夜辺

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「まだ明けないでくれ」

眠れずに迎えた東雲  動き出す街に取り残されて 世界で僕だけ一人ぼっちだなあ  映画みたいに悲劇さえ作品になったなら  この虚しさも素敵に見えるだろうか  才能はなくとも詩を綴る  「もう少しだけ夜と居させて」  まだ夜は明けない明けない  朝露垂れても明けない明けない  明けないでくれ  鋭利な朝日が刺し込んだ  まだ夜は明けない明けない  星が消えても明けない明けない  明けないでくれ もう少しだけ…

    • 「夏」

      私に言葉を紡がせる何かが それが負の感情ならば、 多くを語らない夏雲に透過して ありありと浮かび上がるあの日の君は、 君が語った言葉は、 君に照りつけた日差しは、 全部間違っていたのだろうか。 夏が来る度思い返してしまう 美しい日々の一部始終 全部間違っていたのだろうか。

      • 「夏が、来るらしい」

        夜は静か。 聞こえるのは風の音とペンの歩く音。 それから時々、列車の足音が響いてくる。 風に乗った夏の匂いが夜の隅の四畳半、 こんな所にまで、訪れる。 夏が、来るらしい。 私は変わらず詩を書いている。 空白を埋めるように 過去を上書きするように。 駄作とも呼べない駄作を この夜を書き留めるように 名残惜しむように。 そして、かつて別れた夏を思い偲ぶように。 夏が、来るらしい。相も変わらず、今年も。 夏が、来るらしい。性懲りも無く、今年も。

        • 「自由」

          春色のシャツを着て出かけても 陽の下ではくすんで見えてしまった。 空白を埋めるように詩を書いても 行間の空白が自己主張をやめなかった。 だから、僕はもがく事を辞めた。 世界を諦めた。 駅前の雑踏に揉まれて 沢山の孤独にぶつかって 沢山の希望にぶつかって 諦めたのは自分じゃなくて世界の方だった と気付かされた。 ああ、そうか、 なら僕は自由だ。

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        「まだ明けないでくれ」

          「夜の底」

          夜と朝の隔たりを越える一歩 昨日から今日へ、今日から明日へ その大海原の様な隔たりを越える一歩 その重い一歩を何千回、何万回と 繰り返してきたあなたが 弱い訳なんて無くて、 月明かりすら届かない夜の底で それでも自分と暗闇との境界線を 見失わなかったあなたを 僕は希望と呼びたいのです 今日もこの街は 悲しい音ばかり響いていますが あなたの様な人が生きるなら 僕も捨てるにはまだ早いと思えるのです

          「夜の底」

          「探してる」

          憂鬱が充満した密室で 僕はずっと探してる もう嫌われたくない だからずっと探してる 僕が変われる理由を探してる 明るいニュース、暗いニュース、 戦争を伝えるニュースの画面に 僕はずっと探してる

          「探してる」

          「あなたの生きる場所になりたい」

          あなたの夏になりたい 涙を蒸発させるほど暑くあなたを照らしたい あなたの歌になりたい 記憶の憂いを帯びた美しい調べを奏でたい あなたの傘になりたい 憂鬱を溶かしこんだ酸性雨からあなたを守りたい あなたの波になりたい 満ちては引き、不安を波間に隠してしまいたい あなたの月夜になりたい あなたのミサイルになりたい あなたの安心になりたい あなたの海風に、プラネタリウムに、 ナイフに、地下鉄に、明日に、 桜に、ライブハウスに、哲学に、 コンパスに、絵の具に、流星群に、 あ

          「あなたの生きる場所になりたい」

          「傷」

          人が人を傷つけて幸福になるなら 僕は傷つけられる方でありたい 人一人を生かす為に 傷つけられる方でありたい

          「傷」

          「日差し」

          あなたが辛くて苦しくて 前を向けない時に 後ろ向きでも少し笑えるように その理由になれますように 僕が辛くて苦しくて 逆風で歩けない時に うずくまる背中を温める日差しのように 遠くから言葉をくれたから

