うな茶、それは甘美な響き

こんにちEVERYBODY。

ちくわ研の彁 頼人ですわ。

タイトルにもある通り、今回は「うな茶」の話をしようと思う。

知らない? まあ、1回、1回だ。その振り上げた拳を解いてくれたまえよ。その後ゆっくりと手を下ろしてくれ。よしいい子だ。

皆様はうな茶をご存知だろうか。
そう、うなぎ茶漬けの略である。

あろうことか私は収入も何も無い学生時代に高級品と名高い、あのうな茶にハマってしまったのだ。うなぎだぞ。うなぎ。バカクソに高いあのうなぎ。

物の値段には何かしら理由がある。
うなぎが高いのはヌルヌルしてるからです。

話を戻すが、そも私はうなぎを食べたことがほぼない。実家にいた時も食べたことがあるかないか覚えてないくらいにおぼろげである。覚えてないってことは多分食べてないのだろう。憐れな男だ。

そんな中で私も性格と性癖をねじ曲げられながら大学に進学を果たすこととなり、一人暮らしを行うことになった。実家親元を離れ、全てが自由になった。裏を返せば全て自分でやらなければならない、そんな一人暮らしだ。

一人暮らし始めたて当初は慎ましく生きていくことを固く胸に誓ったものである。コンビニは高いからスーパーにしようとか、実は薬局の方が安いぞとか、買い込んだ時にポイントカードを出し忘れたことを1時間くらい後悔したりとか。

そしてある程度地盤が固まったある夏の日、私はニコニコ動画にハマっていた。
男子大学生の一人暮らし、サークル未加入。そんな悲しいメガネに許された娯楽はニコニコ動画だけだったのだ。ジワジワと鳴くセミの音と、動画の音が部屋の中でこだましていた。

当時アツかったのはやはりゲーム実況だった。私も好きな実況者の動画の続きがアップされるのをサンタを待つ子どもの様にワクワクしていたものだ。

その時私が見ていたのはテニスの王子様のゲームだった。簡単に内容を説明すると、作品内に出てくるキャラクターを4~5人集めて自分の好きなチームを作ろう! みたいな内容だった。プレステ2当時のゲームだからキャラ数はそこまで多くはないが。
その中で一際異彩を放つ人物がいた。

そう。

手塚国光、その男である。

バケモンみたいなステータスにバケモンみたいな必殺技を持ち、おおよそ年下とは思えない大人びたルックスを持ち合わせるあのぺスカ。大人っぽさで言えば今でもあのルックスに追い付いていない。

その男の好きな食べ物にはただ「うな茶」と書かれていた。

うな茶……?

知らない単語だった。未知との遭遇。宇宙戦争。銀河万丈である。

さっそく私はパーフェクト手塚に近付く為、視聴中の動画を止めてうな茶を調べた。

そこに出てきたのは、ホカホカ白米の上にうなぎの蒲焼が3切れ乗っている画像。

なんと暴力的だ。
私は画像を見た時に脳天を殴られた思いだった。

気が付くとスマホを片手にスーパーへ歩みを進めていた。クックパッドでレシピを調べながら、一足ごとに歩くペースが上がっていくのがわかる。

うな茶が私を呼んでいた。

いざスーパーに到着し、魚介コーナーへ一直線に向かった。
そこに、あった。確かに、うなぎが。

まず驚かされたのはその大きさだ。予想していたより倍デカい。
そして次にビビったのはその値段だ。
2,500円……? 洋服かこれ? 間違えてユニクロ来たか? フリースより高くないか?

傍から見れば速乾性Tシャツに色褪せた短パンを履いているいかにもな苦学生がうなぎの前で唸っている様子は異様だっただろう。

しかし、決めた。買うぞと。
国光に近付く為だ。

うなぎを買い物かごにシュートし、そのままみりんとめんつゆ、白だしもダンク。薬味としてチューブのわさびと白ごま、刻み海苔も買った。米は炊いたものを小分けにしてラップで冷凍してあるからそれを使えばいい。

会計時に一瞬目眩がしたが、それを忘れるほどに帰路はルンルン気分。
「うな茶、うな茶、うな茶」
頭がいっぱいだった。

玄関のドアを開け、鍵を閉めることを忘れたまま台所に立った。
レシピ通り規定量のお湯を沸かし、白だしとほんの少しのみりんとめんつゆ。その間に米も解凍。
うなぎは余りにもBIG BIGな為、1/4にして残りは冷蔵庫へ。

いざ、茶碗に米をよそい。
うなぎを乗せ。
出汁をかけ。
チューブわさびと白ごま、刻み海苔を全部乗せ。

ひひひっ。
ひひひひひっ。

笑いが止まらん。

いざ。

ズズっ……


ワッ……!


手塚国光その男

国光……!


美味い。
まさか夏に出汁が体に染み渡ろうとは。

薄めに作っていたのが功を奏した。
うなぎにそもそも蒲焼のタレがかかっているのだ。
そのタレと出汁がマッチングマチ子先生だ。
口の中にもう1つ大学が設立された。

KUNIMITSU TEDSUKA Unatya university

駅伝が強いらしい。