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己の強さ

己の強さというのは
鉛のように重たい夜の中にあり
交わることを厭う星々の
切実な輝きに似ている
あと少しで触れられる
あなたの横顔は
どこか知らない世界に向けられていて
透明な水たまりの上に
黒い波紋を呼び起こす
耳を澄ませて
聞こえてくるのは
空気が命を膨らませる音
はちきれそうになるごとに
心地よい身の丈を思い出す
目を閉じれば感じられる
日々の擦過傷
ひとつふたつ
今日もかさぶたになっていく
力を入れなければ抱えきれない夜の中に
わたしはわたしの強さを見つける
世の中どうでもいいことばかり
抱えることをやめてしまえば
夜はあっさりと明けていくのだ


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