マガジンのカバー画像

暖炉|よるの木木

11
短編小説
運営しているクリエイター

2022年1月の記事一覧

短編|ビバーク

 新居探しの旅というものはとても大切なものだから、わたしは仕事を早々に辞めた。わたしは象。そして、大きな旅行鞄に必要なものをつぎつぎと詰めていく作業に移る。  外は雨で、夏になりきらない、池の上の蜃気楼みたいな夜が文鎮のように目の高さにあった。 石鹸 レモン 石 ノート コンパス