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断片的な記憶

思い出が色褪せていく
あれほど忘れられないと心の中で叫んだ記憶たちも徐々に離れている
寂しいようで悲しいような

昔よく聞いていた音楽を久しぶりに聞くと瞬間的に過去に引き戻される
曲を聞いてた場所、共にいたあの人、その時に感じた感情が全て蘇ってくる
それが少し私を安心させる
良かったまだあの時の二人、あの時の私は存在しているんだ

それでも音楽が終わった時には
言葉に言い表せない寂しさを抱えるようになる
思い出に浸かる時間も音楽の終わりによって中断される
何事にも終わりがある
残酷で儚いや

君は元気ににしているかい
最近別れて初めてちゃんとした会話をした
久しぶりにちゃんと話せて良かった

実は今日で私の誕生日なんだ
さすがに君もう覚えていないでしょう
私はあなたのを覚えているよ
そしてその日あなたに連絡するつもりだよ
最後の連絡として
そのあとはもう完全に引き離れるよ
お互い新しい大学生活に向かって

UCL大学はまだ結果帰ってきてないんだね
だから受かって欲しいと伝えた
昔は志望校に向けてお互い頑張ろうって言ってたね
私が行けなかった分まで志望校に受かってほしい
純粋に君の幸せを素直に願っているよ

他に伝えたいことはもうないや
ただ感謝と幸せになってほしい気持ちだけ
あと本音言えばちょっぴり不幸になってほしい
それでも大きな怪我はしないでね

冬がなければ春に気付けない程度の感性しかないから毎年冬が来るね。そして春が来るね。誰かを愛さないと僕は僕の寂しさが優しさの糧だと思い続けただろう。僕のかわりに燃えている夕陽が、僕の海に反射して、赤く、僕の心より美しい。それが愛情で、僕の愛情で、それでやっと優しさ以外の愛が渡せる。

「夕陽の詩」最果タヒ

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