【基】スーパースカラ,ベクトル処理方式,スーパパイプライン,VLIW,ホットサイト・コールドサイト,スプーリング機能,スループット,レイテンシ,割込み,インターリーブ

◆スーパースカラ

super scalar。スーパースケーラとも。

マイクロプロセッサ(MPU/CPU)の高速化手法。

命令を解釈・実行する回路を複数備え、依存関係にない複数の命令を同時に実行できるようにしたもの。

通常、プロセッサはコンピュータプログラムを構成する命令の列から、命令を1度に1つずつ読みこんで処理していく。

スーパースカラ型のプロセッサは1度に複数の命令を読み込み、同時に実行することができる。

ただし、前の命令の処理結果を、後の命令が利用するといった依存関係がある場合には同時に実行することができない。


マイクロプロセッサで「並列処理」を行う方式には、「マルチコア」「マルチプロセッサ」等もあるが、これらはスーパースカラとは異なる。

「マルチコア」「マルチプロセッサ」は複数のプログラムの流れを同時並行に実行できるもの。

「スーパースカラ」は、単一のプログラムの実行速度を高速化するもの。

複数のパイプラインを用いて、同時に複数の命令を実行可能にすることによって、高速化を図る方式。


◆ベクトル処理方式

処理すべきベクトルの長さがベクトルレジスタより長い場合、ベクトルレジスタ長の組に分割して処理を繰り返す方式。


ベクトル(ベクタ):「方向」「大きさ」のように、互いに独立な複数の子となる値の組み合わせとして表される量のこと。

一般的に、数学・物理学においては「ベクトル」、ITの分野では「ベクタ」が一般的な部分もある。


◆スーパパイプライン

パイプラインを更に細分化することによって、高速化を図る方式。

マイクロプロセッサ(MPU/CPU)の高速化手法のひとつ。

命令を細かい工程に分割して、並列に実行するパイプライン処理を、高度に細分化・多段化したもの。


プロセッサが1つの命令を実行するには、命令読み出し、データ読み出し、演算、結果の書き込み 等のように複数の工程を経る。

各工程の処理機構を独立して動作させ、流れ作業的に前の命令のサイクルが終わる前に、次の命令を処理し始める方式を「パイプライン処理(パイプライン制御)」という。


一般的なパイプライン機構は5段階前後で構成されることが多い。

スーパパイプラインは、より小さな処理単位に細分化され、10段階以上の工程に分解される。

スーパパイプラインは、多くの命令を並列に実行できるが、増やせば増やすほど性能が向上するわけではない。

極端なパイプラインを持つことで有名な「Pentium 4(ペンティアム4):米Intel社」プロセッサは、20段階構成のパイプラインを持っている。


◆VLIW

Very Long Instruction Word。

マイクロプロセッサ(MPU/CPU)の設計様式のひとつ。

依存関係にない複数の命令を、1つの命令としてまとめて投入し、複数の実行ユニットで、並列に実行する方式。

例えば、32ビット長の命令を4つ同時に投入・実行できる128ビット長の実行ユニットを搭載するVLIWプロセッサでは、プログラムを4命令ずつ1度に実行することができる。

命令間の依存関係(前の処理結果を次の処理に用いる)等から、既定の命令数に達しない場合は、空いたユニットがNOP(No Operation:何もしない)命令で埋められるため、常にユニットの数だけ並列に命令を実行できるわけではない。


プロセッサ自身は依存関係の解析・調整 等は行わないため、設計が単純で廉価に高速化が図れる。

ただし、並列度を高めるには「コンパイラ」等のソフト側でVLIWを考慮したコードを生成する必要がある。

これは、並列度が異なる別のプロセッサでは実行のタイミングがずれるため、性能を最大限に引き出すにはプロセッサ毎に最適化されたコードを用意する必要がある。


たがいに依存関係にない複数の命令を1つの命令としてまとめ、並列に実行する方式のこと。

命令後を長く取り、1つの命令で複数の機能ユニットを同時に制御することによって、高速化を図る方式である。


◆(バックアップシステム構成における)ホットサイト・コールドサイト

ホットサイト:待機系サイトとして稼働させておき、ネットワークを介して常時データやプログラムの更新を行い、障害発生時に速やかに業務を再開する。

コールドサイト:予備のサイトを予め確保しておいて、障害発生時には必要なハードウェア・データ・プログラム(各種バックアップしておいたもの)の媒体を搬入して、システムを復元。その後、業務を再開する。


◆スプーリング機能

スプール:処理能力に大きな差のある装置・ソフトウェア・通信回線 等を協調して動作させる際に、効果を発揮する。

早い側の待ち時間を短くするために、処理すべきデータを一時的に記憶装置に保存し、遅い側に少しずつ転送して処理させる仕組み。

(またそのための専用の保存領域)

例えば、CPUの処理結果を記憶装置に保管し、CPUより低速な装置・ソフトウェア・通信回線 等の処理速度に応じて徐々に渡すことで、CPUが装置・ソフトウェア・通信回線 等の処理に足並みを揃える必要がなくなる。


プリンタに限っていえば、印刷スプール・プリンタスプールと呼ばれる。

低速の入出力装置(プリンタ 等)の処理を、CPU処理と独立に並行させることで、スループットの向上を図る。

主記憶装置と低速の入出力装置(プリンタ 等)との間のデータ転送を、補助記憶装置を介して行うことによって、システム全体の処理能力を高める。


◆スループット

機器・通信路 等の性能を表す特性のひとつ。

その特性を単位時間当たりに処理できる量のこと。

ITの分野では、コンピュータシステムが単位時間に実行できる処理の件数や、通信回線の単位時間当たりの実行伝送量 等を意味することが多い。


・コンピュータの性能のスループット

単位時間当たりに与えられた処理を完遂できる回数を表す。

単一で単純な指標はない。(CPU・メモリ・ストレージ 等の構成・性能・処理内容で大きく変化するため)

ベンチマークプログラムを実行し、処理件数を相対値として表すことが多い。


・通信回線・装置のデータ入出力性能のスループット

伝送路を通じて、単位時間当たりに送受信できるデータ量を表す。

その単位として、bps(bits per second)やMbps(Mega Byte bits per second)を用いる。


◆スループットとレイテンシ

処理や伝送の「速さ」はスループットだけでは決まらず、状況によっては処理一回ごとにかかるレイテンシ(遅延時間)が大きく影響する場合がある。

一般に大量のデータを連続的に扱う場合は、スループットが支配的な要因。

ただし、2者が双方向的に相手からの応答を待って、短く何度も繰り返し伝送を行うような類(通話 等)ではレイテンシが支配的となることがある。

例えば、高解像度の映像を伝送できる高スループットの衛星回線でテレビ中継を行っても、出演者が回線越しに会話すると、発言毎に若干の「間」が生じる。これは衛星が遠く、電波の到達に時間がかかることによるレイテンシの影響である。


◆割込み

実行中のプログラムを一時中断して、制御プログラムに制御を移すこと。


◆インターリーブ

※サイトによって定義がずれているので注意。

interliaving。

データ入出力や通信において、連続的に信号やデータを扱う際、時間や空間 等の何らかの物理的な広がりに対して、わざと不連続にデータを配置する手法。

転送速度の向上・誤り訂正等のために行われる。


多数のバッファから成るバッファプールを用意し、主記憶装置にあるバッファにアクセスする確率を上げることによって、補助記憶装置のアクセス時間を短縮する。


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