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一つの世界が生まれた日

2004年2月9日、最高気温11.6度、春の近付く晴れた日。何時何分かはわからないけど、きみはこの世界に産声を上げました。
きっとその瞬間、どこかで流れた星の欠片がきみのもとに祝福の歌を届けたよ。
『世界に一人だけ』そうきみを名付けたご家族も、いまも節目節目に同じ時間を過ごすご親族も、やっときみに会えたことを心から喜んだでしょう。
ひとりっ子のきみはきっと大切に大切に育てられたと思います。もしかしたら寂しい思いをすることもあったかもしれないけど、ひとりっ子って案外強いから。悲しかったり悔しかったり涙を流したこともあっただろうけど、その何十倍も何百倍も多くの時間を、大好きな人たちに囲まれて、幸せに過ごしたのではないでしょうか。だって、きみが見せてくれた子供の頃の写真は、どれも本当に幸せそうに笑っているもの。
そして、5年前、2016年6月19日。12歳のきみは新たな一歩を踏み出しました。松木潤くんに憧れて、ジャニーズに入りたいと言ったきみに、ご家族はなんて言っただろう。きっと応援してくれたと思うけど、私がきみのご家族なら少し心配したかもしれません。
はじめてのステージから見る景色に、きみは感動したでしょうか。初めてファンレターをもらった時、初めて自分の名前のうちわを見つけた時、きみは嬉しかったでしょうか。もしかしたらその瞬間、きみは自分がアイドルであると認識できたのではないでしょうか。
同期の龍我くんが先にグループのメンバーに選ばれた時は、悔しかったんだよね。おっとりしていてまだ頑是ない子どものように見えるきみが、そんなふうに思ったことは意外でした。でも、私はそう思ったきみのことをとても好ましく思います。
2017年の春、突然東京B少年に加入したきみ。喜びと不安が半分半分だったね。きっと、たくさんのなんで?を繰り返したと思います。あ、彗星が流れたんだ。私は遠くの世界をちらりと見て、すぐに元の世界を歩み始めました。
きみが加入してすぐの話を、人伝に聞いたことがあります。ステージの上で、お立ち台に降りた客席で、たくさんの観客を目の前にして怯えていたこと、MCでは全然しゃべらなくて、話を振られてしゃべってもひと言ふた言生意気なことを言ってたこと。何回聞いてもかわいくて笑っちゃうんだけど、きっとその時のきみからしたら笑い事じゃなかったよね。
当時のことを振り返るとき、「自分だけ何もできなかった」「たくさん怒られた」といつも言ってるね。私が想像しているよりずっと、きみを取り巻く環境は厳しいものなのだと思います——それは、今もきっと。たくさんの人の一生懸命がぶつかる場所は、まだ幼いきみにはつらく感じられることもあったかもしれません。でも、きみは諦めませんでした。
リハーサルで怒られるとふてくされていたきみが、素直にアドバイスをきけるようになったきっかけは何だったのかな。素直であることは、きみを成功へと近づけてくれます。過去の自分に素直であることをアドバイスするきみに、そんなこと言わなくても大丈夫だね。
グループに加入してから、あっという間にダンスが上手になったね。でも、あっという間だと私が思えるのは、実際にきみがどれだけの時間を費やしたかを知らないからなのだと思います。
いつの間にかアクロバットまでできるようになったきみに、きっとファンもメンバーも驚かされたことでしょう。始める決意をしたことと、たゆまぬ努力を続けたことが、きみだけではなくグループのパフォーマンスの幅も広げたと思います。
去年は、憧れの松本潤くんのバックで踊ったね。緊張したと言っていたけど、そんなことを感じられないくらい堂々とステージに立てていたよ。個人的には、見慣れた光景の中にきみを見つけた時、とても不思議な感覚に襲われました。でも……だからこそ、寂しさが少し薄れ、いつも以上にコンサートを楽しめたように思います。彼らの背中を前にして得た感覚は、きみだけのものです。どうかそれを未来に繋げてください。
ステージに立つきみは、いつも堂々としていてとてもかっこいいです。生まれ持ったものもあるだろうけど、その姿をきみが創ったんだと思えるから、とてもかっこいいんだと思います。でも、ここが最高到達点ではないと思う。きみはもっとかっこよくなる。そう確信しています。
コンサートのソロでは、自分のやりたいことと得意なことを組み合わせて、しっかりと魅せるステージを作ってくれるね。色んなことに興味を持ち、絶えず挑戦を続けるきみは、これからエンターテイナーとしてどんどん成長していくと思います。また新しいきみと出会える日を心待ちにしてるね。
きみの努力が自信と余裕につながり、人見知りのきみもグループの中でのびのびと振る舞えるようになりました。グループに居場所がないと感じることは、きっともうないと思います。メンバーに囲まれて、きみが自由に話し、笑っている様子を見ると、思わず笑みが溢れます。これからもっとたくさんそんな姿を見られるといいな。色んな場所で、きみの個性を発揮できる日がくることを楽しみにしています。
メンバーは家族だけどライバルだと言うきみは、自分に厳しいけど強い人だと思います。きみにとっての彼らは、自分より先をいく存在だったのかな。きみが肩を並べたと思えた時には、きっともっといろんなことが話せるようになるよ。もう、その時は来ているのかもね。
一番遅く生まれたきみより、彼らは先に大人になっていくけど、それはきみがたくさんの未来のかたちを垣間見れるということだと思います。学ぶ時は学び、それを昇華して、きみなりの未来を切り開いてください。それがきっと、みんなの成長にも繋がると思います。でも、迷った時はみんなに頼ってね。みんなはきみの家族なんだから。
私生活では、この春高校三年生になったね。学校は楽しいですか? 周りの友だちと比べると学生生活を満喫することはできないかもしれないけど、それでもできる範囲で今という時間を楽しんでほしいです。
お仕事もさらに忙しくなって、芸能活動と学業を両立することが以前より大変になっているかもしれません。もう受験生だね。大学に進学して知見を広げたいと話しているきみに、大学は本当に楽しいところだと伝えたいです。何を学ぶのか何を得るのか、それはすべて自分次第。知識は人を裏切りません。大学生になったきみを応援できたら、もっと楽しくなりそうです。
いつだったか、アクション映画に出たいと言ってた、きみ。去年始めたキックボクシングのおかげで、ずいぶんとしっかりした体になったね。しなやかな筋肉に包まれたきみの体は、以前よりもっと美しく動くようになったと思います。きみはとても美しいです。凛々しい眉も、意志の強さを映す黒い瞳も、心のまっすぐさを表すようなすっと通った鼻梁も、愛情深さを感じさせる口元も。それが乱れることなく配置されたきみの顔は、どんなに大きな画面にも耐えうると思います。初めて出演したドラマできみはたくさん苦労をしたけど、そのぶん得るものは大きかったのではないでしょうか。これから先、きっとチャンスが巡ってくると思います。チャンスの神様は前髪しかないから、その時自信を持って手を伸ばせるように、たくさん感性を磨いてください。
いつか、きみの姿をスクリーンで見てみたい。もしも、その日が来たら誇らしくって、きっと——泣いちゃうなぁ。
他にもたくさん。本当にたくさん。両手では抱えきれないくらい、たくさん。きみの夢が叶ってほしい。夢を叶えるのはきみだけど、その手助けになればと思いながら、私は今日もきみを応援しています。
また夢ができたら教えてね。
きみが夢を抱けるということが嬉しいから、どうかその夢を応援させてください。