          「日差し」

          「言葉」

          私が朝焼けの雲間に絶望を見出す時、 絶望もまた、こちらを見ている。 私が文庫本の行間から孤独を覗き込む時、 孤独もまた、こちらを覗いている。 私が父親の生き方を笑う時、 父親もまた、私の未熟さを笑う。 私が母親の正義を罵る時、 母親もまた、私の思想を罵る。 私があなたを捨てようとした時、 私はとうの昔に あなたに捨てられていた事を知る。 だから私は私の全てを捨てようと思った。 ただ、私の言葉だけは変わらずにそこに在った。 だから私は干からびた私の言葉を再び拾い上げ、

          「言葉」

          「春」

          富士見通りの十八時 さびれたこの街に青く際立って 僕らの春は咲いた 昨日までの不幸や涙が全て報われたような 今日までの努力や苦渋が ここに帰結したんだと確信したような そんな満面の笑みで 都市でも地方でもない 何の変哲もないこの街の片隅 シャッター商店街の一角で 僕らの春は美しく咲いた それから僕らは毎日その前を通り たくさんの言葉を交わし 小さな春を大切に育てた 「こんなに綺麗なものは 僕には相応しくないのではないか」 とたずねると そこに咲いていた春は 「お前が咲かせた

          「春」

          「空っぽ」

          日々が過ぎ去って思い出は過ぎ去らなかった 夜道を歩いても街灯に笑われてる気がして 明るすぎる月が太陽みたいで目が眩んだ 思い出が去らずとも日々は過ぎ去った 未だに重ねてしまうあの日の景色は 何年経てども嫌に鮮やかなままだった 愛情も友情もあっけなかった これ以上の喪失は耐えられないから 出会いとか朝日には目を背けてた 「さよなら」も言えなかった彼女とか 気づいたら遠くへ行ってしまったあいつとか 古い別れと上手く別れられなかった いつか自分が辿り着くと信じていた未来とか

          「空っぽ」

          「空とかすみ草」

          強い朝日のオレンジが届かない 西の空の青と同じ色の涙 あなたにもらった花を未だに 空に掲げて思い出に泳いでいる ここに居たくないのは 居たい場所があったからで 前に進めないのは 戻りたい過去があるからで 寂しさが苦しいのは 寂しさ以外を知ってしまっているからで 朝日に背を向けるのは 昨日に何かを置いてきてしまったから 心が痛むから 全部忘れてしまいたいんだ だけど忘れられないんだよ 夜通し泣いたんだよ 温かい波が僕をさらう 滲んでも綺麗な空とかすみ草

          「空とかすみ草」

          「SNS」

          本当に不思議だね 繋がりあえることが 痛みまで伝わる 自分のことのように 本当に不思議だね こんなに苦しいのにね 何でなんだろうね まだ生きているのは 僕が全部背負って 誰かが幸せになるなら そうしちゃいたいんだけれど 実際は無力すぎるんだ 目の前で苦しむあなたを 苦しめるその何かを 取り払うことすら出来なくて 無力でごめんね 本当に不思議だね 大切な人を想うのは エゴか愛か執着か 死んで欲しくないんだ 本当に不思議だね こんなに死にたいのにね まだ生きているのは 何

          「SNS」

          「明日の生活」

          一度も明日を疑った事の無い奴らが 僕よりも幸せに生きている事が 何故だか許せなくて そんな自分に嫌気がさして 積み上げてきた過去以外 全てを疑って 堂々巡りの果てに 過去すらも疑い始めた 昨夜から降り続く雨は未だ止まず 小さな不幸だって確かに心を穿つ 見ないふりして効かない薬を飲み下す 今日を生きる為に明日を捨てる生活

          「明日の生活」

          「朝」

          君からもらった思い出を 朝露に混ぜて飲んだ 光を浴びて舞っている まだあの日を待ってる 昨日までの苦しさも 朝日の温度で溶けた 未来の鼓動が鳴っている まだ君を想っている 「戻りたい、いや進みたい」 僕は未だに迷ってる 時間は無情に経っていく そんなの分かってる まだ答えは見つからなくて 眠らず朝を迎えて それでもこうして立っている 今日に抗ってる もう明日を歌うよ もう明日を歌うよ

          「朝」