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寄居若者会議メンバーインタビュー:前田大我さん

「寄居をもっと盛り上げたい」「寄居のために何かやりたい」
そんな思いを持つ若い世代が集まり、意見やアイディアを出しあって寄居の魅力発信やイベント等の活動を行う寄居若者会議。
そのメンバーの素顔や寄居町への想いなどについてインタビューさせていただきました。

今回のインタビューは高校生の頃から若者会議に参加し、現在は高知県の大学で町おこしや地域について勉強をされている前田大我さんです。

- 今日はよろしくお願いします。前田さんは現在高知県に住まわれていますが、寄居町出身なんですよね

はい、寄居町の鉢形小学校区域の三ヶ山出身です。

- 高校生の頃から寄居町で町おこしの活動をされていたと聞いています

そうですね、高校2年生の頃からだったと思います。

- 高校生というと遊びや部活に熱中しているイメージがありますが、前田さんはなぜ若者会議や町での活動に興味を持たれたのでしょうか

若者会議については、僕がインスタグラムに投稿していた寄居町の写真をメンバーの石田さんが見て声をかけてくれたのが直接的なきっかけです。

そもそも小さい頃から学校の行き帰りに知り合いのおばちゃんの畑でトマトもらって帰ったりしていたので、そういった「地域の人に育てられた」という感覚がすごく強かったんです。
地域にいる知らない大人と話すことへの抵抗感がすごく少なかったんですよね。
それで、自ずと地域から寄居町へと興味が湧くようになって。

- 同じ寄居町でもご近所付き合いが薄い地域も多いと思いますが、前田さんの育った地域はすごく恵まれた環境ですね

本当にそうだと思います。

- ただそういった関わり合いがあっても、実際に町の様子をSNSに投稿したりできる行動力が凄いと思います

僕はおしゃべりなので、自分の好きなものや楽しいと感じるものを誰かに共感してほしくて。
その対象がたまたま寄居町だったっていうだけだと思います。

- その活動が石田さんの目に止まって若者会議に誘われることになったのですね

そうですね。
たまたま若者会議のオープンイベントみたいなのがあって、誘われて行ってみたら面白かったんです。
それから会議に参加し始めて、そこからつながりでどんどん広がっていった感じですね。

- 若者会議のイベントで面白いと感じた部分とはどこだったのでしょうか

自分の地域のことが好きとか、魅力を広めたいって思う人が自分の周りに少なかったので、そういった自分の思いを誰かと共感できたのが楽しかったんだと思います。

- 若者会議の活動で印象に残っていることはなんでしょうか

おすすめのお店の紹介マップ作りをしたことですね。
自分の中に寄居町に対する思いはずっとあったんですけど、それが形になって表れたのがあれが初めてで。
形になった嬉しさもありましたし、とても楽しかった記憶があります。

- マップ作りで前田さんは何を担当されていたのですか

掲載するお店を選定する話し合いの段階から参加していましたが、メインとしてはみかんのコーナーの文章を書いたりしました。

- 大きなプロジェクトだったと思いますが、実際に取り組んでみていかがでしたか

そうですね、自分の書いた文書がちゃんと印刷されて配布されるのは初めてだったので、やっぱり難しかったですし緊張しました。

- でもその分、達成感はありますよね。他にもたくさんの経験を若者会議で積まれたことと思います

かなり色々させていただきましたね。

- それほど積極的に町に関わっていた前田さんですが、今は高知県に住まわれています。高知県にいくことになった経緯を教えていただけますか

いくつかあるんですけど、1つ目はやっぱり「地域おこし」というものを専門的に学びたいと思っていたことですね。
ただそれなら場所はどこでもいいですよね、東京でも。
その上でどうして高知という遠い場所にしたかというと、ちょっと言い方が難しいんですけど……寄居を出たかったっていうのがあったんです。
でもそれは寄居が嫌いだからとか、寄居にいたくないからという理由ではなくて。
寄居の魅力をきちんと知るためには、一度寄居を出たほうがいいなって思って。

- 外から見てみようと

そういうことです。

- 地域おこしを学ぶための進学先として高知の大学を選ばれたということですね。地域おこしに関する学科というのは珍しいですが、何科なんでしょうか

高知大学の地域協働学部という学部ですね。
こういう名前の学部は日本で初めてだったそうで、それもあって。

- どのような勉強をするのでしょうか

地域というのは社会全体のことになってくるので、学問的にはそれを幅広く学ぶことになるのですが、特徴的なのが実習の部分で。
実際に地域に出てフィールドワークをしながら学ぶという授業が週に1、2回あります。

- まだ勉強中だと思いますが、今の段階で寄居町のことを俯瞰的に見えるようにはなりましたか

それはすごく思います。

- 外から見た寄居の印象はどうですか

僕は寄居町のこと、今でもすごく大好きなんですけど、こちらに来る前までは「地域の人があったかいから」とか「レトロな街並みだから」とか「自然がたくさんあるから」とか、そういうところが寄居の魅力だと思っていたんです。

でも高知に来てみたら、そういう場所ってはっきり言ってしまえばいっぱいあって。日本全国を見てもどこにでもあるんですよね。
だから僕が本当に好きな寄居の魅力はそこじゃないなって思って。

僕は今も寄居のことが好きですが、それは何があるからとかではなくて、自分が育ってきた環境だから、すごく好きなんだなと気がつきました。

- 物質的なものではないということですか

はい。
関係性とかの部分がすごく好きだなと思って。

- ただそうなると、住民の満足度は高くとも外部の人にもっと魅力を伝えたり、人を呼び込んだりするのは難しくなってくる気がします

そうですね、その解決策はまだ全然わかっていないんですけど。
ただ基本的に、その地域を興していく、地域を発展させていくのは、そこの地域の人だと思っています。
外からの方ももちろん大切にしていかなきゃいけないですし、重要な視点ではあるんですけど、やっぱりメインで動かないといけないのはそこの土地で育ってきて、そこの土地に愛着がある人だと思うんです。

