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外出制限令緩和後のベルリンの風景、からのミイラダンス

ベルリンは5月頭から段階的緩和策で以前の風景が少しづつ戻りつつあります。私的に感激なのは遊具公園とレストランの再開。

約3歳児とステイホーム・公園すら行けず、という状況が7週続きました。震災後の福島の方々の心情も胸によぎり、もはや最後の方は人体実験的な気持ちで変にハイとローをいったり来たりだったので、本当に公園もレストランも現コロナ人生のオアシスです。※ちなみにレストランによっては店員さんばっちりフェイスシールド装着。世の中変わったものだ…。

学校関係でいえば、私のドイツ夫が学校教師なので彼情報ですが、小中高は5月18日からほぼ全員登校、但し授業時間短縮や時間ごとに入れ替わり登校だったりして、同時期に多くの生徒が集まることを避ける方策がとられている模様です。こちらは校長先生や各教師が現場で手探り状態、誰も正解がわからないまま実験的に進めてるというのが実情のようです。

保育園・幼稚園は緊急託児+5歳児(年長)のみです。コロナ関係職(結構幅広くて100以上の職種)の子ども、一人親、家に自分の部屋がない子、特別支援の必要な子、親との関係に不安や問題のある子に限定されています。これが発表されたときは政府の子持ち世帯への配慮と気遣いが手に取るように感じられ、早期完全再開を求める署名などが多数集まる中でのギリギリの決断に、なんだか感謝の気持ちを伝えたい思いでした。私には関係ないんですが…涙。完全復活は8月1日と発表されていますが半信半疑です。

今こちらでホットな話題といえば反コロナ対策デモです。緩和策がでた途端一気に不満が噴出した格好。

現在はデモの届け出をして社会的距離を保った上で50名までの参加者であれば許容されます。ところが最近、ドイツ各都市で数百数千の人がノーマスク&密で集会をして警察による拘束沙汰になっています。コロナ生活が長期化するにつれて社会の致命的分断を招きうる非常に憂慮すべき事態だと思っています。

ただ、ドイツ人のマジョリティは冷静です。むしろ迷惑に思っています。日本の報道はたまにセンセーショナルすぎる嫌いがあるので要注意です。そしてこういう事態を民主主義の崩壊だとか、自由人権の剥奪だとか言う方々もいるようですが、規則を守っていないから拘束されるだけの話なのでその手の前提を見過ごした見解にはかなり注意が必要です。

そして最後に舞台人としての最重要関心事の劇場と公演再開時期。以前の発表では少なくとも8月末。言い方がもう延長する気満々ですね…。州立劇場では朝のクラスだけ再開してるところもあるという話ですが、公演再開については誰一人として何もわからない。これはかなり精神を蝕みます。

私はいつも最悪パターンを想定する人間なので、個人的にはワクチン普及までは(そもそも開発されない可能性だって多大だけど)公演が許可されたとしても3-4席に1人着席、演者同士も近寄り禁止になるはずです。何せ社会的距離はコロナ対策の一丁目一番地!

演劇やオペラはまだしも、ダンスはコンタクトと呼ばれる身体接触に基づく振付法を多用するため、表現手法そのものが相当制限されると予想します。そんな中でオン・オフ含めどういう可能性を探るのかということはひとつの挑戦として前向きに捉えたい気持ちがある一方、表現の魅力と醍醐味の大部分、むしろ心臓部をゴッソリ削がれたミイラ的状態で継続する意味についても正直非常に悩まされます。

ミイラにはミイラしかないダンスもあるんだろうけど。そういえば死の舞踏は中世のペスト流行期に生まれたものだった!ということで、なんとか前向きに締めたいと思います。まだ見ぬミイラダンスを求めて。


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