マガジンのカバー画像

映絵師の印(えしのしるし)

36
PIN:Gamesオリジナル小説です。無料公開中!
運営しているクリエイター

2020年8月の記事一覧

映絵師の極印(えしのしるし) 第2話後編・壱 -欠心-

前回のあらすじ 虎と実力を発揮した三毛により、準決勝に勝利した猫手会であった。 喜びに浸っていたところ、行方不明であったライバル・狼(ろう)の出現に、虎の心はざわめき始めるのであった。 準決勝を快勝した虎たちが仲間のところに戻ってきた。 勝利の喜びの中、1人真剣な面持ちで弾に話しかける虎。 「師匠…」 「ああ、見た」 「いつから気づいていらっしゃいましたか?」 虎の表情が、徐々に苦虫をかみつぶしたような顔に変わった。 「そんな顔するな...俺も勝負の最中までは気づかな

映絵師の極印(えしのしるし)第2話 中編・弐 -変動-

前回のあらすじ 順調に勝ち進んできた猫手会だったが、皇帝から準決勝のルール変更に虎は塾生である三毛と戦うことを宣言した 心配の声もあったが、虎と三毛は覚悟を決め、準決勝に向かうのであった 「武市よぉ、なんで自分はあそこにいないんだ、って思ってるか?」 弾が、少し落ち込んでいる武市に声を掛ける。 「うん、そうだね…」 少し悔しげな武市に弾は親心をみせる。 「悪いな、本当は俺がみてやりてぇんだがな、こうなっちまったんじゃしょうがねぇ」 弾は動かない足を叩く、しかし武市は弾の手

映絵師の極印(えしのしるし)第2話 中編・壱 -皇帝-

前回のあらすじ 猫手会に届いた『皇宮映絵会』開催の知らせに色めきたつ猫友塾 講師である虎も猫手会のため勝利を目指しているのと同時に、今後の戦力となるよう塾生の育成に勤しんでいた 大会の開催から順調に勝利を重ね、喜んでいた猫手会面々だったが、準決勝を前に皇帝が現れ、虎は心をかき乱されるのであった…… 「こ...っ!皇帝...陛下...」 皇帝は虎をチラリと見てニヤリとするが、何事もないような素振りで控え室を見渡した。すると、皇帝のお付きの者が一歩前に出た。 「各々方!