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2019年に書いたもの

昨日は〆切で仕事納めの日だった。間に合ってほっとした。
お酒を飲もうかと思ったがなんとなくやめ自炊をし、『3月のライオン』の新刊を読んで泣き、22時には就寝。そしていつも通り朝起きて、今これを書いている。


昨年から書いたものを振り返るようにしている。

これまでそういうことをしたことがなかったが、今のわたしは過去の堆積でできているのだとようやく理解してから書き残すようにしている。この文章ですら、今のわたしを構築する一部になる。そして書いてみて思ったのけど、過去を振り返ると感謝の気持ちが湧いてくる。これを書く意味は、自分のやってきたことを確認するとともに、自分を支えてくれ応援してくれた人のこと、なぜ自分がそれをできたのかということを、改めて認識するためなのかもしれない。

▼出版

今年は3冊の本を出した。

『経営者の孤独。』
2018年8月から取り掛かっていた、Webメディア・BAMPでのインタビュー連載「経営者の孤独」を、タイトルを『経営者の孤独。』としポプラ社より出版。クラウドファンディングでも多くの方からご支援いただいた。ありがとうございました。
本当に大きなエネルギーをかけて、ずっとこれを書いてきた。その間、自分の中で大きな変化があった。ひとことで言うと、自分に空いている穴を埋めようとしなくなった。わたしの書くものは、その穴のなかから出ている。
経営者の方々の言葉は、何度読み返しても深く響く、強いものばかり。


『戦争と五人の女』
小説『戦争と五人の女』を秋に出版した。2年半かけて書いてきた、わたしの初めての長編小説。何度も呑み込まれそうになりながら、必死で書いてきた。五人の女が自分の中から出ていって、しばらく力が抜けた。これが書けて本当によかった。


『あの子が苦手なわたしが苦手』
今月出版した、スパイスをテーマにした、短歌と漫画の本。短歌をわたしが、漫画を橋本太郎くんが描いた。ぽつぽつと点のように存在する短歌から、太郎くんがひとつの線を紡ぎ出し、愛すべきふたりの女の子が生まれた。その誕生がすごくうれしかった。


▼エッセイ

【連載:ランラン子育て帖】
上の子が生まれてから8年間、子育てブログを書いている。今は1日と10日(次男と長男の誕生日だ)に更新。子供たちと向き合う時間よりも、書いている時間のほうが、わたしは子供たちのことをよく考えている。


【連載:柳下さん死なないで】
編集者の柳下さんについて書くエッセイは、毎月「4」のつく日に更新。これも開始して2年が経った。「読んでます」と言っていただくことが多い連載。柳下さんは最近になりようやく「あれは書かなくてもいいんじゃない?」と言うのを諦めたように思う。

4日には寄稿バージョンという形式が始まったのも今年。トップバッターは小倉ヒラクさんでなんと小説を書いてくれた。びっくりするほどおもしろかった。その後も多忙極める奇才な方がたが時間を割いて書いてくださり、しかもどれも本当におもしろく、『やなしな』のメディア化が始まった。


【連載:ひと駅ごとの小さな旅】
嵐電さんのウェブサイトで連載している街歩きエッセイ。毎月ちがう駅に降りてそのあたりをうろうろと散歩し、感じたことを書く、というのは実はずいぶん難しい。歩きながら街をつらぬくほんのりと光るテーマを見つける感じ。出不精のわたしにとって、外に連れ出してくれるありがたい存在。


【俺fav寄稿:「わたしの平成論」】
いしなかしょうごさんの連載「俺のfavorite tunes」に寄稿。平成を振り返り曲を選んだら、かなり暗い感じになって気に入っている。


【別冊太陽寄稿:「京都の保育園」】
別冊太陽の京都特集に、京都での子育てをテーマに寄稿した。左京区のもつ「リベラル」という要素について、わたしなりにここで子育てをしていて感じたことを書いている。保育園の園長先生が喜んでくださり、今も園の事務所に飾られている。


▼インタビュー

【連載:経営者の孤独】
2018年から開始した連載、『経営者の孤独』。今年に入ってからは、L&Gグローバルビジネスの龍崎翔子さん、ウツワのハヤカワ五味さん、SCRAPの加藤さん、CAMPFIREの家入さん、矢代仁の矢代さん、ポプラ社の千葉さんにインタビューをさせていただき、BAMPで公開をした(矢代さんと、家入さんの一部のみ書籍限定公開)。改めて振り返ってみると、よく1か月に1度の頻度でこのインタビュー記事を書いていたものだと思う。緊張と興奮の日々だった。


【「お店をやるのは大変すぎる」サブスクリプションから考える“お店2.0”の形】
HOTEL SHE,の龍崎さん、マガザンキョウトの岩崎くん、シンカイの柿次郎さんと、お店を実際に運営している方々による「サブスクリプション」についてのお話をまとめた。三者三様のパーソナリティが魅力的で、書いていると自然とそれが表れて楽しかった。


https://magasinn.xyz/article/2019/04/22/byproducts-2/

【マガザンキョウトWeb:「廃材」から「副産物」へ、新たな価値が生まれる瞬間。| 副産物産店特集 共同編集者インタビュー】
美術制作の際に出る廃材を「副産物」として価値づけ販売する試み。それまで廃棄物だったものから価値を見出すという行為がすごくおもしろい。
マガザンという場所はいつも新鮮なエネルギーに満ちている。実に雑誌らしい場所だ。


【スルッと関西Web寄稿:通いたくなるあの一軒】
北野白梅町のカステラドパウロさんは、カステラ好きなら必ず行くべきだと思う。もともと大ファンだったのでお話できて嬉しかった。


