情報システム戦略(ITガバナンス,EA,SoR,SoE,SoI),業務プロセスモデリング手法(DFD,BPMN),BPR,BPM,IT活用(グループウェア,RPA,BYOD,MDM,ライフログ)

◆情報システム戦略

経営戦略の実現を目的に、情報システムを構築するための戦略。

CIOが中心となり、情報管理や情報システムに関する戦略を立案・執行を統括する。


CIO:Chief Information Officer。最高情報責任者。経営戦略と整合性が取れた情報システム戦略を立案・執行統制していく。

CEO:Chief Executive Officer。最高経営責任者。経営戦略を立案して業務執行を統括していく。


◆ITガバナンス

情報システム戦略の策定と実行をコントロールする、組織の能力。

近年、情報システムの善し悪しが企業経営に大きな影響を及ぼすため、情報システムを担当部署・部門に任せるのではなく、全社的な視点から情報システムの導入・運用・リスク管理 等について、管理・統制していく必要性が高まっている。

経済産業省の「情報システム管理基準」による定義:ITガバナンスとは、経営陣がステークホルダのニーズに基づき、組織の価値を高めるために実践する行動であり、情報システムのあるべき姿を示す情報システム戦略の策定 及び 実現に必要となる組織能力である。


◆EA

Enterprise Architecture。

大企業や政府機関 等といった巨大な組織の資源配置や業務手順、情報システム 等の標準化、全体最適化を進め、効率よい組織を生み出すための設計手法。

EAを導入することで、企業の持つ資源の重複や偏在を配して、全体最適化の観点から配分できる。

例1:特定知識・スキルをもつ従業員を必要とする部署へ配置。

例2:部門や部署毎に存在する(統一されていない)システムを標準化して、接続・連携の効率化、機能重複しているシステム等を統合する。


現状の姿(As-Isモデル)と、理想の姿(To-Beモデル)との差を分析(ギャップ分析)しながら、「業務」「システム」を同時に改善していく。

As-Isモデル、To-Beモデルともに「ビジネス体系」「データ体系」「アプリケーション体系」「テクノロジ体系」の4つのカテゴリで分析していく。

ビジネス体系:業務分析、業務パターンの認識を行う

データ体系:業務システムで用いられるデータの標準化を進める

アプリケーション体系:組織全体で用いられる業務モデルと、実際の個別の業務の差を埋め、相互接続性を確立する

テクノロジ体系:同上


◆情報システムの種類

「SoR」「SoE」「SoI」に大別される。


◆SoR(情報システムの種類のひとつ)

System of Record。記録のシステム。

データを正確に記録することを目的としたシステムのこと。

従来からある基幹システム 等が該当し、信頼性が求められる。


◆SoE(情報システムの種類のひとつ)

System of Engagement。繋がりのシステム。

人や集団の関係性構築・強化を目的としたシステム。

スマホ・Eメール・SNS 等の人間の繋がりやメッセージの伝達をサポートするシステム 等が該当する。

Wikipediaのような利用者参加型コンテンツ作成プロジェクト、OSSの開発、利用者間のモノ・サービスの交換・提供を取り次ぐサービス等も含む。


◆SoI(情報システムの種類のひとつ)

System of Insight。洞察のシステム。

蓄積された情報の加工や分析を通じて、何らかの有用な洞察を得ることを目的としたシステム。

通常はSoR、SoEと組み合わせて用いられる。

ECサイト上で記録された顧客の行動履歴データを解析し、購買に至るまでの障壁となる要因を探し出すシステム 等が該当する。


◆業務プロセス(ワークフロー)

業務の一連の流れのこと。

情報システム戦略では、情報システムの「あるべき姿」を明確にするため、システム化の対象となる「業務プロセス」「データの流れ」をモデリングし、分析する。


◆BPR

Business Process Re-enginieering。

業務プロセスを「根本から」見直し、再構築すること。

部分的な見直しである「業務改善」と比べ、BPRは業務プロセス(業務内容・ワークフロー 等)・組織・職務・管理体制 等を含め、根本的に見直す。

そのためにDFDやBPMN等を用いる。

BPRの後にBPMを行う。

また必要に応じ、BPOも行う。


◆BPM

Business Process Management。

BPRの実行状況を継続的に評価・改善していくこと。


◆BPO

Business Process Outsourcing。

自社の業務プロセスの一部を外部の専門事業者に委託すること。

業務システムの運用 等と一体化して委託することがある。

例:管理部門・コールセンター 等。


◆モデリング

ある物体や事象について着目している特徴や、同種の複数の対象に共通する性質を抽出し、些末な部分を簡略化した模型(モデル)を作ること。

図表・数式・データ集合・人工言語(モデリング言語)等 を用いて表される。

代表的な業務プロセスのモデリング手法に「DFD」「BPMN」がある。


◆DFD(業務プロセスのモデリング手法のひとつ)

Data Flow Diagram。

データの流れに注目し、業務の「データの流れ」「処理」の関係を視覚的に表した図のこと。

画像1

画像2


◆BPMN(業務プロセスのモデリング手法のひとつ)

Business Process Modeling Notation。

ビジネスプロセスモデリング記法。

業務プロセスを「発生する事象(イベント)」「事象を受けて行う作業(アクティビティ)」「分岐条件(ゲートウェイ)」「それぞれの記号を繋いで実行順序を示す矢印(シーケンスフロー)」を用いて視覚的に表した図。

DFDと異なり、作業の順番が把握できる。

画像3

画像4


◆ITの有効活用

ITを用いた業務効率化の手段として、次のような概念がある。

「グループウェア」「RPA」「BYOD」「MDM」「ライフログ」

悪例として「シャドーIT」がある。


◆グループウェア

共同作業の支援を行うソフトウェア。

Group、Softwareの造語。

ネットワーク上で共同作業の場を提供し、業務効率を高めることができる。

電子メール・電子掲示板を介したコミュニケーション、データ共有、スケジュール機能 等を一元管理できる機能をもつものがある。(例:Git)


◆RPA

Robotic Process Automation。

PCで行う定型的な作業を、ソフトウェア(ロボット)を使って自動化・効率化を図る。


◆BYOD

Bring Your Own Device。

社員の私物デバイス(PC・スマホ 等)を自社ネットワークに接続して、業務利用できるようにすること。

情報漏洩 等の情報セキュリティリスクも高まる。


◆シャドーIT

社員の私物デバイス(PC・スマホ 等)や社外のクラウドサービスを「情報システム部門 等の許可を得ずに」自社ネットワークに接続して、業務に利用すること。

情報セキュリティリスクが増大する。


◆MDM

Mobile Device Management。

会社・組織体が従業員に貸与する端末の設定やアプリケーションを一元管理する仕組み。


◆ライフログ

生活の記録を、長期にわたりデジタルデータに残すこと。またその残されたデータを指す。

例:Webの閲覧履歴・スマホのGPS記録や撮影写真・IoT機器のセンサー・ウェアラブル端末の情報 等。

プライバシーの後悔に繋がる危険性を孕む。

近年ではライフログをマーケティング等のビジネスに活用する企業も増えている。


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