックスの中に仕舞ったまま捨てられずにいて
でもある日突然、こんなことに意味はないと知って売り払った。

いくらになったのかも、それを何に使ったのかも、最早わたしは覚えてなどいない。

あの日以来、父から連絡が入ることは二度となかった。

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