【FICCさま Wantedly:社員インタビュー】
7月から始まった、FICCさんの社員インタビュー。マーケティングのマの字も知らなかったわたしだが、おひとりずつにお話をうかがううちに、マーケティングやブランディングにとても興味を持つようになった。今はFICCさんが大事にしている「リベラルアーツ」に関心がある。インタビューを通じて新しい価値観に出会えるのは本当に楽しい。


【京都精華大学デザイン学部さま:卒業生インタビュー】
今年で2度目となる卒業生へのインタビュー。それぞれのコース代表の4年生に、「セイカで見つけたわたしのデザイン」について話していただく。話をうかがっていると、自分もがんばらないとなっていつも思う。素直に。


▼対談

【連載:なんとか暮らしてます】
今年挑戦してみたいと思っていたことのひとつが「対談」だった。
わたしは15年以上に渡ってずっとインタビューをしてきた。インタビューというのがインタビュイーの方から言葉を受け取る、もっと言えば一緒にその方の内面に深く潜り込んで言葉を探し出す行為だとすれば、対談はふたりでまだ開拓されていない道を歩んで、ともに言葉を探し出す行為のように思う。
初めての対談のお相手は、『経営者の孤独』で出会ったクラシコムの佐藤さん。ふたりで暮らしにまつわるテーマを模索する対談だが、毎回発見があり本当に楽しい。


▼コピーライティング

【ジェイアール京都伊勢丹さま:京都マナビアイ】
京都の魅力を百貨店らしく伝える、というのがミッション。「百貨店らしさ」とは何かについて考え、自分なりに答えを出した。コピーライティングは、クライアントさんのからだをお借りしてクライアントさんの言葉で話すみたいな感じがする。


【池坊短期大学様:大学案内】
デザイン会社のmarble.coさんにお声がけいただき、二度目となる大学案内執筆。いけばなのように生徒を育てる姿勢にはいつも感動する。学生さんがみんなイキイキしているのは、それぞれが自分の「花」をわかっているからだと思う。


【京都精華大学人文学部さま:パンフレット】
写真がないけれど、こんな仕事もした。京都のガイドブックみたいにして、街を歩きながら自分の「好き」を見つけるイメージに。「好き」がなくても、見つければいいのだ。


▼登壇

慶應義塾大学さまにて登壇。自分の仕事である「聴く」と「書く」について話した。7ルールにして汎用性のあるものに、と意識しながら登壇したのだが、伝えたかったのはこのふたつ。
「誰のためでもなく、まずは自分のために、思い切り聞いて書けばいい」
「あなたが心を開く限り、他人も世界も、あなたに対して開いてくれる」


『経営者の孤独。』の出版記念イベント。こちらでも「インタビュー」について話した。柿次郎さんとの違いがおもしろい。そんな取材のしかた考えたこともなかった!と驚きの連続だった。不自然な人間関係である「インタビュー」には、人それぞれの方法がある。


『経営者の孤独。』チームの土門・柿次郎さん、『未来のチームの作り方』チームの藤村さん・阿部さんの四名でトークイベント。『スラムダンク』の話ばかりしてしまったなと反省しつつ、帰ってからまた読んだ。


中学2年生に「大人とは、仕事とは、働くとは」をテーマに話した。その後お手紙をいただいたが、「土門さんの言葉に救われました」と書いてくれている子がいた。本当に嬉しかった。死にたくなったら本を読むといい。何冊か読んでいたら、もうちょっと生きていようかなって思うようになるよ。


HummingBird Bookshelfさんで、『戦争と五人の女』のトークイベント。ずっと書いてきた京都での初めての単独イベントで、そういう意味でも感慨深かった。読者の方とお会いする機会、そして作品について話す機会を作っていただけたこと、心から感謝しています。


▼番外編:受けたインタビュー

いつもインタビューする方なのだけど、今年はインタビューを受ける機会をいただいた。まず興味を持っていただけたこと、そして丁寧に言葉にしていただいたこと、すごくありがたい。
それと、インタビューをされる側の方はこんな気持ちなんだなと知った。わたしはこれまで、大変なエネルギーを相手の方に要求していたのだ。もう一度インタビューについて考え直す機会でもあった。


▼日記

この2年間、毎日日記を書いている。途中からnoteに移籍。
書いていると自分は不安定な人間だなと思うが、日記を書くという習慣に救われる日もある。



昨年「2018年に書いたもの」の最後にこんなことを書いている。

何度インタビューをしても、何度記事を書いても、毎回毎回、「どうやって書くんだっけ」と思う。「これまでどうやって書いてたんだっけ」が役に立たないから、いつも0から書き出す感じで、手探りで、ときどき書けなくなったりして。
すごく大変だけど、毎回「どうやって書くんだっけ」ってなってしまって、多分いいのだと思う。

「今年はこれまででもっとも書いた1年で、もっともご感想をいただいた1年だった」とも書いているが、今年はそう断言した昨年よりももっと書いた1年だった。それでいてやっぱり今も、毎回毎回「どうやって書くんだっけ」と思っている。

もっともっといいものを書きたい。自分でも読んでいて驚くような、これを書くために生きてきたのかと思えるような、いいものを書きたい。
それはきっと、今まで書いてきたものの積み重ねの先にある。だからこれからも書き続けていこうと思う。それが唯一、わたしにできることだ。

そしてそれができるのは、自分を支えてくれ応援してくれる方たちのおかげだと思っている。

今年も本当にありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

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