令和7年度大学入試共通テストサンプル問題が公開。「情報」科目における情報デザインの出題を見てみよう!
はじめに
平成30年3月に新しい高等学校学習指導要領が告示されました。これまであった共通教科情報科の内容を充実し、共通必履修科目としての「情報Ⅰ」を設けるとともに、「情報Ⅰ」の発展的選択科目としての「情報Ⅱ」を設けることが決まりました。(文部科学省Webサイト高等学校情報科)
そして、令和4年度からいよいよ新学習指導要領が開始され、教科「情報1」が必修になります。
これと合わせて、令和7年度実施の共通テストにおいて、「情報」が加わります。
今回はこの共通テスト「情報」出題される試験内容のサンプルとして公開されている資料を元に、共通テスト「情報」における情報デザインについて見てみましょう。
さっそく「情報」サンプル問題を見てみよう!
「情報」のサンプル問題は第1〜3問で構成されています。出題全体をご覧になりたい方はこちらをご覧ください。このうち、「コミュニケーションと情報デザイン」の範囲に関する出題が以下です。
この問題に対する正解答は以下(ピンクの網掛け部分)です。
「問題のねらい」という解説を見てみると、以下のように説明されています。
今回のサンプル問題で問われている部分は、具象的な情報を抽象化する力、抽象化された情報を構造的に捉える力、図解を利用して可視化する力を問うていることがわかります。
情報デザインの捉え方は広がりを見せていますが、私たちの生活に身近なコミュニケーションで情報をわかりやすく「伝える」ための力が問われているようです。基礎的な問題ではありますが、下記で専修大学の上平先生が解説されていらっしゃるように、「伝える」と「伝わる」をつなぐスキルとして重要な観点を扱っていると感じました。
専修大学の上平崇仁先生が『高校における情報デザイン教育のための冊子制作』において、情報デザインの役割について5点整理されています。詳細をご覧になりたい方はリンク先をご参照ください。
サンプル問題の作成の趣旨について
なお、今回ご紹介したサンプル問題を見る上では、サンプル問題作成の趣旨についても合わせて確認しておくと良いと思います。
※1...<サンプル問題作成の趣旨>
「情報1」の必修化で情報デザインへの関心に期待したい
2023年度から「情報1」の必修化が始まります。日本の教育では小学校「図画工作」、中高の「美術」でも情報デザインの考え方に触れる機会を持たずにきていました。
情報デザインの学びが「情報1」で扱われることによって、情報設計や情報のデザインに関心を持つ高校生が増えてくることを期待しています。そして、高校1年生でこの分野に触れた生徒たちが、大学のどの学部に進めばさらに学びを深めることができるのか?また、その先の仕事の広がりを知る機会があればいいと思います。
「情報Ⅰ」は「問題の発見・解決に向けて、事象を情報とその結び付きの視点から捉え、情報技術を適切かつ効果的に活用する力を育む科目」という位置づけがなされています。正解のない未来社会で活躍するために、私たちの社会や暮らしの問題を発見する力が必要だと言われていることからも、「情報1」の先にある「情報Ⅱ」についても関心を持つ生徒が増えると良いですね。
情報Ⅱの概要(引用:新しい情報科「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」を教える準備を)
参考文献
高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編)第2章 コミュニケーションと情報デザイン (PDF:6.4MB) PDF
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