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暖炉|よるの木木

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短編小説
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2020年11月の記事一覧

短編|映写機

 私は一日中ずっとひまだった。きょうだいもいなかったし。部屋には家具しかなかったし。空白の日には飴を食べながら占いや儀式を考える。鋏を三本とか、シャープペンシルの芯を十一本とか。数字と図形に意味の重みを極端にかけていくのがコツだった。  その日も先の尖ったものを十七本集め、輪に並べて眺めていた。電球のひかりが刃に反射して、それが隣の刃に反射し、またその隣の刃に反射し、ひかりの輪ができた。  真っ白な時刻にはずっと真っ白だった。  私は冷静な子だねと人から言われたい、時には