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蛇足と沈黙 僕がヱヴァもしくはエヴァを見てしまう理由

 蛇に足があるとしたらどんなものだろうか。それは最初に人間を誘惑した動物にふさわしい美しさと、グロテスクを兼ね備えたものに違いない。

 ヱヴァンゲリヲン新劇場版が無料開放されるとのことで。https://www.evangelion.co.jp/news/stayhomeeva/

 なぜ僕がこんなにもヱヴァもしくはエヴァを見てしまうのかをまとめた古いテキストを発掘したのでまとめてみようと思う。それは

1. セカンドインパクトというある種の戦後ではあるものの、14才としてそれなりに楽しく過ごせたであろうことが用意に想像できる主人公の少年少女たちが

2. 使徒の襲来という戦争状態に巻き込まれ、一般的な青春時代/学生時代をなくし

3. なおかつ生まれ持った境遇や才能のためにその中でも最も重い(人類を救う)責務を負わされて最前線へ送られ(好きにしろと言われてもシンジくんみたいなこは結局、背負っちゃうと思う)

4. そんな中でも育まれたほとんど唯一と言っていい戦友たちとの絆すら最後には崩壊してしまう。

というところだと思う。つまりこの切なさが癖になって見てしまっているようだ。

 筆者のアニメ摂取量は日本人の平均並か、少し下くらいだと思っているが、そもそも大体のアニメ(特にロボットもの *1)において主人公達は重責を負う宿命にある。しかし、もし平和な日常であったならと思わずにいられないアニメをエヴァ以外にぱっと思い出せない。それは他のアニメが我々の感覚から見て、平常時という状況を必要としていない(平時だと物語がそもそも成り立たない)からだと思う。ちなみにこれはエヴァが他のアニメに比べて優れていると言っている訳ではないのです。念の為。

 完全に個人の好みにもよってしまうが、例えば平時の設定で12話分のエヴァとガンダムがあったとしてあなたは平時のガンダムを12話分見たいだろうか。私(非コアなガンダムファンであり、非コアなエヴァファン)はおそらく12話分見きれないだろうし、見たいと思っても本筋ありきのサイドストーリーとして見たいと思うだろう。例えをガンダムじゃなくしてもほぼ同じだろうと思う。逆にいい勝負をするアニメがあるかどうかという話題はそれはそれで盛り上がりそうというか、もうどっかのサイトでとっくの昔にされてそうとさえ思う。

 おそらく平時のエヴァというのはラブコメになると思うが、十分ラブコメでも成り立ってしまうキャラクターの特殊性、強さが成しているものだ(そしてそういう商品も確かいくつかあったはず)。実際、セカンドインパクトや、エヴァンゲリオンという設定や背景がなくてもあの4人がそこにいると想像するだけで何らかの会話が皆の頭の中でも聞こえるのではないだろうか。再度念の為だがこれは他のアニメのキャラが弱いということではなく、平時向けではないという意味で書いている(ガンダムでラブコメをやろうとしてもリアル/シリアス過ぎてラブコメにならないと思うし、そもそもリアルな恋愛の描写は作品中に普通にある)。

 そんなラブコメでも十分成り立ちうるようなキャラクター達が戦争を戦い、そして大事なものが壊れていってしまうある種の二重性がこの切なさの原因であり自分がヱヴァもしくはエヴァを見てしまう理由だと感じる。

 ちなみにこれこそ本当の蛇足だろうと思うが、ガンダムが嫌いというわけでも否定してる訳でもないので(閃光のハサウェイも楽しみにしてます)。エヴァも好きかと言われたら…しかしエヴァもガンダムも見たいかと言われたら間違いなく見たい。

*1 エヴァはロボットじゃない。はい、分かってます。でもスーパーロボット大戦に…あ、はい。すいません。


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