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「可能性」

薄い繭の中でいまだ何者でもない
形を持たず言葉を知らず
瞳は瞼の中に閉ざされ
虚空のへりで
色彩の到来を待っている
それはあらゆる形に成り得
あらゆる言葉をはらみ
すべての色彩を凝縮している
柔らかな丘陵のぬくもり
険しい潮の満ち引き
街をじりじりと焼く夕暮れ
地球の自転に踊る
わたし
救いのない
光の夢を見ている
淡く照らされているのは
一体だれ?
繭の中でもぞもぞと動いてる
得体のしれないそれは
物体なのか概念なのか
さあ
早く生まれてこい
たとえそれが
想像もしえない
可能性だとしても


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