花弁の迷宮、祝祭と反抗のバラ色 ― 川口隆夫『バラ色ダンス 純粋性愛批判』(よるの木木)
なにかを「変」だと名指した瞬間、「変じゃないもの」も想定される。なにかを「ふつう」だと思うなら、同時に「そこから外れたもの」が暗示される。それら「変」「変じゃない」の対はいったりきたり、その場・その時・その空間で、膜のように容易にうつろう仮初だ。たとえばステージ上の「異」は、日常で感じる「異」とはちがい、それがどれだけカオスであっても観客にとってはときに「ふつう」である。ステージにはステージの規範、日常には日常の規範……と、わたしたちを幾重にもつつむその場・その文脈の規範の