「入り口の自販機はまだ100円のままなんだね」
「甘酒いる?」
お父さんは100円で買った安っぽい紙コップに入った甘酒を差し出してきた。
僕たち家族4人は、毎年屋台が立ち並ぶ伊奈波神社には案の定人混みができていたので、少し離れた金神社に来ていた。旧市役所の目の前にあるその神社には、安っぽい黄金の鳥居が控えめに立っている。
時代遅れの映えを求めて金の鳥居の下に集まる人たちの横を通り過ぎると、チーズハットグやタピオカがごちゃ混ぜに売られている売店が一軒だけあって、少し悲しくなった。
両親と妹は参拝の後に手際よくおみくじを引き、