決められた空の中、時に雲間や星の陰を見つめ、小さなカケラを繋ぎ合わせながら、私はきみを見つめています。きっと、集めたカケラの中には、“私”が見出してしまったものもあるんだと思う。
本当のきみとアイドルであるきみは、きっと少し違うでしょう。もしかしたら、ふたつのきみを行き来することを窮屈に思うこともあるかもしれません。
ひとりの人間である私はそれを心苦しく思うこともあるけど、ファンである私はもう少しだけこの世界が続いてほしいと願ってしまいます。

『世界に一人だけ』
アイドルを見つめている時、そんな言葉が浮かびます。その世界はうつろいやすくて、いつか見えなくなってしまうこともあるけれど、確かに存在しています。
きみが初めてもらった手紙を書いたその子も、きみが初めて見つけたうちわを作ったあの子も、その瞬間、世界に一人だけのアイドルであるきみを想っていたはずです。
きみのご家族がきみにくれた名前は、予言みたいだったね。
きっと、これから先、きみの名前はもっと特別なものになるよ。

5年前、2016年6月19日。
アイドルとしてのきみが生まれてくれたことに感謝しています。
そして、今、2021年6月19日。
きみがアイドルであることを選び続けてくれたことに感謝しています。
こんなにも楽しくて幸せな時間の使い方をさせてくれてありがとう。
一緒に夢を見させてくれてありがとう。
これからも、アイドルである金指一世くんを応援させてください。

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