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Bitwigのいいところメモ

たまには珍しい感じの記事でも書いてみようと思います。
私は音楽制作においてはずっとAbletonユーザーだったんですが、1年ちょっと前辺りからBitwigをメインで使うようになりまして、ちょうど1/10までBitwigがセールになってたりもするので、使ってて感じる利点だったり好きな機能をいくつか紹介してみたいと思います。私は複雑な使い方は全然していないので、紹介する利点は多くの方にとってもわかりやすく役に立つポイントになるかなと思います。

購入はBitwig公式もしくはDirigentから。


・モジュレーション機能の多彩さ、動作の軽さ

まず私が最大の利点と感じているのがこれです。モジュレーションはソフトシンセやエフェクトなどのパラメーターに制御信号を送るモジュレーター(LFOなど)を挿すことで自動的に動かしたりする機能なんですが、Bitwigはこの機能をユーザーがガンガン使うこと前提でUIなどが設計されていて、とにかく扱いやすいです。
この機能は例えばAbletonだとM4LのLFOなどで実現できるんですが、それはsuiteでしか使用できなかったりと、どことなくエクステンデッドな位置付けになっている気がします。実際Abletonでのこの機能は私もよく使ってたんですが、例えば一つのトラック内でシンセに2つ、エフェクトに2つLFO挿すとかの控えめな使用でも結構視認性の部分できつくなってきますし、更にそれを他のトラックでもガンガン挿そうものなら(私のPCスペックの問題も大きいとは思いますが)動作の面で不安になってくるという感じでした。
Bitwigだと例えばシンセにモジュレーター8個、エフェクトにも5、6個とか挿しても全然スムーズに動いてくれますし、視認性もかなりスマートに収まってくれるんですよね。
そして更に素晴らしいのがモジュレーターのPoly機能(いわゆるポリフォニック・モジュレーション)です。これによってモジュレーターから送られる制御信号をボイスごとに動作させることができて、例えばですがシンセで和音を弾いた時に①ボイス毎にアタック・タイムにランダムな差異をつける②ボイス毎に音程が異なる速さで上下10CENTほど揺れる(ボイス毎に異なるビブラート)③ボイス毎にフィルターが異なる幅で開閉、みたいなことがあっという間にできます。
以下、①~③みたいな設定をやってる様子です。キャプチャの設定ミスったのか音入ってませんでした……(解決したら撮り直します)

この機能は当然ですが和音弾いた時に効果を発揮するものなので、和音の有機的な動きを強く求めるようなタイプの音楽を作りたい方には特におすすめです。
あとこのポリフォニック・モジュレーション機能は基本的にBitwig純正のシンセのみに有効なものなんですが(外部のソフトシンセの場合モジュレーターのPolyは選択できなくなります)、ここを解決してくれるのがBitwigがu-heと組んで発表した新たなプラグイン・フォーマットのCLAPで、これに対応していれば外部のシンセでもモジュレーターはPolyで動いてくれるので一気に表現の幅が広がります。CLAPに対応しているシンセは現状だとu-heのHIVE、DIVA、ACE、そして無料で使えるSurge XTなんかが有名ですね。u-heのシンセはちょうど1/10まで50%オフのセールやってるので、一気に導入なんてのもいいかもしれません(CLAP版はこちらから落とせます。無料でデモとしても動作します)。


複数のプロジェクトを同時に立ち上げ可能
Bitwigでは今これを書いているChromeのタブのように、複数のプロジェクトを同時に立ち上げておいて行き来することが可能です。これは割と地味な機能に思えるかもしれませんが、実際使ってるとすごく便利で、特に自分みたいなそもそも別の曲として作り始めた素材なり断片を後から繋いだり混ぜ合わせたりして曲を成形していくスタイルの場合マジで助かります。複数立ち上げるといってもアクティブにできるプロジェクトは1つのみで、他のプロジェクトは音などが出ないスリープ状態で立ち上がることになるので、負荷の面でも不都合は出ません(スリープ状態のプロジェクトからでもトラックをコピーして引っ張ってくるなどの操作は可能です)。


・Samplerの多機能さ
これについては私が言葉で説明するより公式のデバイス解説動画見たほうがいいと思うので貼っておきます。全部で6パートあります。全部見たほうが理解しやすいと思いますが、とりあえず手っ取り早く多機能さ認識したいなら4~6辺りまず見てもらえれば。
先に私が気に入っている部分挙げとくと①モジュレーターで制御可能なパラメーターの多さ(特にサンプル再生開始位置を変動させられるのがいい)②SELECTパラメーターで再生サンプルをランダムに選択したりできるところ③マルチサンプルモードでのゾーンパラメーター機能④RepitchモードでSpeedを派手に弄った時の動作のスムーズさ(と出てくる音のエグさ)⑤ボイススタック(いわゆるユニゾン)機能やMPEとの連携のしやすさ、といったところですかね。特に①はAbletonのサンプラーとの大きな差に感じてしまいます。⑤はSamplerに限ったことではなくて、Bitwigの純正シンセなら全て同様です。


他にもノート編集やオートメーション編集が細かなことできたりとか、些細な好きポイントは沢山あるんですが今回はとりあえずこの辺で。




最後にこれまた主にAbletonとの比較になってしまうんですが、Bitwig使っていて物足りない点というのも少なからずあるので書いておきたいと思います。
・M4Lで実現される拡張性
この部分は現状明らかにAbletonに分があるんじゃないかなと思います。Bitwigにもその内部でモジュールをパッチングしていくことでオリジナルのデバイスを組み上げるGRIDという機能があって、これをM4Lに近いものとして使える場面もそれなりにはあると思うんですが、例えばM4LをAbletonの拡張機能程度に使うというよりむしろMax上でやりたいことを実現させてAbletonはその補助みたいに使うような方にとっては、GRIDは音楽用の機能のみで随分不自由に感じてしまうんじゃないかとも思います。特にMaxで可能ないろんなデータ(映像とか数式とか)を音に置き換えたり相互に作用させたりみたいな、マルチメディア的アプローチはGRIDでは多分現状難しいんじゃないかと(私もあまり使いこなせてないのでもしかしたらできるのかも……)。まあPlugDataとか入れればそこも一応カバーできるのかもですが。
・ユーザーコミュニティ
あとこれはDAWの中では比較的新規なことを考えれば仕方ないんですが、ユーザーのコミュニティというか、例えばTips紹介だったり、使い方の解説だったり、やり取りされる情報の量はAbletonとM4Lに比べるとまだまだだと思います。私はあまりTipsとか漁るほうではないのであれですが、Bitwig公式Dirigentのページ以外だと現状Polarityさん一強みたいな感じになってしまってる気がします……。特に日本語の情報は不足してる印象なので、ちょっとでもユーザー増えてこの辺り少しずつでも草の根的に盛り上がっていけばいいなという思いがこの記事書いてる理由でもあります。
Bitwig関連の情報をまとめてチェックしたい方はflawboyさんのTipsまとめ的なnote記事がリンク集として大変有用かと思うので是非覗いてみてください。ただここで紹介される情報源もやはり英語圏のものが多いですね。


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