- それでは、地域に住んでいる人ができることとは何だと思いますか

すごくアバウトな言い方になってしまうのですが、今ある文化や関係性を次の世代に受け継いでいくことだと思います。

少し話が逸れてしまうんですけど、そもそも地域を興さないといけない理由を考えた時、経済的に見たら多分東京に集中した方が効率がいいですから、地域は消滅しても何ら影響はないと思うんです。

それでも地域振興をしなきゃいけない理由は、文化の面や、食料自給率の問題にあると思います。
その地域で積み上げてきた文化や食などを、次の世代に引き継ぐことがその地域を残すことに繋がるし、地域振興そのものなのかなと思います。

- とても面白いお話ですね。もうひとつお聞きしたいのですが、例えば高知など東京圏から離れていれば、その地域にしかない文化や料理、行事などがたくさんあると思います。ですが東京に近いエリアでは、地域の特色は東京と似ている部分が多くなってくると思います。そんな中で地域を残す意義を見いだしていくのはすごく難しいですよね

それはすごくそう思います(笑)

- 埼玉のような東京のベッドタウンだと「別に東京で良いのでは」と思われそうです

いやその通りですよね。
それこそ今お話しした地方を残す意義っていうのは、どちらかといえば高知に当てはまるもので。
高知から見ると寄居って東京とほぼ同義なんですよね。

- 関東だけ見れば東京から遠いですけど、もっと遠くの地域から見れば近いですもんね

東京ですね、ほとんど(笑)

- そう思うとすごく難しいですよね。


「誰かの価値観を別の誰かに伝える仕事」がしたい

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- 今は高知の大学で勉強されていますが、寄居に戻ってくる予定はありますか

そうですね、大学卒業してすぐではないと思うんですけど、いずれ絶対に戻ろうとは思っています。

- 前田さんは将来的にどんなお仕事をされたいと思われているのでしょうか

今はまだ迷っているところなんですけど。
方向性としては「誰かの価値観を別の誰かに伝える仕事」をしたいなと思っています。
それこそ恐らくメディアなどになってくるとは思うんですけど、それだけじゃないかもしれないので色々と調べてみて。

やっぱり僕はいろんな人とおしゃべりするのが好きなので。
面白い人ってたくさんいて、そういう人の価値観や思いを僕が代わりに誰かに伝えたいなと凄く思っています。

- メディアというと幅広いですが、今学んでいる分野以外にも広げていきたいですか

そうですね。でも幅広くとは言いつつ、若干地域寄りかなとは思います。
やっぱり、地域の人から学んだり、自然の中で生活するのが好きなので。

- 若者会議として今後していきたいことはありますか

発信をしたいなと思います。
若者会議として継続的に活動してきた中で作られた寄居の方々との関係性もたくさんあると思うので、それを生かした、若者会議にしかできない発信の方法があるんじゃないかなと。

- これからの若者会議の方向性についてはどう思われていますか

続けていくのであればメンバーの刷新は必要なのかなと思います。
メンバーが固定化してきてしまっていて、動くとしたらあの人っていうのがなんとなく決まってきているし、しかもそのメンバーが今寄居にいないという状況なので。
寄居で動けるコアとなれる人がほしいですね。
やっぱりどうしても年齢層は上がっていくので、できれば下の年代で。
例えば高校生なら、地域に残っている確率が高いですよね。

- 学生のうちにこういった活動に触れていると、地元に残ろうとする人が増えそうです

いや本当にそう思います。
だから若者会議のメインターゲットは高校生なんじゃないかなとも思います。

- 寄居に戻ってきたときに「個人的」にしたいことはありますか

若者がしたいことをできる環境づくりですね。
僕自身にとってはこれがすごく良かったなと思うので。
そのおかげで今、こうやってやりたいことのために遠くの大学を選ぶことができました。

やっぱり大学進学ってすごく大きな転換の時ですし、その時までにやりたいことが見つかっていたというのは自分にとって大きかったんですよね。
そうやってやりたいことが見つかったのは、若者会議の経験がすごく大きかったなっていう風に思っていて。

地域の中での高校生ってどうしてもできる範囲がすごく小さいじゃないですか。
でも若者会議に参加したことによって、できることの幅がすごく広がって色んなものを試してみることができました。

そのおかげで自分もやりたいことが見つけられたので、ちょっとでもやりたいと思ったことにすぐにアプローチできる環境が寄居にあったらいいんじゃないかなって思っています。

- 具体的に何か考えていることはありますか

考えていることというか、高知県内でいくつかの高校で、地域教育の外部講師をさせていただいてはいます。
自分自身が高校生の時に地域に入るという経験をしたので、そういう経験ができるような高校生を増やしたいなと思って。
そういう経験の中で答えが見つけられたらなと思います。

- 素晴らしいですね。最後に若者会議のメンバーに一言メッセージをお願いします。

そうですね……でしたら「帰省したときにご飯行ってくれたら嬉しいです」という感じでお願いします(笑)

【編集後記】
若者会議の最年少メンバーで、これまでも精力的に町に関わってきた前田さ ん。 現在は町を離れてしまっていますが、地域について専門的に学び、より深い理解を得た前田さんが寄居町に戻ってきた時が非常に楽しみです。
地域にとってこのような考えを持つ若者がいるということが何よりの財産だ と思いますし、その数を増やしていくことが地域おこしの一番の近道なのかもしれないと思ったインタビューでした。